くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」「キッチン」「悲しい色やねん」

「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」

さすがディズニーアニメというほど、造形や色彩美術は抜群に美しいのですが、どこか初期の宮崎アニメを思わせるように感じたのは私だけでしょうか。ストーリー的には非常に普通だし、ディズニーらしい夢と冒険、愛くるしいキャラクターも登場しない、サラの主人公の息子がゲイだったり、妻が黒人だったり、飼い犬の片足がなかったりと、ちょっと、今風を無理やり取り入れた感が鼻についた。しかも、物語は一昔前の父と息子の確執だったりするのがどこか中途半端。ディズニーアニメはもっと夢を見させて欲しいと思いました。監督はドン・ホール。

 

モノクロ2Dアニメから映画は幕を開ける。周囲を険しい山に囲まれたアヴァロニア国王国、冒険家のイェーガーとその息子サーチャたちは、山の向こうを目指して探検していた。しかし、やたら冒険好きの父イェーガーに、息子のサーチャーは違和感を持っていた。吹雪を進むイェーガー達は、途中、サーチャーが見つけた緑の植物に未来を感じた隊員達とサーチャーは、前に進みたいというイェーガーと対立、イェーガーは一人山の向こうを目指してしまう。

 

それから二十五年が経つ。サーチャーが見つけた緑の植物パンドは、国にエネルギーをもたらし、その栽培を行うサーチャーは、今や結婚し息子イーサンも生まれていた。思春期のイーサンは農夫として育てようとするサーチャーと時に対立するようになっていた。そんな時、大統領のカリストがやってきて、パンドが何かに冒され撲滅の危機に瀕していると告げる。そしてパンドの木の大元が地下にあるらしいから一緒に来て欲しいと頼まれる。

 

サーチャーは、パンドの危機ならとカリストの船に乗り込むが、イーサンも密かに乗り込んでいた。定番の展開で、イーサンを追ってサーチャーの妻メリディアもやってくる。地下に突入したサーチャー達は、広大な不思議世界ストレンジ・ワールドを目撃する。そこで、彼らは行方不明だった父イェーガーと再会する。彼はいまだに山の向こうを目指していたが、途中にある火の湖に阻まれているのだという。イェーガーはサーチャーらの船に乗り、イーサンが出会ったアメーバ状の生物スプレッドと一緒にパンドの大元を目指す。

 

途中、ピンクの翼の生き物や、蛸足の生き物に襲われながらも、根元に辿り着いたが、そこではパンドは必死でピンクの生き物や蛸足の生き物と戦っていて弱っていた。サーチャーは、パンドを粉状にして散布する事でピンクの生物などが退治できると、噴霧器を作り撒き始める。しかし、たまたまサーチャーと喧嘩したイーサンは、一人乗りバイクで飛び出して、気がつくと大海原が目の前に広がっていた。そして背後には巨大な目があった。アヴァロニア国は、巨大生物の背中にあったので、パンドの根元はその生物の心臓にとりついた病原体で、ピンクの生物や蛸足の生物は免疫機能だったと気がつく。

 

慌てて戻ったサーチャー達は、巨大生物の心臓に張り付いたパンドの壁を壊し、ピンクの生物などを呼び込んで見事パンドを破壊する。そして心臓はまた動き始めた。全て丸く治ってサーチャーらはアヴァロニア国に戻ってきて幸せな日々が戻って映画は終わる。

 

ちょっと無理のある雑な展開がある気がしますし、ディズニー映画らしいワクワク感が何もなかった。いつもならラストにスピーディなドキドキが出てくるのですがないし、魅力的なキャラクターも物足りないし、ちょっといつものディズニーアニメらしくない映画だった気がします。

 

「キッチン」

初公開以来の再見ですが、個人的にも大好きな映画、やっぱりとっても素敵な作品でした。全体の空気感といい、バブル全盛期の洒落た雰囲気といい、どこかしこがみんな映画の世界になっています。それに抜群に良いのが川原亜矢子さん、ニコッと微笑むだけで引き込まれてしまう上に、飛び抜けたプロポーションが魅力で、しかも透明感抜群、本当におしゃれな映画でした。監督は森田芳光

 

画面の真ん中に冷蔵庫があって、そばに寝ている主人公のみかげが目覚めて、水を飲む場面から映画は始まります。祖母を亡くし、落ち込んでいる彼女に、祖母の友人で近くに住む雄一から、しばらく自分のマンションで住まないかと誘われる。そこは高級マンションで、雄一の母でおかまの絵里子が一緒に住んでいた。料理教室に通いながら雄一の部屋で暮らすみかげのさりげない日々を淡々とスタイリッシュに描いていく。

 

絵里子は、みかげを気に入り、何かにつけ世話を焼いたりする。みかげは元彼にお茶に誘われたり、料理教室の友人と楽しんだりする日々。みかげのところに雄一の彼女らしい女が嫌味を言いにきたりするがさらりと交わしてしまうみかげ。みかげは料理教室の友人と一緒に暮らすことになり、雄一の部屋を出るが、寂しくなった絵里子は自ら精神病だからと病院に入院して、そこで一人の医師と知り合う。

 

そんなみかげは、雄一に誘われて、雄一のマンションに再度移るが、まもなくして絵里子が恋人の医師と戻ってきて暮らすようになる。そこでみかげと雄一は家を出て二人で暮らすことを決意する。海辺の白い家に引っ越すのを温かくみまもる絵里子。雄一とみかげが満月を眺める場面で映画は終わる。

 

雄一の高級マンションがまずとっても洒落た舞台となり、さりげなく配置されたワープロの使い方や、ハイセンスな冷蔵庫などなどが映画の雰囲気をとってもスタイリッシュに引き締めています。絵里子役の橋爪功が徹底的に俳優として演技をし、他の人物が素朴に演じていく相対感も実に上手い。こういう映画を作れなくなったなと思います。やはり、大好きな映画です。

 

悲しい色やねん

初公開以来の再見。ほとんどお話を覚えていなかったけれど、森田監督のお遊び満載の作品で、映画としては面白いけれど、ふざけてますね感満載の一本でした。監督は森田芳光

 

救急車に乗ってハイスピードで走るニ台の車、一台にはトオル、もう一台には財閥御殿山の娘ミキが乗っている。こうして二人は出会う。トオルの父は夕張組の親分だが、トオルは銀行員だった。トオルには高校時代からの親友桐山がいるが彼は夕張組に敵対する三池組の幹部だった。

 

トオルの父は、ある時お遍路旅をすると家を出るが、旅先で、三池組のもと親分の家に偶然立ち寄って大怪我をさせられる。敵討しようとする夕張組の組員を押し留めようとしたのはトオルだった。トオルは桐山との友情を使って。その場は収める。そして、父を説得して、組を解散させ堅気の会社を起こさせて自分は社長となり父を隠居させる。ところが不満が募った元組員の一人が薬の密売を再開したため、桐山に殺されてしまう。

 

トオルの夢は、将来カジノを作る事だった。そんな野望に難色を示す三池組、さらにトオルに惚れてしまった堂山病院の娘マコもミキへの嫉妬からちょっかいを出してくる。さらに、桐山が何者かに襲われ、夕張組の仕業だとされたことから徐々に事が大きくなり、とうとうトオルの父が殺されてしまい、トオルは復讐にために三池組の親分が隠れている堂山病院へ殴り込んでいく。実はマコが裏で手を回していた。マコは桐山を撃ち殺し、トオルはマコを撃ち殺して映画は終わっていく。

 

なんのことはない、ヤクザ抗争映画ですが、森田芳光ならではのお遊びが満載で、久しぶりに森田ワールドを楽しめました。