くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゲット・アウト」「セブン・シスターズ」

kurawan2017-11-02

ゲット・アウト
普通のB級サスペンスホラーという感じで、未公開映画祭にかかるレベルの作品でした。監督はジョーダン・ピール

一人の黒人が電話をしながら道に迷ったらしく、夜道を歩いている。一台の車が近ずいてきて、彼を殴って拉致、そしてタイトル。ややモダンな音楽が流れる粋な映像作りだが、ある意味、いかにもB級テイストである。

主人公クリスが恋人のローズと、彼女の実家に行くべく車を走らせている。クリスは黒人でローズは白人、ということにやたらこだわる会話が続く。クリスには警官の親友が一人いる。

ローズの実家に行くと、やたら家族は黒人を礼賛し、使用人は皆黒人。まぁこれもありだろうが、その演出があざとい。

ローズの母は催眠術をしているらしく、最初はクリスは避けていたが、夜、ついかけられてしまう。

やがて、ホームパーティで親戚中が家に集まってくるが、何かおかしいという空気に気がつく。そして皆が帰った後、クリスは脱出しようとローズを誘うが、なんとローズも家族の仲間でクリスは拉致されてしまう。

どうやらローズの父はマッドサイエンティストで、優れた肉体を持つ人間を手に入れ、脳を移植して、元気な体を手に入れていたのだ。とまぁ、無茶苦茶な話である。そして、催眠術で操られたクリスは、うまく欺き、すんでのところで脱出に成功、駆けつけた親友の警官と夜道を去ってエンディング。

まぁ、主人公は逃げて欲しかったし、よくある、最後はまた捕まってアンハッピーエンディングというのも後味悪いし、これでいいかなというラストだった。

際立ったカメラワークも、伏線の貼り方もない、本当に普通のホラーサスペンスで、途中で大体のネタが見えてくるし、まぁ、本当に普通の映画だった。


セブン・シスターズ
ちょっと面白そうな話のようだったので見にいったが、一体何をポイントに見るのか定まり切らない映画だった。アクションが売りなのか、SFテーマが売りなのか、ドラマ部分が売りなのかわかりにくく、結局ラストはこうですというエンディング。監督はトニー・ウィルコラ。

近未来、世界はヨーロッパ連合という一国支配になり、人口増加が著しく、食糧危機などにあえいでいたが、第二子以降を冷凍保存するという一人っ子政策の強行で、なんとか安定を保っていた。

ここに、七つ子を産んで死んでしまった娘のために、男は七人を隠して、一人づつ外に出て暮らさせるという手段で、全員を世に出して育てる。そして三十年が立って物語が始まる。

月曜から順番に外に出て、七人が一人の人間として銀行員として暮らすカレン。ところがある時月曜日が帰ってこない事態になる。そして調査に出た火曜日も行方不明となる。さらに管理局も彼女たちの住処に襲いかかってくる。誰かにバラされたと知った姉妹は行方不明の姉妹を探す一方で、管理局から逃げる手段を考える。

しかし、次第に見えてくる真相。それは一人っ子政策を進めるケイマン博士の野望で、大金が彼女のもとに銀行から振り込まれていることがわかる。そして、その真相究明の過程で、実は冷凍保存されていたと思われた第二子以降は実は焼却されていたことがわかる。また、ケイマンに力を貸していたのは月曜日だったとわかり、人々に事の真相を示そうとするのがクライマックスとなる。

そして全てが明らかになり、ケイマンは失脚、月曜日も死んでしまうがお腹に赤ちゃんがいて、それを見守る生き残った姉妹の姿とケイマンの演説でエンディング。果たして人口爆発が再来することになり、未来はあるのかというブラックユーモアのあるエンディングである。

七人の姉妹それぞれに得意分野があったり、真相究明のサスペンスや、エピローグの意味ありげなエンディングなど、もっと深みのあるSFになりそうだったのに、やや弱い出来栄えになった。今更人口爆発というテーマもちょっと扱いづらかったのかもしれません。