くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「きみへの距離、1万キロ」「パティ・ケイク$」

kurawan2018-04-27

「きみへの距離、1万キロ」
イデアはとっても面白いんですが、それを生かしきれなかった感じで全体が上滑りになって本当に残念。ラストの畳み掛けも少しさらっと流しすぎた感じがするし、それがカナダ映画の色だと言われればそれまでですが、少し物足りないです。監督はキム・グエン

北アフリカの砂漠地帯の石油のパイプラインを監視するゴードン、単調な毎日で、クモのような形のロボットをアメリカのデトロイトから操作しているところから映画が始まる。あるとき、一人の少女をパイプラインのそばで見つける。

音声もキャッチでき、簡単な威嚇もできるこのロボットを通じて、ゴードンはこの少女アユーシャを追いかけるようになる。アユーシャは地元の少女で、親が決めた結婚相手と無理やり結婚させられることになっているが、彼女にはカリムという好青年の恋人がいる。

ゴードンはアユーシャとカリムのデートの場面も目撃するが、ある時アユーシャが悲しそうな姿でいるのを見つけ、彼女の苦悩を知る。

そんな時、カリムはふとしたトラブルに巻き込まれ命を落としてしまう。その出来事をたまたま知ったゴードンはアユーシャにつたえる。アユーシャはカリムと逃避行をする計画を立てていた。ゴードンはアユーシャにカリムの最後の言葉を伝え銀行でお金を引き出す手伝いをする。

ところが決行する日、両親がアユーシャを家に閉じ込めてしまう。駆けつけたゴードンはロボットで窓を壊しアユーシャを逃す。

画面を通じてロボットの操作だけでアユーシャと接するゴードンの姿を描く展開は、なかなか面白いのですが、もう少し映像に工夫が欲しかった気もします。

そして、アユーシャを無事逃したゴードンは一年後の同じ時間パリの公園に来て欲しいと伝える。

そして一年後、約束の地に向かうゴードン、時間ギリギリでなんとか間に合ったゴードンは無事アユーシャと出会う。そしてエンディング。

このラストが実にあっさりしすぎている。タクシーが混んでいて時間に間に合いそうにないという描写しながらもあっさり間に合い、すれ違うのかと思わせてもあっさり出会う。これは少し脚本の手抜きかなと思わなくもない。もう一工夫練りこめばなかなか楽しい作品になった気もするのですが、勿体無い映画でした。


パティ・ケイク$
もともと、ラップと太った主人公は苦手なのでなかなか入り込めなかったのですが、とにかく曲が抜群に良い。前半、どこか歯車があって来ないのだが、終盤は一気に曲の素晴らしさで突っ走ってしまう。監督はジェレミー・ジャスパー

巨漢で若い頃からダンボと呼ばれている主人公パティの夢から映画が始まる。敬愛するラッパーOZが現れ、サイケデリックなラップを見せ、それにのめり込んで目が覚める。

ドラッグストアに勤める友人のジェリとつるんでは、時にラップをくりひろげ、あちこち遊びまわっているパティだが、ある時路上のフリースタイルのラップバトルで相手を打ち負かしたパティはかすかな夢を抱き始める。ジェリと出かけたライブハウスで、客に罵倒されながらもハイテンポな曲を披露したボブに目をつけ、三人で曲作りを始める。

ただ、生活は苦しく、臨時雇いで入ったケータリングのバイトと掛け持ちながらの生活を続ける。そのバイト先で有名なDJを見かけたパティは早速、デモCDを渡す。

そんなある時、彼女はケータリングの仕事でOZの邸宅に派遣され、これがチャンスとデモCDを渡すが、罵倒された挙句相手にされず、パティは落ち込み、グループは解散。愛する祖母ナナも死んでしまう。

ところが、諦めたその時、かつてデモを渡したDJから連絡があり、コンテストに出て見ないかといわれ、再結成、大舞台に臨む。なんとOZもゲストで見にきていた。そこで満身の曲を披露、大喝采を浴びる。ナナの死で落ち込んでいた母もやってきて
かつての美声を披露、会場は盛り上がる。

コンテストは優勝ならなかったが、帰り道、あのDJがパティたちの曲を一番リクエストが多かったというコメントとともに流す。そしてエンディング。

全体にどこか噛み合わないのがもったいない作品ですが、ラストの曲の展開は最高。ここだけでも見た価値があるという感じの一本でした。