くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「輪違屋糸里 京女たちの幕末」「クリード 炎の宿敵」「夜までドライブ」

輪違屋糸里 京女たちの幕末」

以前、上戸彩主演のテレビドラマ版を見たが、あちらの方が良かった気がします。主演した藤野涼子は決して下手な役者ではないですが、役者としての存在感が薄いために、脇役の中に埋もれてしまう。結果、この映画もテレビのスペシャルドラマ程度の出来栄えになった。主人公糸里の強さが見えないのが残念。監督は加島幹也。

 

京都島原の輪違屋に住まいする天神の糸里、憧れの太夫を夢見て毎日を送るが、時は幕末、壬生浪士組が京都の町をやりたい放題にしていた。そんな時、壬生浪士組の芹澤が糸里を可愛がってくれた太夫を無礼討ちにして殺してしまう。

 

男たちの権力争いの中に、否応なく関わっていく島原の糸里たちの生き様が物語の中心になっていく。

糸里は、壬生浪士組の副長土方を恋い焦がれ、友達の吉栄は平山五郎と夫婦の約束をする。

 

壬生浪士組新撰組と名を改め、芹澤派と近藤派の対立も激しくなってくる。そして、糸里らは土方から、芹澤、平山暗殺に手を貸すように依頼される。

 

所詮、島原の一天神と割り切った糸里らは、土方の計略に手を貸し、平山も芹澤も殺されてしまう。

会津藩主に召された糸里は、男たちのなされ方の誤りを堂々と告げ、会津藩主より、太夫として格上げされることになる。そして、糸里は名を改め桜木として、太夫となった勇姿で映画は終わる。

 

時折見せる光と陰を使った演出が随所に見られるが、非常に軽いし、役者のドラマ部分が、いまひとつ奥行きが見えない。それぞれの人物の心の苦悩がもう少し胸に迫ってくればもっといい映画に仕上がった気がします。

 

クリード 炎の宿敵」

2時間を超える作品なのに、エピソードのバランスがいいのか全く退屈しないし、ラストにじんわりと感動を呼んでくれる。娯楽映画としてはなかなかの佳作でした。監督はスティーブン・ケイプル・jr。

 

主人公アドニスクリードは、ロッキーの指導のもとヘビー級王座に上り詰め愛する恋人ビアンカとも結婚することになる。そんな彼に、かつての父アポロの宿敵、イワン・ドラコの息子ヴィクターが挑戦を仕掛けてくるところから映画が始まる。

 

ドラコ親子は、ロッキーに敗れたことで何もかも失い、母からも見放されてどん底になってしまった。そのリベンジと見返してやるという勢いで挑戦しに来たのだ。感情的に受けてたったクリードにロッキーはセコンドにつかず、結局、試合はクリードが惨敗するがヴィクターの反則でかろうじてチャンピオンの座を守る。

 

しかし、屈辱でどん底になるクリード。怪我が治っても、リングに復帰しようとしない。そんな彼に娘が生まれる。そして、家族を持ったことで何かが変わっていったクリードに、ドラコたちからさらに挑戦状が来る。

 

ロッキーは、クリードを野獣のようなボクサーとして再生させるべく、荒野の一角にあるならず者たちのジムで彼を鍛え上げる。そして、ドラコ達の挑戦に応じてロシアでの試合に臨むのがクライマックスとなる。

 

鍛え直されたクリードはヴィクターの猛攻にも耐え、とうとうダウンを奪う。一時はドラコ達を見直した母だが、一度のダウンで、見放してしまう。そんなヴィクターにドラコはタオルを投げる。そして、クリードはチャンピオンの座を守る。リング下のロッキーは「お前の時代が来た」と祝福する。

 

ロッキーは、疎遠だった息子に会いに行き、孫にも会う。映画はそこで終わる。このシリーズは本当に人間ドラマが良くできている。ドラコ親子の苦悩、ロッキーのドラマを背景にしたクリードの物語。故に、二番煎じのようだが感動してしまうのです。最後は胸に何か熱いものが残る。そんな作品でした。

 

夜までドライブ

犯罪部分はほとんど終盤に出てくるという、フィルムノワールというより人間ドラマ的な作品でしたが、ほのぼのしたエンディングで楽しかったです。監督はラオール・ウォルシュ

 

ジョーと弟のポールは仲が良い兄弟で、長距離トラックを走らせて生活している。無理な運転をするので、ポールの妻パールはやめてほしいと思っている。そんな二人の前で起こる事故などのエピソードの後、ジョーの友人でトラックで成功したエドが、いい仕事を回してくれ、ジョー達は大儲けするのだが、ポールの居眠り運転で事故を起こし、ポールは右腕をなくしてしまう。

 

エドは二人を雇うことにするが、エドの妻ラナは昔からジョーに片思いだった。一方ジョーは、夜道で車に乗せたキャシーと良い仲になり、結婚を決めていた。

 

ジョーが自分のものにならないラナは、ある時夫を事故に見せかけて殺してしまう。そしてジョーを共同経営者にして会社を運営していくが、いつまでたってもジョーを自分のものにできない上に、ジョーがキャシーと結婚することを聞き、ジョーに脅迫されて夫を殺したと訴え、ジョーは逮捕されてしまう。

 

しかし、裁判の場で、精神的に限界がきたラナは、精神異常をきたし病院へ送られ、ジョーは無罪となる。そして、従業員のたっての希望もあり、会社をそのまま経営していくことになりハッピーエンドとなる。

 

たわいのない物語でしが、ラナを演じたアイダ・ルピノの悪女ぶりが光る一本でした。