くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「赤毛のアン 初恋」「きらきら眼鏡」「ブレイン・ゲーム」

赤毛のアン 初恋」

何の変哲も無い作品なのですが、なんかとっても素敵で癒されます。美しい風景と差し障りのない、でもみんな魅力的な登場人物たち、そして次々と失敗を繰り返す主人公のアンの無邪気ながら天真爛漫な姿。原作が語り継がれるのも最もという感じのキュートな映画でした。監督はジョン・ケイト・ハリソン。

 

主人公アンが養父マシューの家で過ごしている場面から映画が始まる。素朴でのどかな景色と端正な舞台、そして今やおじいさんになって白髪のマーティン・シーンのマシューの姿も素敵。

 

大雨で傷んだ屋根を治すため、年甲斐もなく屋根に登り、降りれなくなったマシューをアンが助けるオープニング。学校ではクラスメートのギルバートと成績の競争をしたり、親友のダイアナとの楽しい日々を過ごす。

 

実はギルバートのことが好きなアンなのだが、それが恋なのか友情なのかわからない13歳という年齢。いつも女友達数人できゃっきゃ言いながら美しい草原の道をかけるシーンが繰り返され、一方マシューが次第に弱ってくる姿をさりげなく見せる。

 

クライマックスの野外演劇の場面でいかだに乗ったアンが流されるのをギルバートが助ける。でもこれは恋ではなく友達にもなれないとギルバートに告げるアン。そんなアンに、マシューは「ロマンを忘れてはいけないよ」と話してエンディング。

 

次々とアンが起こす失敗がほのぼのと周りの人を明るくする様がとってもいいし、素朴なのにチャーミングなアンのキャラクターも素晴らしい。原作を読みたくなってしまう。

 

アンが青空を見上げるカットや森に中を歩くシーン、何気無く捉えるシーンのそれぞれになぜか引き込まれてしまいます。決して傑作とかいうものではないのですが心に残る作品でした。

 

きらきら眼鏡

普通の映画なんですが、ちょっと心に残ります。ちょっと人生に希望が生まれます。そんな映画です。大好きな池脇千鶴さんが出ているので見にいきましたが、改めて彼女の演技力の素晴らしさに感動した感じです。監督は犬童一利

 

駅員をしている主人公の明海は、毎日の日常に何処か嫌気がさしている。というのも三年前に恋人を海で亡くした後悔をひきづっていた。そんなある時、古本屋で見つけた自己啓発本の中に一枚の名刺を見つける。

 

何気なくその名刺のあかねという女性に連絡を取り、本を返してさりげない付き合いが始まるのが本編。

 

あかねは、どんなものも美しく感じるという心を持っていて、きらきら眼鏡をかけてみると輝いて見えるのだと言って青空を見上げる。彼女には末期癌の恋人裕二がいた。

 

恋人同士でもなく友達のような関係で食事したり、飲みに行ったりするが、明海は何かにつけ失った恋人を思っていた。そんな明海に入り込んでくるあかねは疎ましくもありどこか惹かれるものを感じている。

 

やがて、裕二も亡くなり、あかねと付き合ううちに、何か人生の区切りがつき始めた明海は二人で公園を歩き、笑いあって別れる。今までの景色がどこか違って見えるようになった明海の姿があった。

 

という何気ない映画です。池脇千鶴の、心に訴えかけてくるような演技が牽引しているドラマで、主人公の薄さが逆にいい空気感を生み出している。普通の作品なのに、今の自分を見つめ直せる勇気が生まれてくる不思議な作品でした。

 

ブレイン・ゲーム

アンソニー・ホプキンスが予知能力のある医学博士の役で異常犯罪捜査に臨むという「羊たちの沈黙」の亜流のような映画。今時の監督らしくこれ見よがしなデジタル映像を多用して、いかにも才能があるのだと言わんばかりの絵作りはやや鼻につきますが、B級サスペンスのレベルではそれなりに楽しめたからいいとしましょう。監督はアルフォンソ・ポヤード。

 

頸椎を刺されて殺される事件が多発、FBIのジョーとキャサリンが捜査をしている場面から映画が始まる。ジョーはかつてFBIの捜査に協力して成果をあげてくれた予知能力の持ち主ジョンを訪ねる。

 

最初は渋ったが、ジョーとキャサリンの近未来を見るにつけ、捜査に参加。しかし、間も無くして犯人はジョンよりも強い予知能力があり、自分たちを誘導しているらしいことを知る。

 

犯人は、何かの病でいずれ苦しむであろう人物を見つけては殺していたのだ。やがて、ジョーも撃たれるが実は彼はステージ4の末期癌であることを犯人が知っていて誘導したのだ。

 

やがて犯人の名前がチャールズと判明、ジョンとの対決が迫る。列車の中に逃げたチャールズを追ってジョンが乗る。追ってくるであろうキャサリンが撃たれるという未来が見えている。その未来に、ジョンがチャールズを撃つという流れのはずなのだ。ジョンには難病で苦しんだ末に、安楽死させた娘がいて、その罪悪感からキャサリンを娘のように思っていた。

 

結局、ジョンが奇をてらって、巧みにチャールズを撃ち、キャサリンも守ってエンディング。

 

細かいデジタル映像の挿入がいかにもな形で入るので、今ひとつ洗い演出に見えなくもなく、ジョーが末期癌で死んでの葬儀のシーンなど脚本の組み立てにもやや難はあるものの、まぁ、普通に退屈せずに終わりました。