くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「東京リベンジャーズ2血のハロウィン編-運命-」「午前4時にパリの夜は明ける」「若き仕立て屋の恋 Long Version」

「東京リベンジャーズ2血のハロウィン編-運命-」

後半の物語の前提となるエピソードの説明だけの作品で、ここまで悪どい商売されるとちょっと引いてしまう。アクションシーンもドラマシーンもそれほど凝ったものはなく、どちらかというとかなり破綻したダイジェストのような映画だった。監督は英勉

 

前作でヒナタの命を守ったタケミチは、ハロウィンを間近に控えた夜、彼女とデートをする。しかし、過去にタケミチに振られたと言うヒナタの言葉に、何かが変わったことに動揺したタケミチは落ち着くためにトイレに行き、戻ってみるとヒナタは自分の車の中にいた。タケミチが車に向かおうとすると背後から突進してきた車がヒナタの車に激突、タケミチはヒナタを助けようとするが、ヒナタは足を挟まれ抜け出せず、タケミチを突き飛ばす。その途端車は大爆発、ヒナタはまたも死んでしまう。

 

タケミチはヒナタの葬儀で、ナオトにもう一度過去に戻ると宣言する。ナオトが調べてみると、タケミチ救ったはずのドラケンは、今は刑務所にいるという。ドラケンなき後東京卍会が狂ったことを知ったタケミチは、その原因となった場地が東京卍会を抜けた理由を探りに過去へ戻る。

 

過去に戻ったタケミチは、東京卍会の三番隊リーダーにメビウスのキサキが選ばれる現場に遭遇する。タケミチはそれを阻止しようといきなり殴りかかるが、そこに一番隊ののリーダー場地が現れ、マイキーのやり方が気に食わないと東京卍会を抜け、新興勢力のバルハラに行くと宣言して出ていく。バルハラは、俄かに勢力を拡大してきたグループで東京卍会を敵とみなしていた。タケミチはマイキーの親友でもある場地を連れ戻すのがヒナタを救う鍵だと考え、マイキーに、場地を連れ戻したらキサキを追い出すという交換条件を提案して受け入れられる。

 

タケミチは、学校でバルハラの幹部一虎に誘われバルハラのアジトに行く。そこでは場地が一番隊副隊長千冬をリンチにして、バルハラへの忠誠を示していた。タケミチは、場地を連れ戻すこともできず千冬といっしょに殴られてしまう。千冬はタケミチに東京卍会の悲しい過去を説明する。

 

かつて東京卍会は、マイキー、ドラケン、場地、三ツ谷、パーちん、一虎で結成された。原チャリしか乗らないマイキーの誕生日に、一虎は、マイキーが憧れていたバイクをプレゼントするためバイク屋に泥棒に入ろうと場地に提案する。場地は乗り気ではなかったが、深夜バイク屋に忍び込むがそこにオーナーの真一郎が現れる。それはマイキーの兄だった。場地は怯むが、舞い上がっていた一虎は、誤って真一郎を襲って殺してしまう。一虎はマイキーのためにしたことだから悪いのはマイキーだと逆恨みしてしまう。二人はそのまま逮捕されるが一虎は自分一人のことだと少年院に送られた。場地は一虎に、一生仲間として生きていくと約束する。

 

出てきた一虎は半間らとバルハラを結成する。半間は元メビウスのメンバーだった。半間も一虎もマイキーを憎んでいて、東京卍会を敵視していた。そして、10月31日決戦をすることを告げる。ドラケンはこの対決に反対だった。タケミチはドラケンに再度会いに行く。そこでドラケンは、あの抗争で東京卍会はバルハラに負けたことを話す。その原因はマイキーが一虎を殺したためだった。実はマイキーこそバルハラのトップだった。タケミチは、全てを正し、ヒナタの命を救うためもう一度過去に戻ることを決意して映画は終わる。

 

ということで、この前編を見ておいた上で後半を楽しんでくださいという作品で、もうちょっと工夫すれば一本で仕上げられるだろうにという映画だった。

 

「午前4時にパリの夜は明ける」

とってもセンスのいい素敵な映画。ある家族の七年間の物語を切り取った作品ですが、所々に挿入されるスタンダードサイズのパリの景色のカットが心地よい映像のリズムを作り出して、登場人物が語る恋のドラマ、仕事のドラマ、人生のドラマに、いつの間にかしんみりと胸を締め付けられる感動を呼び起こしていきます。いい映画でした。監督はミカエル・アース。

 

一人の女性タルラが駅の路線案内を見ている場面、その案内掲示板にランプが点り、まるで星座のように切り替わっていく映像にタイトルがかぶる。夫と離婚し、一人で子供二人を育てることになったエリザベートは、父の訪問を受け、これからの人生の苦難を相談している。息子のマチアスは反抗期だが、母を慕っている。娘のジュディットは母に寄り添っている。

 

エリザベートは、深夜放送のヴァンダのラジオ番組の電話受付の仕事を得る。そこで家出少女タルラと知り合い、路上生活するタルラを家に招き入れて住まわせてやる。タルラはマチアスやジュディットと仲良くなり映画に行ったりして過ごす。一方のエリザベートは、夫がいなくなり心細い思いをする中、番組のプロデューサーと体を合わせて寂しさを紛らわすが、それも続かなかった。

 

マチアスはタルラと夜の街に繰り出し、遊んでいるうちに川に落ちてしまう。びしょ濡れのまま帰ってきたマチアスとタルラは、タルラの部屋で体を合わせる。翌朝。タルラの姿はなかった。

 

時が経ち、エリザベートはラジオの仕事も順調で図書館でのパートの仕事もうまく行っていた。娘のジュディットは一人暮らしをしている。マチアスも仕事についていた。エリザベートは図書館に来る客の男性と恋に落ちていた。それぞれが人生を順調に過ごしている。

 

そんな時、路上で倒れているタルラと再会する。彼女は麻薬常習者になっていた。エリザベートは彼女を自宅に招き、しばらく介抱してやる。やがてタルラは映画の仕事につくようになる。マチアスとの関係は親しい友達という心地よい関係になっていた。エリザベートはタルラの立ち直りに力を注いでやり、タルラもそれなりに前に向き出していた。ある朝、タルラは旅立っていく。

 

エリザベートは恋人と暮らすことになる。初めて子供の元を離れるエリザベートは、複雑な思いと希望に満ちていた。引っ越すにあたり、かつて夫と別れた頃につけ出した日記をジュディットにプレゼントする。そこには一人の女性の、苦しいながらも幸せなひとときが綴られていた。マチアスも大人になり、それぞれがそれぞれの人生を歩み出している描写で映画は終わっていく。

 

さりげないインサートカットが実にうまい。音楽のセンスも映像展開のリズム感も抜群に品が良くて、映画がとっても素敵な作品に仕上がっています。いい映画です。

 

「若き仕立て屋の恋 Long Version」

2001年制作のオムニバス映画「愛の神 エロス」の一編のロングバージョンということだがオリジナルは見ていない。監督はウォン・カーウァイで、クオリティは高いですが、彼らしい映像とはいえやはり短編作品の一編という仕上がりの映画でした。

 

若い仕立て人チャンが顧客のホアを訪ねていくところから映画は始まる。ホアは高級娼婦で、裕福なパトロンがいるために仕立て屋からは上得意だった。情事の声を聞きながらチャンは待っていたが、ホアの部屋に呼ばれた際、ついて勃起しているのを見破られてしまう。そしてホアは自分の手でチャンの股間を刺激する。

 

それからチャンはホアの部屋に頻繁に仕事で訪れるようになるが、それは初々しいチャンの密かな初恋でもあった。たくさんのドレスを作り届けるチャンだが、やがてホアも年を重ね、裕福なパトロンも離れるようになって、精彩を欠いていき、ドレスの支払いも滞り始める。それでもチャンはホアへの思いを途切れる事はなかったが、ある時ホアは行方をくらましてしまう。

 

数年が経ち、戻ってきたホアは体を壊していた。チャンはホアの体を優しく触り、かつて作ったドレスのサイズの直しをして届けるが、ベッドで起き上がることもできなくなったホアの姿があった。チャンはホアに口づけしようとするが、感染するからと頑なに拒否するホアだった。それでも執拗に唇を重ねるチャンに、ホアはかつて初めて会った時のように股間を刺激する。

 

仕事場に帰ってきたチャンは親方に、ホアは大勢に見送られて空港から旅立ったと報告する。そんなチャンに親方は次の仕事の具合を聞く。こうして映画は終わる。

 

美しいカットと映像は見事ですが、短編映画の域を出ないので、ちょっとお話は軽い感じでした。