くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「怪談」

kurawan2017-06-28

「怪談」
かなり以前に見たきりだった小林正樹監督の代表作の一本を見直す。確かにものすごいお金のかかった一級品の作品ですが、やはり長いですね。四つのお話それぞれがメリハリがないという感じで、確かに美術は凄いし、カメラも凄いし、セットは壮大だし、脚本も凄い、演出はもちろん見事ですが、どれもこれも超一流すぎて、どれもこれも落とせないために目一杯使い切ったという感じです。

とは言っても、徹底的な様式美で描かれるラフカディオ・ハーンの世界は、これが映画だという迫力に満ちています。しかも美しい。

水の中に色鮮やかな墨が注がれながら一つ一つのエピソードと出演者が紹介されて行く。そして、最初の話が始まる。いかにもなオープニングにまず圧倒される。

一つ一つは完全に独立させた描き方になっていて、それぞれに背景をホリゾントに移した画面と完璧なセットをを駆使した美術の中で物語が展開して行く。

こういう映画を思い切りお金を使って、完璧なセットを作り、一流の役者を準備して、じっくり演出して作れたら至福の時間を過ごせるだろうと思います。その意味でこの映画の素晴らしさは必見です。

今時、これくらいのクオリティの日本映画はどこを見てもない。それほど、日本映画史に残る傑作映画であることは間違いない。