くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「レミニセンス」「マスカレード・ナイト」

「レミニセンス」

面白く作ろうと複雑に組み立ててはいるのですが、そもそも、壮大な舞台の割にはお話がこじんまりとしていて、悪役のスケールも小さくて、小さくまとまった感満載の作品。たしかに、二転三転していく話と、感動のラストシーン、そこへ至る謎解きの流れは楽しめるし、ストーリーテリングもよくできているので、わかりやすいのですが、どうも小さい。まあ、この程度だろうなという想像レベルに楽しんだ作品でした。監督はリサ・ジョイ。

 

都市が水に沈んだ近未来、記憶潜入=レミニセンスという装置で、人の過去の記憶を探る仕事をしている主人公ニックの姿から映画は始まる。この日もかつての戦友で足のない男の懐かしい記憶を呼び起こしてやってやる。ニックの相棒にワッツ遠い女性がいて、彼女の娘は行方不明のままである。そんなニックの元に一人の女性メイが現れる。鍵を無くしたから探って欲しいという。彼女の記憶を辿るうちに、ニックは何か惹かれるものがありどんどんのめり込んで愛し合ったいくが、彼女は行方不明となる。

 

ニックは彼女の記憶を辿る中、一人のバッカという麻薬の売人ジョーの愛人になる場面を発見、ニックは、ジョーに近づくが返り討ちにされかける。そこへ助けにきたのがワッツで、このワッツがやたら強いのが爽快。というより従軍経験のあるニックがやたら弱いのが不自然。そして、ジョーの動画を見ているうちに、悪徳警官ブースの存在を見つける。ニックはブースを追い詰め、ついに彼を捉えて記憶を再現する。

 

ブースは不動産王の愛人エミリーと息子フレディを殺すように不動産王の息子から依頼されていた。それは不動産王が亡くなり、その相続財産を独り占めしたいが故のことだった。ブースはメイを使ってニックに近づき、ニックを誘惑して、保管庫のエミリーの記憶のデータを盗ませようとしたのだ。エミリーもまたニックの顧客であった。メイとニックが出会ったのは全て仕組まれたものだったが、メイはニックを愛してしまったのだ。

 

エミリーのデータから、ブースはエミリーを発見、エミリーは殺されたが、息子にフレディはメイが助けて逃してやる。その行き先を見つけるためにメイを捕らえたブースだが、メイは自らの命をかけて記憶を守る。その記憶の再現する中、メイはニックにフレディの居場所を教えていた。フレディは、かつてメイが津波が襲った時海上で助けられた海の上の家にいた。ブースの記憶から全てを知ったニックはブースをバーン(レミニセンスによる記憶の暴走で発狂させる)させる。

 

ニックは全てを検察に知らせる代わりに、自分はメイとの楽しい思い出だけに浸るためレミニセンスの中にとどまることを許される。その前に、ワッツの元を訪れ、ワッツに想いを届ける。時がたち、年老いたワッツは、行方不明だった娘といっしょにニックが眠る装置のところを訪れる。ニックはメイとの楽しい思い出の中にいた。こうして映画は終わる。

 

お話の複雑な構成の面白さはさすがに脚本が整理されていてよくわかるが、とにかくスケールがこじんまりして小さい。物語の本筋が愛人を亡き者にするための犯罪というのはさすがにしょぼい。でも面白かった。

 

「マスカレード・ナイト」

前作同様、普通に面白かった。真犯人は大体途中でわかるほどフェイクが効きすぎていたとはいえ、まあ楽しめる娯楽作品には仕上がっていたので満足です。監督は鈴木雅之

 

新田刑事がなぜかタンゴのレッスンを受けていて踊っている。一方、何かの犯罪の目撃情報がファックスで入ってくる。そして、ホテル・コルテシア東京ではコンシェリジュとなった山岸が働いている。風船を小道具に小気味良いカットで転換して、都内で起きた殺人事件の捜査会議から、次の現場はホテル・コルテシアのカウントダウンパーティで起こると連絡が来て物語は本編へ。

 

例によって新田と山岸の掛け合いから、刑事たちが潜入捜査に入り、カウントダウンパーティが仮装パーティであることから、パーティまでに犯人の目星をつけなければという緊張感が走るはずが、全く緊張感はなく、何のための時間制限設定かと思う。そんな中、次々と怪しい人物が客としてやってくるという前作同様の流れは、今回真新しさがないのは残念。

 

そして、それほどの緊迫感もないままに仮装パーティが始まってしまい、誰が誰か分からない中での最後の推理で盛り上がるべきが、種明かしの鮮やかさだけを一気に映像で見せていく慌ただしさは、もう一工夫欲しいところでした。しかも、新田が犯人と目星をつけた人物とタンゴを踊るというサービスもある。

 

少し遡って、山岸は怪しい人物を一人でつけていき、何故か犯人に狙われて、被害者であるターゲットの貝塚と一緒にタイマーで繋がれるというかなり雑なクライマックスは、原作がどの程度かわからないけれど、さすがにお粗末。新田が駆けつけ、冒頭の山岸の腕時計の伏線が生かされて、タイマーが5分ずれていて助かるのですが、というより、現場に飛び込んだ刑事たちが被害者に手も触れずに死んだことになって落胆するってお粗末この上ない演出はさすがにないでしょう。

 

結局真犯人仲根緑(途中でわかってしまう)を問い詰める迫力にもかけたままに、ハッピーエンドで大団円。怪しい一人日下部もホテルのロスの支店からの関係者という落ちも、それまでの流れがしつこすぎたのが仇となっての幕切れ。そして山岸がロスに行きことになり何もかもおさまって映画は終わります。

 

原作もそうなのでしょうが、いかにもフェイクなエピソードがしつこすぎるのと、メリハリのない中盤までの流れ、大慌てで締めくくるクライマックスと、少々バランスの悪い出来栄えでしたが、まあ面白かったから、この手のエンタメはこれでいいと思います。