くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カモン カモン」「マリー・ミー」

「カモン カモン」

ちょっと、自己主張が見え隠れするところがあるけれど、美しいモノクロ映像で素朴な画面の中でのシンプルな物語の中にピュアなメッセージを織り交ぜていく作りはそれはそれで、洒落た作品になっていたと思います。監督はマイク・ミルズ

 

デトロイト、子供たちに、これからの未来についてどう考えるかをインタビューして録音する仕事をしている主人公ジョニーの姿から映画は幕を開ける。子供たちは、未来に何を求めたり、未来に何が起こるかなどを語っていく。ある時、妹のヴィヴから電話があり、夫のポールの症状が良くないので、見に行きたいという。ポールは偏執症のような症状で苦しんでいた。ヴィヴには一人息子のジェシーがいるが、連れて行けないので、しばらく見てくれないかと言われる。ジョニーは、ロサンゼルスへ行って、ジェシーの面倒を見ることにする。

 

ジョニーは、子供の扱いに翻弄されながらもジェシーと生活を共にし始める。ジェシーは、ジョニーの録音機材に興味を持ち、ジョニーの手伝いを始める。ところが、ポールの状態があまり良くなくて、今しばらく預かってほしいとヴィヴから連絡があったが、ジョニーはニューヨークでの次の仕事に向かわなければいけない。ジェシーに聞いてみると一緒に行きたいということなので、一緒に行くことになり、ジョニーの仕事仲間と一緒にジェシーも行動を共にするようになる。

 

物語は、ジョニーがインタビューしていく子供たちの言葉とジェシーの生身の行動とを重ね合わせながら、子供たちの、社会に向けている視点や、両親などに持っている感情などを綴っていく。時に、大騒ぎになったりしながらジェシーとジョニーはなんとかうまく過ごしていく。さらに、ジョニーは、ニューオーリンズに移ることになり、ジェシーも一緒についていくことになる。やがてポールの容態も快復に向かい始めたことで、ヴィヴはジェシーを迎えにいくからとジョニーに連絡が来る。

 

強がっていながらも、母と会える喜びをなかなか出さないジェシーにジョニーは素直になるようにと行動で示していく。やがて、ジョニーのスタッフたちとも別れを告げてジェシーはヴィヴの元へ帰っていく。ジェシーが、ジョニーの録音機に、ジョニーへの想いを録音した言葉をジョニーが再生して聴いている。「カモン カモン 先へ、先へ進む」その言葉を聞きながら、ヴィヴと暮らし始めたジェシーはジョニーと電話で話をして映画は終わっていく。エンドクレジットには延々と子供たちへのインタビューの声がかぶる。

 

少々、自己主張的な演出がしつこく感じられなくもないけれど、美しいモノクロ映像でそのしつこさを素直な作品に昇華させていく手腕はうまいなと思います。ここがこうというわかりやすい作品とはいえませんが、何か伝わってくるものを感じ取ることができる素敵な映画だったと思います。

 

「マリー・ミー」

これまでも何度も使い古されてきたシンデレララブストーリー的な作品ですが、劇中で流れる歌がどれも素敵なので、最後まで退屈せずに楽しめました。監督はカット・コイロ。

 

ポップスターのキャットが、間も無く結婚式で歌う「マリー・ミー」の曲に乗せて体を動かしている場面から映画は始まる。相手は音楽界の新星バスティアンだった。一方、ここに数学教師で、娘のルーと同じ学校へ赴任してきたチャーリーは、数学クラブを顧問する数学オタクで、ルーも数学の才能があった。しかし、ルーにはかつて数学の大会であがってしまって敗北したトラウマがあった。チャーリーの同僚のパーカーは、そんな二人のために、キャットの結婚披露ステージへ一緒に行こうと誘う。

 

出番を待つキャットだが、突然、バスティアンの浮気現場を撮った動画が配信され広まってしまう。キャットは、ステージに上がる直前にその動画を見てしまい、そのままステージに立つが、動揺を隠せず、バスティアンとの結婚ソングの予定の「マリー・ミー」を歌えず、たまたま会場に来ていたチャーリーが持っていた「マリー・ミー」のプラカードを見つけて、「あの人と結婚する」と叫んでしまう。訳もわからずステージに迎えられるチャーリーだが、余興程度のことだろうと話を合わせる。

 

しかし、バスティアンとの仲も冷めてしまった今、キャットのマネージャーらはチャーリーとの結婚をたとえ数ヶ月でも実現してこの場を収めようとする。あとは、キャットとチャーリーの物語が、例によっての流れで展開、次第にキャットは真面目にチャーリーに惹かれ始める。さらに、あがり症のルーのために、発表の場でダンスをすればいいなどとアドバイスする。また、自作の曲に歌詞がつけられないとルーに悩みを打ち明けたりする。

 

キャットとチャーリーの仲が深まっていき、遂に一晩を共にした翌日、プエルトリコに帰っていたバスティアンが急遽戻って来る。二人の曲「マリー・ミー」がグラミー賞ノミネートされたのだという。大喜びするキャットたちを見てチャーリーは身を引く決意をする。賞の受賞で盛り上がるキャットたちのパーティに顔を出したチャーリーは、さりげなく別れを告げる。

 

チャーリーと疎遠になったキャットは、かつて詩が書けなかった曲に詩をつける。それはチャーリーへの想いだった。そしてその曲はみるみるヒットチャートに上がっていく。バスティアンと出たテレビ番組で、キャットとバスティアンの仲が戻ったかのように紹介する司会者に、キャットは、変わらなければいけないとその場を立ち去り、ルーの出場している数学大会の会場へ向かう。そして、ルー、チャーリーと本当の恋を確かめたキャットが抱き合うシーンで映画は終わる。

 

よくあるお話で、今更というほど使い古された展開ですが、とにかく、キャットのジェニファー・ロペスバスティアン役のバルーマの歌う曲が素晴らしいので、飽きずに最後まで見ていられました。流れのテンポもいいし、楽しい作品でした。