くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「時計じかけのオレンジ」(デジタルリマスター版)「フッド ザ・ビギニング」

時計じかけのオレンジ

何度見たことだろう。スタンリー・キューブリック監督作品の中では大好きな一本。やはり天才が作る作品は何度見ても飽きないし、何度見ても、凡人の感性を超えた映像世界を体験できる醍醐味を味わえます。やっぱり凄い。

 

オレンジ色のタイトルバックに引き込まれ、そのまま、有名なカフェのシーンへ。そして主人公アレックスの悪行がクラシックの音楽に乗せて展開。シュールでありエロティックであり、それでいて、色彩表現が奇抜で知性がある。これが映画作り。

 

敵対グループとの乱闘シーン、ホームレス襲撃、作家夫婦の家でのレイプ襲撃へと進む。次のターゲットのヨガ女性襲撃したところで仲間に裏切られ、そのまま14年の刑へ。

 

なんとか釈放されようと、時の内務大臣が進める矯正療法ルドヴィゴ治療の治験者となり、暴力やエロに過剰反応する体になって釈放。ところが、実家では両親に受け入れられず、外に出るもかつて痛めつけたホームレスに襲われ、助けを求めた警官はかつて自分を裏切った仲間で、彼らのリンチの後瀕死でたどり着いたのが、かつての作家夫婦の家。

 

妻は死んでいて、マッチョな使用人が同居している作家の家、最初は気がつかなかったが、アレックスが「雨に唄えば」を浴室で歌っていた事で、かつて妻をレイプした集団のリーダーが歌っていたことを思い出し、ワインに睡眠薬を入れて飲ませ、自宅二階で、アレックスが過剰反応する第九を聞かせる。

 

狂ったように二階から飛び降りたアレックスだが、一命を取り留め、一方で内務大臣の進めた矯正が非難を浴びていたこともあり、アレックスを元の状態に戻す治療をする。

 

回復してベッドに横たわるアレックスのところに内務大臣が訪れ、大音響で第九を聞かせるもアレックスは完全に元の状態に戻っていた。そして「雨に唄えば」のバックミュージックでエンドクレジット。

やはり凄い。これが天才の作る映画だ。

 

「フッド ザ・ビギニング」

娯楽映画としてはなかなか面白かった。秀逸なのは後半部分の鉱山での馬と人のバトルシーン。見事な美術セットで立体的に馬が疾走し、弓矢が飛び交い、炎が吹き上がる迫力を大胆に動くカメラワークで見せる演出が素晴らしかった。ただ、主人公のロビン役のタロン・エガートンがちょっとベビーフェイスなので、領主という威厳が見えないし、ヒロイン役のイブ・ヒューソンがあまり可愛くないので、大ロマンになりきれなかって。ただ、ジェイミー・フォックスの存在感はさすがでした。監督はオットー・バサースト。

 

ロビンとマリアンが知り合うところから映画は始まる。間も無くしてロビンに十字軍の兵役命令が下る。続いてのロビンの戦場での弓矢によるシーンが非常にスピーディで迫力があり、ここで知り合う戦士のジョンとの出会いがテンポ良い。上官の非道を責めて、怪我をしたロビンは愛するマリアンの元に帰ってくるが、ロビンは戦死したという事で領地も取り上げられ、マリアンもウィルという男と愛し合っていた。

 

ロビンは、州長官ノッティンガムの悪政に反感を持つが、そこにジョンが現れる。彼はロビンを立てて、この社会を直そうと提案、ロビンの弓の技術を訓練し、二人で州長官が搾取した金を強奪するようになる。人々は彼をフッドと呼び慕うようになる。

 

ノッティンガムは、教会の実力者枢機卿と手を組んで、この地を我が物にしていた。ロビンたちは枢機卿をおびき出し、彼らの悪事を公にする決心をする。大衆がロビンを英雄と認めてきたことを危惧したノッティンガムは、ロビンのかつての上官らを用心棒として雇う。

 

一方ロビンは、フッドであることを隠し、ノッティンガムに近づき、彼らの本当の計画を聞き出していた。ノッティンガムは盗まれた金の穴埋めに鉱山の住民を襲い、金目のものを奪っていく。この戦闘シーンが抜群に凄い。

 

間も無くして枢機卿がこの地にやってきて、ロビンたちは最後の決戦に平民たちを巻き込んでいく。そして、ノッティンガムらの金を奪い、人々を連れてシャーウッドの森に立てこもって映画は終わる。一方のウィルは、ノッティンガムがロビンたちに殺され、その後釜に州長官の地位について、エンディング。

 

肝心のクライマックスがスローモーションの多用になり、ちょっと弱いのですが、2時間を越えるのに退屈せず面白かった。