くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「KCIA 南山の部長たち」「危険な女たち」

KCIA 南山の部長たち」

面白いのだが、1979年の大統領暗殺事件を元にしたフィクションとテロップして始まっているのだからもう少し娯楽性に工夫があっても良かったかと思います。主人公のキム部長の人間ドラマを前面に出した脚本は分からなくもないのですが、大前提としてキム部長が政府のNo.2というほどの実力者、切れ物に見えないために、ただの小心者の高官という見え方になっているのは勿体無い。監督はウ・ミホ。

 

政府大統領に次ぐ力を誇る中央情報部KCIAの部長という立場の説明から、大統領暗殺計画当日の場面、そして遡ること四十日前というテロップで物語は始まる。

 

1961年の革命で大統領の役職に就いたパクは、かねての仲間でNo.2でもあるKCIAのキム部長を最近は疎んじ、調子良く取りいってくる警護部長のクァクを何かにつけ可愛がるようになっていた。そんな時、前KCIA部長のパクは、政府内の腐敗を告発する自伝をアメリカで書いているという情報が入る。大統領は前部長の行動を抑えるように側近に命ずるが、キム部長は、前部長の行動から大統領が目を覚ましてほしいと願う。

 

大統領から命令を受けたキムはパク前部長から告白文を返してもらうが、どこかからもれ雑誌に掲載されてしまう。追い詰められたキムは強硬にパクを亡き者にしようとするクァクに先んじてパクを暗殺する。友人でもあったパクを殺したキムはますます大統領に不信感を持っていくが、一方で、大統領はさらにクァクを重宝するようになる。

 

キムは、満を期して大統領暗殺を計画して、自ら大統領を撃ち殺す。そのまま、参謀総長を従えて情報局本部に戻るつもりだったが、迷った末陸軍本部へ行ってしまいそのまま逮捕される。

 

その後がテロップされて映画は終わるのですが、やたら喚くだけのクァク警護部長の描き方や、クールというより頼りなくしか見えないキムの描写、いかにも小物に見える大統領の映像などどれもにいつもの韓国映画の暗いながらも重々しさが出ていないのが残念。典型的な出来の悪い韓国映画という仕上がりでした。

 

「危険な女たち」

よく出来た二時間ドラマという仕上がりの作品ですが、なかなか面白かった。最後まで真面目に推理している自分がいました。一級品でも佳作でもないけれど、楽しめる娯楽映画だったかなと思います。監督は野村芳太郎

 

今は引退して隠居の身の元大病院の院長絹村家の別荘の場面から映画は始まる。毎年、この別荘で家族を含め関係者が集まるのである。病院を任せた棚瀬秀雄、紀子夫婦もくる予定であり、秀雄らの息子は小児喘息でこの別荘であづかっていた。近所に推理作家が住んでいて仲良くしている。

 

集まった人たちは早朝の釣りに出かけるが、そこで秀雄が息子が持っていたモデルガンで撃ち殺され、近くに紀子がピストルを持ったまま立っている姿で発見される。当然、紀子が疑われるが、持っていたピストルがおもちゃのモデルガンだとわかる。警察は犯人探しに途方に暮れるが、推理作家の男はこの事件をもとに小説を書き始め、やがて犯人像が見えてくる。

 

結局、真犯人は紀子で、彼女は、秀雄が様々な女と関係があることに嫉妬し計画を練ったものだった。しかし、集まった客の一人冴子は、秀雄が本当に愛していたのは紀子だと告げる。しかし、紀子は秀雄が冴子も愛していたことを話し、そこへやってきた推理作家の男らの前で毒入りコーヒーを飲んで自殺してしまう。

 

まあ、物語を書くとチンケな出来栄えだが、それなりに楽しめる仕上がりになっています。登場人物それぞれが適当に描かれているので

かなり雑な脚本ですが、まあ気楽な娯楽映画で見る分にはいいかなという作品だった気がします。