くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エピデミック〜伝染病〜」(4Kデジタル修復版)」「死霊館のシスター 呪いの秘密」

「エピデミック〜伝染病〜」

モノクロシンプルなストーリーにトリアーらしい感覚が満載された映画でした。劇中劇の形式を取りながらいつの間にか現実か架空の世界か分からなくなる展開がなんともファンタジックと言うかミステリアスという作品で楽しめました。監督はラース・フォン・トリアー

 

ニルスという男が電話をしていて、映画の脚本が出来たらしいと確認している。保存されているフロッピーディスクを開いてみると全て消えていて、仕方なく思い出しながら描き始めることにする。題名は「エピデミック」、細菌感染された街を舞台に一人の医師メルメスが奮闘する姿を描いた内容らしいが、物語の中では、感染が広がり政府役人が全員医療関係者のみになる展開となる。そして最初の感染者はメルメスの看護師で、メルメスのカバンの中に細菌が潜んでいたらしいと言う流れに。そこにカミュの「ペスト」のエピソードなどが交えられていく。

 

現実世界ではニルスが物語の感染病よろしく首にできものができて入院したりする。やがて脚本は完成し、関係者をニルスが招待するが、なんと脚本は12ページしかない。招待した中に一人の女性がいて、同伴者が催眠術をかけ「エピデミック」の中に入るように言うと、女性は映画の物語に入っていき憑依してしまう。同伴者が覚醒するようにと言うが目が覚めず叫び始め、やがて首にでき物が出来始め、血だらけになっていく。それを見ていたニルスの友人の女性も感染し血を吐く。惨劇の後、カメラは俯瞰で街並みを見下ろして映画は終わっていく。

 

ショッキングなクライマックスが、それまでのフィクションと現実の融合を一気にまとめ上げる効果を持っていて流石に見事な感性だと思います。決して人に勧めるほどではないですが面白い作品でした。

 

死霊館のシスター呪いの秘密」

面白かった。少々のツッコミや無理のある展開はホラーなら許せる。流石にジェームズ・ワンが監督した一作目には及ばないまでも、見せ場の連続から謎解き、そしてクライマックスの悪魔との大バトルまでエンタメの塊でした。ラストの切ないワンショットも細かい演出で良かった。楽しみました。監督はマイケル・チャベス

 

1956年フランスタラマカンの教会、一人の少年ジャックが神父に呼ばれて礼拝堂に行く。地下室でワインを取ってきて欲しいと言われ地下にいき、そのワインをミサのために注いだ後地下に返しに行って、不気味な影に気がつく。礼拝堂に戻ると、神父が突然宙に舞い上がり燃え上がってしまう。こうして映画は始まる。

 

フランスにある寄宿学校、使用人のモリースは教師のケイトとその娘ソフィと親しく生活していた。ソフィは同級生たちのいじめにあっていて、立ち入り禁止の礼拝堂に閉じ込められたりしていた。そこにはステンドグラスに描かれた山羊が実は悪魔の化身で、見つめていると光の具合で目が赤くなると言う噂があった。

 

一方、かつてバーク神父と悪魔を封じ込めたシスターアイリーンは田舎の修道院で過ごしていた。そんな彼女に、封じ込めた悪魔が復活して各地で不審な事件が起こっていると枢機卿から調査を依頼される。アイリーンは気が進まないながらも、フランスへ向かう。一緒に来たのは仲のいいシスターデブラだった。

 

神父が焼き殺された現場に行ったアイリーンはジャックという少年から、神父が亡くなる時に身につけていたロザリオを受け取る。そこには何やら紋章があり、殺された聖職者全てに共通していた。アイリーンたちはフランス法王庁の資料室へ行き、その紋章が聖ルチアの子孫のものだと知る。そして悪魔が狙うのはその子孫が隠した聖ルチアの目という聖遺物だとわかる。その聖遺物はある修道士が最後に所有していて、その修道士がいた修道院は今は寄宿学校になっていることを知る。

 

アイリーンたちはその寄宿学校へ行くがそこでモリースと再会する。モリースは悪魔からアイリーンを助ける際、自ら憑依させて悪魔の脱出に関わった人物だった。アイリーンはモリースを遠ざける一方で学校の礼拝堂にある聖遺物を探し始める。山羊のステンドグラスの目が赤く光り、場所を示していたことがわかる。

 

そして聖遺物を掘り出したがモリースが襲いかかる。その場にいたソフィが聖遺物を持って逃げ、釣鐘塔へ行く。後をモリースが追いかけて行くが、間一髪助かる。そこへアイリーンが駆けつけ、デブラたちとモリースに立ち向かうがふとした油断で聖遺物は悪魔の手にわたり悪魔のシスターヴァラクが蘇る。そしてアイリーンはあわや焼き殺されるかというところで母の力が現れ、さらに地下にあったワインにデブラと共に祈りを送ってヴァラクに浴びせてヴァラクを焼き殺す。モリースも元の姿に戻る。

 

エピローグ、ケイト、ソフィと仲良く去っていくモリースを、密かに惹かれながらも聖職ゆえに叶わない思いを持ったアイリーンが見送って映画は終わる。エンドクレジットでウォーレン博士に神父から電話が入る場面で、続編を期待させて終わります。

 

オープニングから、ショッキングシーンの連続とそのままクライマックスの大バトルまでエンタメの塊の展開がとっても面白く、下手なグロシーンで繋いだりしない正統派的な作りがとにかく楽しかった。なんでデブラのキャラクターが必要なのかなどなど穴だらけながら、ホラー故に許せるツッコミもまた楽しかった。