くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「東京喰種トーキョーグール」

kurawan2017-07-29

「東京喰種トーキョーグール」
日本的な抒情的な哀愁を交えた独特の世界観なのかとかなり期待した一本でしたが、普通のアニメの実写映画という仕上げ具合は少し寂しい感じがしました。戦いのシーンも今一つスピード感があるわけでもなく、と言ってグロさを描き切っているわけでもない。主人公はカネキなのですがそのあたりが今一つぼやけていて、ヒロインであるはずのトーカも存在感が薄い。さらに、悪役ではないけれど、喰種を倒すための政府役人二人のおぞましさも今一つ。面白くなりそうなのに、どこか物足りないのです。まだ連載中という制限があるのでしょうかね、期待しすぎという感想でした。監督は萩原健太郎です。

主人公カネキが友達と喫茶店で座っている。そこへやってきたのが、カネキがかねてからあこがれるリゼ。ちょっとした偶然から二人はデートすることになり、意気揚々とカネキは出かけ、リゼとデートし、夜道を語りながら歩いていると、突然、リゼがカネキにかみつく。実はリゼは喰種で、カネキを襲ったのである。いきなりの出来事にどうしようもないカネキだが、偶然、鉄骨が降ってきてリゼは下敷きになる。目が覚めたカネキはリゼの一部を臓器移植して助かっていた。

こうしてカネキは半分人間半分喰種となってしまい、人肉しか食べられなくなってしまう。そして、通っていた喫茶店は喰種のたまり場で、マスターの芳村は彼らの世話を焼いていたのだ。

ここに喰種を駆逐せんと政府から派遣された二人の捜査員が喰種を捜していた。そして目を付けたのが芳村の喫茶店に出入りしている親子。物語はこの親子の話と、それにかかわったカネキが人間である捜査員と戦うことになるくだりを中心に展開するのですが、冒頭の臓器移植場面の医師のインタビューシーンなども意味ありげに描いているはずなのに適当に終わってしまうし、芳村の経営する喫茶店に出入りする喰種たちの背景も荒っぽく流すだけになっている。こういうのが連載物のしかも途中段階での実写化の無理というものですが、仕方ないですね。

クライマックスはカネキとトーカが捜査員二人に戦いを挑み、その中で、喰種と人間が争おうことへの疑問を投げかけるのですが、どこか今一つ訴えかけてくる迫力がない。多分、原作はしっかりと活字を交えメッセージを描いているのでしょうが、ここは脚本家の腕だったかもしれません。

全体に退屈こそしませんが、といって、うまく実写にしたなぁと感動するほどの出来栄えではなかったです。