くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「砂の小舟」「七人の野獣 血の宣言」「脱獄者」

「砂の小舟」(丹波哲郎の地上より大霊界)

なんだこりゃという珍品映画で、ファンタジーなのか宗教映画なのか、青春映画なのか、意味不明とはこのことをいう一本でした。監督は丹波哲郎、原田雄一。

 

鬼の面を被った素裸の少年少女が寺の境内を走り回っている。男の子は口がきけず、女の子のお尻には大きな文字のあざがある。時が立って大人になった青年と少女が浜辺で戯れていると、浜で小舟を見つける。掘り出して船に乗ると船は自然と動き始め、洞窟の中に二人を連れていく。

 

突然気を失った二人が目を覚ますと一千年の時が遡っていた。二人は若殿と姫と呼ばれ、何やら怪しい坊さんが義経の首だという髑髏を手渡す。若殿と姫は裸になり、丸坊主にされて、姫のお尻には焼き印が押される。二人は森へ逃げ、そこで盗賊たちと出会った二人だが、青年は舌を切られ、少女はあわや手籠にされる時大地震が起こる。

 

目を覚ますと二人は船の中だった。碇と一緒に髑髏が引き上げられ、その髑髏を丘の上にあった墓らしい石に埋める。そして船に乗ると、いつの間にか青年は口が聞けるようになり、少女のアザも消えている。二人は浜に着き、船は沖へ流れていって映画は終わる。

 

なんともコメントできない奇妙な一本だった。

 

「七人の野獣 血の宣言」

全くのドタバタ劇で、支離滅裂に展開するドラマですが、何にも考えずにケラケラ笑ってしまう。これが娯楽映画の王道ですね。登場人物が出鱈目なのに、それぞれが実に個性的で面白い。楽しいひとときを過ごしました。監督は江崎実生。

 

バナナの叩き売りをしている場面から映画が始まり、目の前の銀行に小切手詐欺の男が金を下ろそうとやってきて警察に通報される。あっさり捕まって留置所の中。知り合いと一緒に取調室に行き、一人の刑事に尋問されるが。実は偽刑事で、そのまま脱走、車の中で儲け話を持ちかけられる。偽刑事は木戸という元刑事の男だった。

 

競馬場から金を奪う計画のあるヤクザ者たちから金を横取りするというのが計画で、いよいよ決行。ところが。次から次と裏切り行為が展開して、金はどこへいくのやらという展開。そして、最初のヤクザ者が金を持ち逃げしたので、その娘を木戸らが誘拐して交換条件を出すが、ここでも裏切り行為が縦横無尽に展開される。木戸は手製の戦車を持ち込んでヤクザの屋敷に突撃して、大暴れの末結局金はヤクザの情婦に持ち逃げされる。

 

空港で情婦はすれ違った尼に金を取られ、結局一文なし。木戸らは警察に捕まるが、留置所の中でエースのジョーならぬキザな男から、儲け話があるからと持ちかけられて映画は終わる。

 

よくもまあ、ここまでやりたい放題にしたものだと思うが、こうすれば面白いやろというのを好き放題に映像にしていくバイタリティに頭が下がります。本当に気楽で肩の凝らない娯楽映画でした。

 

「脱獄者」

完全に中途半端になった映画でした。アクション場面が次々と展開していくのですが、時間切れになったのか、いきなり脱獄場面になって、ラストシーへつながって終わる。量産時代の一本という映画でした。監督は池広一夫

 

三郎が勤めているダンスホールにいきなり機関銃を持った男たちがきて、店をめちゃくちゃにして出ていく。この店は須藤組の縄張りの店で、敵対する辻本組の仕業ではないかと疑われた。警視庁の鬼警部補一郎は麻薬取引で暗躍する須藤組と辻本組の捜査を進めていた。生ぬるい捜査では埒が開かないと強引な取り調べで、署内でも疎まれている。

 

一郎の捜査に嫌気がさし始めていた須藤は、三郎を利用し、一郎を罠にかけ、殺人の濡れ衣を着せることに成功する。二十年の刑で服役することになった一朗だが、義父は須藤の策略で殺されてしまう。一郎は脱獄することを決意し、たまたま獄舎で突然死した男の死体と入れ替わって脱出、須藤たちを追い詰め銃撃戦の後、須藤らを倒し、三郎を改心させて警察に全て話すことを了解させて二人で警察へ向かう。こうして映画は終わる。

 

物語の構成がおかしくなっていて、脱獄するまでが妙にダラダラと長く、脱獄してから、あっさりとエンディングになってしまう。なんとも言えないアクション映画でした。