くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゴジラ×コング 新たなる帝国」「地に堕ちた愛」(4Kリマスター完全版)

ゴジラ×コング 新たなる帝国」

ほとんど「猿の惑星」かと思わせる映像で、人物やドラマ描写は一切排除して、CGで作られたモンスターのバトルシーンをてんこ盛りで繰り返していくB級大作娯楽映画という装いの一本。見終わったあとに残るのは怪獣たちが大暴れしていたいわゆるCGアニメシーンのみという映画でした。エンタメと割り切ればそれまでですが、全体にグロテスクな描写が多いので、映画にロマンも夢もない作品でした。監督はアダム・ウィンガード

 

地下世界に君臨するコングが、獣の大群から逃れている場面から映画は幕を開ける。そして虫歯に苦しんで地上のモナーク基地のアンドリュース博士に助けを求めにやって来る。一方途上世界に君臨するゴジラは、人間に脅威になる怪獣を倒し、地上世界を守っていた。アンドリュース博士が母親代わりで育てているイーウィス族のジアは、謎の音波を感じとる。モナーク基地でもその音波を探知、どうやら救いを求めるものらしいとわかる。

 

コングと一緒に地下世界へ向かったアンドリュース博士は、そこで髑髏島のシーウィス文明よりはるかに古いイーウィス文明の都市があることを発見、そして、地下世界で、かつて地上を征服しようとしてゴジラに地下に閉じ込められたスカーキングという猿が冷凍怪獣を操ってイーウィス族の地から地上へ出る機会を伺っていた。

 

その頃、間も無く来る強大な敵とのバトルに備え、ゴジラはフランスの原子力発電所放射能を吸収し北極海の怪物のエネルギー源を手に入れるために準備を進めていた。地下世界では、スカーキングのアジトに来てしまったコングは冷凍怪獣に右腕をやられるが、トラッパーの治療と機械を装着して蘇る。そしてスカーキングを倒すべく地上のゴジラに応援を頼みに行く。イーウィス族の中心には重力を操る装置がありその先にモスラが眠っていた。モスラを甦らせるため髑髏島から来たジアの力が必要だった。

 

地上へ出たコングはゴジラを呼ぶが、そもそも敵対していた二体はいきなりバトルを始める。そこへモスラが現れ、二体を仲介してスカーキングが暴れる世界へ向かう。そして大バトルの末、スカーキングは破壊されて、スカーキングに操られていた冷凍怪獣も元の姿に戻り、コングはスカーキングが圧制していた猿人たちを解放してやり、ゴジラはまたコロッセウムで眠ってハッピーエンド、映画は終わる。

 

コングにミニコングが現れたり、人類を守ってきたというセリフの合間に、人類を守るため世界遺産を次々破壊するゴジラやコングの姿があったり、コングが生肉をむしゃぶり食ったり、獣を引き裂いたり、モスラが異様にグロテスクだったりと、日本のゴジラファンには目を背ける描写が多々あるとはいえ、単純にCGアニメを楽しむ分にはいい時間潰しになった感じです。でももう少しストーリーを整理してクオリティは上げて欲しいというのも正直な感想でした。

 

「地に堕ちた愛」(完全版)

初公開時より51分長い完全版。空間の使い方や交錯するストーリーは流石に面白い映画なのですが、ちょっと長さを感じてしまった。体調のせいか作品のせいかわからないけれど、約一週間のお話に現実とお芝居の創作の世界が交錯する作りにはっきりと頭がついていきませんでした。部屋の壁のモダンな模様や赤を階段の壁に使った絵作りなど本当に美しいのですが、作品のクオリティの高さは認められるものの少ししんどかった。監督はジャック・リヴェット

 

街で大勢の男女が集まって一軒のアパートにやって来る。アパートではリアルタイムでお芝居が演じられていてそれを人々が見ている。どうやら女性二人と男性一人の三角関係のコメディのようである。しかし女性を演じた二人エミリーとシャルロットは作品の仕上がりにうんざりとしていた。演じ終わって二人がくつろいでいるところに一人の男クレマンがやって来る。どうやら今の芝居は彼の戯曲を勝手に改作したものらしい。そしてクレマンは次の月曜日に自分の屋敷に来て欲しいと言う。こうして映画は幕を開ける。

 

訴えられるのではないかと危惧しながらエミリーとシャルロットはクレマンの邸宅にやって来る。出迎えたポールという男は奇術師で、エミリーをからかう。クレマンは、二人に、今度の土曜日の夜に演るお芝居に参加して欲しいと依頼。ギャラも払うと言われエミリーとシャルロットは引き受ける。クレマンは二人に、本番までこの家に住んで欲しいと依頼する。屋敷にはヴィルジルというタイプライターを打つ助手やベアトリスというクレマンの元を去った妻?エレオノールという恋人の存在などが見えて来る。

 

ポールはエミリーを誘って二人は体を合わせ、シャルロットはクレマンと懇ろになって屋敷の鍵を手に入れる。一方クレマンにはエレオノールという恋人らしい女性も存在する。劇の稽古は始まるがラストシーンは用意されていなかった。さらにポールはシャルロットとも関係を結んでしまい、シャルロットとエミリーはリアルに大喧嘩するが、それが現実なのかお芝居なのか定かになっていない。時々、シャルロットは幻想のようなシーンを見て、エミリーは自分が横たわるそばに立つ赤いドレスの女性を見かけるようになる。

 

やがて本番の夜、お芝居が始まるが、見に来た観客は、お芝居の行く末に呆れるばかり。そして終盤、突然赤いドレスの女性が現れ、エミリーは気を失ってしまうが、彼女こそベアトリスだった。お芝居の結末と現実の展開が一つにまとまっていくのだが、お芝居の後、エミリーとシャルロットはクレマンに仕返しをしようと画策し、シャルロットとクレマンが現実に愛し合ったかのような言葉をベアトリスの前で告白して、ベアトリスは家を出てしまう。エミリーとシャルロットはギャラを手にして屋敷を後にして映画は終わる。

 

カメラが屋敷から外に出ず、空間を巧みに使ったカメラワークは見事ではあるが、現実とフィクションが交錯していく様を頭で整理しきれなくなっていく目眩くような展開は流石に3時間近くなるとしんどかった。