くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダーティ・ダンシング」

ダーティ・ダンシング

名作青春ダンス映画という触れ込みでしたが、当時、チェック入ってなかった一本をリバイバルで見ました。たしかにレトロ感満載の素敵なラブストーリーですが、映画の完成度としては普通という感じです。展開のテンポというか脚本が練り足りないのか、せっかくのダンスシーンのワクワクが中盤の練習シーンだけ見せ場になった感じで残念です。でも、アカデミー賞を取っただけのあるテーマ曲は素敵です。監督はエミール・アルドリーノ

 

モノクロームスローモーションのダンスシーンとメインタイトルから映画は幕を開ける。友人でホテル経営をしている富豪のパーティに向かうフランシスの家族の車の中の場面から映画は始まる。フランシスの父は医師で、それなりのセレブの家庭である。到着してみると大勢のセレブが集うまさに上流階級のパーティ。ウェイトレスには名門大学に通う学生を採用し、イベント担当にはいわゆる労働者階級の若者を採用して余興をさせるといういかにもな差別意識が露骨なパーティーだった。フランシスはみんなからベイビーと呼ばれるまだまだウブな女性だったが、セレブ故の不自由さに辟易としていた。

 

ディナーの席で主催者の孫のニールを紹介されて、仕方なくダンスをするベイビーだがなんとも居心地が悪い。姉は名門大学に通うロビーと親しくなる。ディナーではありきたりのダンスパーティだったが、ベイビーはそこで、ダンス教師で雇われているジョニーとペニーのダンスに引き込まれる。ディナーの後、ベイビーは、従業員向けになっている別棟で賑やかな音を聞いて惹かれる。そして、その建物の中に足を踏み入れ、セクシーに大胆に踊るジョニーと出会う。誘われるままにジョニーと踊るベイビー。自分たちの世界と違う何かを感じてしまう。

 

バカンスの間何度も従業員宿舎に足を踏み入れるベイビーだが、ある夜、台所の隅で泣いているペニーを見つけ、ジョニーに知らせる。ペニーは妊娠していて相手はロビーだという。遊ばれたのを受け入れたものの中絶する金が必要だが当然そんな大金はない。ベイビーは父親に頼み、内緒で大金を借りてペニーに渡すが、施術してもらう医師は木曜日しか空いていない。その日は抜けられない舞台があるという。そこでベイビーはその舞台に代役で出るべくジョニーの猛特訓を受け始める。映画の見せ場のほとんどがこの特訓シーンとなる。

 

やがて、ステージを無難に終えたジョニーとベイビーだがホテルに戻ってみるとペニーが苦しんでいた。やってきたのはモグリの医師だったのだ。ベイビーは父を起こし、ペニーを助けてもらうが、ベイビーの父はてっきりペニーの父はジョニーだと思った上にベイビーとの仲を知ってしまう。しかしベイビーは何度もジョニーと会い、やがて体を合わせる。ところが、バカンスも終盤に近づいた時、ビビアンという招待客の妻がロビーと一夜のアバンチュールを楽しんだ後、ジョニーとベイビーを見かけてしまう。

 

たまたまその夜、財布の盗難事件が起こり、ジョニーが疑われ、アリバイをはっきり言わないジョニーを庇うためにベイビーは一夜を過ごしたことを明かす。ジョニーはクビになり、ホテルを去っていく。

 

やがてバカンスの最終日がやってくる。ニールの提案でいつものダンスパーティは中止になり、ありきたりな合唱が披露され中、ジョニーが戻ってくる。そして、自前のレコードをかけ、ベイビー=フランシスを誘ってダンスを始める。その場がどんどん盛り上がり、集団ダンスシーンへ。そして映画は終わっていく。

 

ラストシーンがいかにもな取ってつけたような締めくくりになったのがなんとももったいないし、登場人部のそれぞれの心の変化がうまく描写しきれていないために、メインな楽曲とダンスシーン、そしてレトロな音楽のオンパレードだけが目立ってしまった感じです。爽やかな青春ラブストーリーだと思いますが、映画としてもうちょっと足りなかった気がします。でも、いつの世も父親は娘には甘いものです。