くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ネバーランド」

映画の中には大作とか傑作とかいうことばが当てはまらない作品があります。私はそうした作品を秀作と呼んでいますが、この「ネバーランド」はまさにそうした作品のうちの一つでした。しかも、心に残る秀作でした。

なぜ、胸が熱くなるのでしょう、そんなシーンが随所にあるのです。
マイケルがタコをあげるシーン、ピーターパンの舞台でピーターパンらが舞い上がってカメラが彼らの目になって、ホールの天井に舞い上がるシーン。
なぜ、目頭が熱くなったのでしょう。それは私たちのだれもが忘れかけていた子供の頃の想像力や夢を思い出させてくれるからではないでしょうか。

豊かな想像力を持ってみれば犬も熊になるのです。人も空を飛ぶのです。
ジェームズ・バリに天才的な才能が有ったわけでないのです。ただ人よりちょっと想像力が豊かであったのではないでしょうか。

一時間四十四分というのは最近の映画ではどちらかというと短い部類になるでしょう。
しかしその時間の中に何ともいわれないファンタジーの世界が展開するのです。
現実でありながら、見ている世界が非現実のフィクションの世界に変わる見事さ。
ジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)が舞台をのぞく、雨のシーン、突然、というかいつの間にか客席が雨に濡れる。

公園で犬と遊ぶバリ、ところがそこはサーカスの世界に変わる。
こうしたファンタジックな映像はかつて名作「赤い靴」にも見られた演出です。
主人公が赤い靴を履いて舞台を踊り回る。舞台は海になり、山になり、草原になり、客席から波が打ち寄せてくる。
この見事なシーンの効果が今回の作品にも見られました。不思議な感覚で夢とも現実ともつかない世界に放り込まれていくのに、全然、不自然がなく現実の物語として感動してしまう。

素晴らしい作品でした。
そして特筆すべくは久しぶりに物語がおわるとTHE ENDが出ることです。


ピーター・パン
ジェームズ・バリ 早野 美智代