「アリータ バトル・エンジェル」
IMAXの方が上下の映像が多いということだったので、IMAX版を見る。終盤間近までは非常に面白いのですが、クライマックスから無理矢理終わらせた感が出て、一気に冷めてしまったのが本当に残念。監督はロバート・ロドリゲス。
空中都市からの廃棄物が地上に撒かれている現代、イド博士はそのスクラップを集めて、体の修繕をしている治療院を運営していた。この日も良質の部品探しにガラクタの中を歩いていると、一体、脳の損傷がない頭部のパーツを発見する。そして、かつて自分の娘に適用させるつもりだった機械の体を組み合わせて、一帯のサイボーグを完成させる。名前はアリータと名付けるが、彼女は戦闘ロボットだったことがわかる。
そして彼女はヒューゴという、ロボットパーツを集めて闇で売り、空中都市へ行く夢を持った青年と知り合い恋に落ちていく。
この世界には、ローラーボールのようなバトルゲームも行われていて、そこでチャンピオンになって空中世界へ行くという方法もあった。
アリータの体が、300年前のURM火星連邦の時代に作った最終兵器であることを知った空中世界に君臨するノヴァは地上にいるベクターを使い、さらに医者でイド博士の元妻のチレンを使って、アリータの心臓パーツを手に入れるため、グリュシュカなる化け物サイボーグを送りつけてくる。
その戦闘の中で、体のパーツを破壊されたアリータは、URM連邦の廃棄船に残っていた本来の体のパーツを身につけ、最強の戦士として蘇る。
展開がこの辺りからごちゃごちゃになり、ヒューゴがやたら鈍臭くて、すぐにアリータをピンチに巻き込む後半部分が実に荒くなってくる。ローラーボールのようなゲームでアリータがバトルするシーンは抜群に面白いのですが、その前後のドラマ部分が非常に弱い。
結局、ピンチばかり生み出していたヒューゴはとうとう肉体がなくなりサイボーグになるが、無理をして空中都市に向かったため、その防御兵器に殺されてしまう。とまあ、あっさり死んでしまう。
アリータは、空中都市に君臨するノヴァを倒すため、ローラーボールのようなゲームに参戦してチャンピオンにならんと場内を沸かせる場面でエンディング。
なんとも終盤ができの悪い映画だった。せっかくの造形が全てリセットされたような出来栄えは最悪でした。
「ノーザン・ソウル」
音楽のことはあまり詳しくないけれど、レトロ感が綺麗に出た青春映画の佳作という感じの映画でした。監督はエレイン・コンスタンティン。
主人公ジョンは、学校でも家庭でもいどころがなく、目標も見えない生活をしていた。時は1974年イギリスランカシャー地方。ジョンは通りの建物に落書きをしたり学校や家庭で悪態をついたりしながら、自堕落に過ごしていたが、ある日、両親の勧めでいったユースクラブで、マットという青年と出会う。彼はソウルミュージックを愛し、当時流行の音楽とは少し違った曲を選曲し、ダンスをし、ジョンを魅了する。
そのダンスは、ブルース・リーのカンフーのようでもあるインパクトのあるものだった。ジョンはマットと意気投合し、二人でソウルミュージックのDJを始める。そして、アメリカに行く夢を持って、仕入れたレコードなどをさばきながら金を貯め始めるが、マットは次第に薬に溺れていく。そんな時、同じソウルミュージックを愛する年上のショーンと出会う。
三人はさまざまなクラブを回りながら、青春を謳歌するように毎日を送るようになる。しかし、大量の薬を裁くショーンは、一方で警察の手入れに怯える日々を送っていた。もともと口の悪いマットはDJをしている時に勢いでショーンの住処を口走ってしまい、ショーンの家が警察に目をつけられてしまう。
そんなマットにジョンは次第に心が離れていく。そんな時、自宅が警察に踏み込まれ、すんでのところで逃げてきたショーンはジョンのところへやってくる。ショーンは手持ちの薬を売ってアメリカに行くつもりだったが、マットと車に乗っていて警察に追われ、事故を起こし、死んでしまう。
一方マットはジョンから愛想をつかされ、夜の道路工事の仕事をしていた。ジョンはマットを訪ねるが、マットはジョンを追い返してしまう。
仕事が終わり夜明け、車で帰路につくマットの目に、通りの建物に書かれた落書きが目に入る。それはジョンからのメッセージだった。マットはジョンを見つけ二人はまた元のようにソウルミュージックの話に花を咲かせながら歩き去って行って映画が終わる。
前半は暗い画面を意図的に演出し、マットとジョンのがむしゃらな毎日を描くが、ショーンが死に、いたたまれなくなったジョンが再びマットにところを訪れる下からは明るい画面演出を施し、爽やかなエンディングを迎える。
全体に途切れることなく流れるソウルミュージックと、画面いっぱいに映される若者たちが踊る姿が、非常にノスタルジックな時代描写となって映画を彩ってくれる。一昔前の青春映画という空気感が漂う作品でした。