くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「東京リベンジャーズ2血のハロウィン編 決戦」「同じ下着を着るふたりの女」

「東京リベンジャーズ2血のハロウィン編 決戦」

前編で人物と舞台設定を説明して、今回の後編はひたすら喧嘩シーンという、かなり雑な作りになったのと、日向を守るという本来の武道のタイムトリップする原因となる本筋よりも東京卍会の中の友情物語に終始したので、原作ファンはそれなりに楽しめたかもしれないけど、映画版の最初から見ている者にはちょっと寂しさが残ってしまいました。監督は英勉

 

武道が獄中のドラケンから、東京卍会がバルハラとの決戦で負けたという告白シーンから映画は幕を開ける。武道はその原因になるマイキーの死、場地の死を阻止するべく、再度タイムトリップする。そして、場地に喧嘩をやめて東京卍会に戻って欲しいとタイマンを張るも結局負けてしまう。武道を信じる千冬は、かつて新入生の頃場地の凄さを知り、ついて行くことに決めていた。

 

やがてハロウィンの日、東京卍会とバルハラの決戦の火蓋が切られる。一進一退で戦う両者、マイキーは一虎との一騎打ちに出るが、一虎の策略でマイキーは瀕死の重症となる。あわや東京卍会敗北かと思われたが、バルハラの場地は執拗に東京卍会のキサキに襲いかかる。キサキは東京卍会を乗っ取るという野望があることを知っていたのだ。

 

キサキを倒した場地は、一虎に、これからもずっと仲間だと告げるが、突然一虎は場地を刺す。その場に倒れた場地を見たマイキーは一虎に襲いかかり、殺す寸前まで殴るが、そこに瀕死の場地現れ、自らナイフを刺し、一虎が自分を殺したわけではないと訴えてマイキーを止める。場地はその場で命を亡くし、決戦は収束に向かう。東京卍会は場地もまた創立メンバーだった。武道は東京卍会のトップになり、ずっとみんなを守ると宣言する。

 

ハロウィンの次の日、イベントもない桟橋に武道と日向がいた。武道は日向を守るのは別れるしかないと決断し、日向に別れを告げる。そして、東京卍会の集会、武道は場地の後を継いで1番隊隊長となり、元の世界に戻らず、ずっと東京卍会を見守ることを宣言して映画は終わる。

 

原作の全体の物語を集約した感じの脚本になっていて、少々無理が伴っているのがラストに出てしまった感じです。一本の話としてまとまっていた第一作からちょっとレベルが落ちたのは残念。

 

「同じ下着を着るふたりの女

全編、韓国映画らしい鬱陶しさと品の悪さに覆われているのですが、映像全体から伝わってくる誰も表立って言い出せなかった言葉にならない辛辣なリアリティと、なんとも言えない空気感が並の映画のレベルを超えている怖さが見え隠れしてきて、自分の鑑賞眼ではついていけなくて、終盤気を失ってしまった。突拍子もない傑作のようでもあり、実は凡作の極みでもあるかもしれないなかなかの作品を堪能した気がします。監督はキム・セイン。

 

一人の娘イジョンが洗面所で洗い物をしている。傍の便器に母スギョンが座っていて、脱いだ下着をイジョンが洗っている洗面台に放り込む。当たり前のように洗い始めるイジョン。自分も下着を脱ぐが生理なのか汚れていて、それを洗面台に入れる。スギョンは洗っている下着をイジョンから受け取り濡れたまま履いて職場で乾かしている。スギョンとイジョンはことあるごとに悪態をつきながら、スギョンは恋人ジョンヨルと逢瀬を繰り返し、娘のスジョンを蔑ろにする。

 

ある時、スーパーに買い物に行き、スギョンがイジョンに荷物を持たせたまま、車に乗ってしまったので、イジョンは後を追って車に乗り言い合った末車を降りて車の前に立つ。離れていくイジョンに、死ねば、と呟いてスギョンの車が発進してイジョンを跳ねてしまう。しかも、車が勝手に発進したから車の欠陥だと言い張るスギョン。イジョンは骨折してしばらく入院するが、そっけない態度をとるスギョン。保険会社は車が悪いのではなく過失だと決め、イジョンもそれに同意する。スギョンは車の会社を訴えるが、イジョンは証人となってスギョンの過失を証明したりする。

 

スギョンはジョンヨルの娘ソラと一緒に過ごしたりするがソラはスギョンを受け入れない。しかも、ソラはたまたまソラの部屋でオナニーグッズを見つけてしまったスギョンにさらに敵意を向けてる。結果、ソラは祖母の家に住むことになる。ジョンヨルは何かにつけてスギョンに自分たち家族に合わせるようにと無言で迫ってくる。

 

イジョンはスギョンと喧嘩した末、家を出て妹のところに居候する。イジョンは新しく勤め先に入ってきたスヒと親しくなり、彼女に癒しを求め始める。上司がスヒに厳しく当たるのを見てスヒを擁護したりするが、スヒは一向にイジョンに恩を感じていなくて、ある時無断で退職して転職してしまう。一人食事をしているスギョンを見つけたイジョンが向かいに座ると、スギョンは、苦労してイジョンを育てたのだから、愚痴ぐらい聞いてもいいのではないかと責める。

 

イジョンはスギョンの家に戻ってくるが、スギョン宛にきたジョンヨルからのプレゼントのコートを勝手に自分のものにしてしまう。たまたまジョンヨルからの電話で、自分にプレゼントが贈られたのを知ったスギョンはイジョンからコートを取り上げ、派手な下着の上に着込んでジョンヨルに招待されたレストランへ行くとソラもいた。

 

スギョンはコートを脱いで下着姿になり、そのままジョンヨルの元を離れる。ある時、イジョンが車を運転すると突然暴走し、壁でなんとか止まった。やはり車は欠陥品だったのか、スクラップ場で壊される映像が続く。スギョンは家ではイジョンは精神的に問題があるのだから病院へ行くべきだと責め、イジョンもまたそれを認めたりするが、二人の言い争いでしかない。

 

イジョンは、一人下着の店に行く。ブラのサイズを聞かれ答えられず、店員に測ってもらう。スギョンはリコーダーの練習をしている。延々とこのシーンが捉えられ。映画は終わっていく。

 

同じ下着を母と共有していたイジョンは、実はどこか精神的に母に依存している未完成な人間だったのか。独り立ちした妹は正常だったのか。娘に自分の愚痴ぐらい聞いて欲しいと責めるスギョンの言葉は実は世の母親の本音なのではないか。誰もが口に出さない本音をあからさまに炙り出していく演出が恐ろしいほどリアリティに溢れていて、実際、ここまで露骨にすれば人間関係は成り立たないのかもしれないが、そこを暴いた映像表現はかなり恐ろしささえ感じてしまいます。全てを理解できたとは言えませんが、相当なハイレベルな映画だった気がします。