くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「天使のいる図書館」「ブラインド・マッサージ」「ナイス・

kurawan2017-02-21

「天使のいる図書館」
もっと薄っぺらい映画かと思っていましたが、意外にしっかりと構成された物語になっていて、若干ラストの処理がくどいですが、良いように感動してしまいました。監督はウエダアツシです。

何かにつけて機械的に喋り、どこかずれている新人司書のさくらは、ある日図書館をおとづれた一人の女性礼子が持ってくる写真の場所をめぐる手伝いをすることになる。

ようやく見つけた鳥居の場所を教えるために待っているさくらの前に礼子はあらわれず、実は入院したと知る。そして浮かび上がってくる礼子が探す写真の意味。

それは若き日、この地で巡り合った一人の青年との実らぬ恋を思い起こす旅だった。しかも、その青年とはさくらの図書館に勤める先輩田中であった。ということで最後は泣かせるという展開。

軽い話のようだが、ローカル映画とはいえ、ローカル色の強調もないし、小芝風花が頑張っているので、そこそこ見れる映画になっているのが好感な一本。

期待していなかったので掘り出し物でした。カメラワークも映画ということをわかっているし、美しい。若干音楽センスは今ひとつかなと思えなくもないですが、その素朴さがかえって新鮮さを生み出した感じでした。


「ブラインド・マッサージ」
これは思った以上に傑作でした。主要な登場人物が盲人であること、盲人である彼らの心の目を通して物語が展開する緊張感が半端ではない。ストーリー展開の緻密さといい、それぞれのエピソードの描き方といい、隙がないというのが見事でした。監督はロウ・イエです。

事故で目が見えなくなったが、いずれ見えるようになると言われ成長した青年シャオマーの描写から映画が始ま。治らないことが判明し絶望の末に自殺未遂。
やがて南京のマッサージ店に勤務することになる。

物語はそこで繰り広げられるそれぞれの盲人の群像劇的なストーリーになる。

恋が生まれ、家族の問題を抱え、片想いから風俗店に入り浸る流れなど、様々なエピソードが緻密すぎるカメラアングルで描かれる様が圧倒されます。

やがて、ふとしたほころびからマッサージ店は閉店となり、それぞれがそれぞれに離れ離れになってしまう。

細かいエピソードの処理がしっかりしていて、いくつかの群像劇が地に着いた感覚で迫ってくる。

目が見えないという登場人物たちが心の中で見る景色として描かれる物語のなんともいえない重厚感に、ただもう身動きできないほど胸が熱くなるのです。本当に良質の傑作と言える一本でした。


「ナイス・ガイズ」
少々くどいのですが、小さな伏線をちりばめてそれぞれを一つづつ物語の中に生かしていく様が思いの外面白い。監督はシェーン・ブラック

一人の少年が、夜中に父親のエロ雑誌を読み、台所に立つシーンから映画が始まる。そして少し移動した途端、家の上の道から一台の車が落ちてきて室内に突っ込む。少年がその事故のところに行くと、あられもない姿の有名ポルノ女優でさっきまで雑誌でグラビアを見ていた女が瀕死の中で声をかけそして死んでしまう。こうして幕を開けるこの映画、面白い予感がするのです。

飲んだくれの私立探偵マーチが一人の女性アリシアを探す依頼を受け、一方腕っ節が強く、未成年者の援助交際を阻止する私立探偵ヒーリーもアリシアという女性を探すことになり二人は出会い、ハチャメチャなコンビがハチャメチャな事件に巻き込まれて行く。

実はアリシアの母親は政府の高官で、自動車産業保護のため、妨害運動するメンバーを抹殺していた。そして、アリシアが仕掛けたポルノ女優を使ったプロパガンダ映画のフィルムをめぐってのクライマックスとなる。

やや盛り込み過ぎたきらいがあり、ここまで伏線を張り巡らさなくてもと思うほどに、いたるところに遊びが満載。しかもマーチの13歳の生意気な娘が二人のピンチに登場して助けるあたりの面白さも、娯楽アクションの常道で面白い。

なんとか保護したアリシアはあっさり殺され、クライマックスにこれまで貼られていた伏線の真実が明らかになり、というラストは、ややくどいが楽しかった。

こういう娯楽映画は見て楽しめますね。本当に面白い一本でした。