「トスカーナの幸せレシピ」
まあ、普通のヒューマンドラマです。しかし、才能のある人はどうしてああも常識外れな人物像として描かないといけないのかと思います。監督はフランチェスコ・ファラスキ。
三ツ星シェフの主人公が、暴力沙汰で収監され、社会奉仕を条件に釈放されるところから映画は始まります。奉仕先はアスペルガー症候群の人たちがいる施設で、そこでグイドという絶対味覚を持つ青年と知り合う。そして、料理コンテストに行くことになり、アルトゥーロも付き添うことになる。とまあ、これもよくある展開。
決勝を前に、アルトゥーロに外せない仕事のチャンスが来るが、結局それを棒に振って、決勝のグイドを観に戻ってくる。そして、最後に、こだわりの味付けに固執したため破れたグイドだが、アルトゥーロの師匠がグイドの料理を褒め、そのまま、アルトゥーロやグイドたちを雇った店を開店させる一年後、グイドの祖父の危篤の知らせに、グイドたちが向かうシーンで映画は終わる。
グイドの成長とアルトゥーロの立ち直りを真っ直ぐにテンポよく描いたかもなく不可もない一本。退屈もしなかったからいいとしましょう。
「キング」
シェークスピアの「ヘンリー五世」をもとに描かれた歴史ものなのですが、この時代のヨーロッパの歴史は得意ではないので、最初は入り込めませんでしたが、ラストに至り、それなりに見ることができました。ただ、主演のティモシー・シャラメが線が細すぎて、とてもイングランド王に見えないのが最後まで尾を引いた感じです。監督はデビッド・ミショッド。
イングランド内でスコットランドとの戦いの戦場から物語は始まる。時の若きヘンリーが、惨憺たる戦場の悲劇を目の当たりにしている。父のヘンリー四世は戦闘を好み、若きヘンリーは反発していた。
やがて先王がなくなり、ヘンリー五世として即位するが、フランス王から挑発的なボールが送られ、さらに暗殺を目論むフランス人が現れるにつけ、ヘンリー五世はフランスとの戦いを決意する。
クライマックスはフランスに遠征したヘンリー五世が、盟友ジョンの才覚もあり、見事フランスの皇太子の大群を打ち破る。しかし、その戦闘でジョンは戦死する。
ヘンリー五世はフランス王に謁見するが、休戦のため、フランス王は娘のキャサリンをヘンリー五世に嫁がせる。
やがて帰国したヘンリー五世は、民衆の祝福を受けるが、キャサリンから、暗殺のことや挑発のこと全てがフランス側の策略ではないことを知る。そして、それが身内の仕業と知ったヘンリー五世は、自分が騙されたと知り、その身内を自ら殺す。
王になり平和を手にすることの難しさを噛みしめる王の姿で映画は終わる。
ネットフリックス独占配信作品の公開版なのですが、普通の映画だった気がします。