くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「トルテュ島の遭難者たち」

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

なんともキレのない脚本で、単純は物語なのに延々と同じパターンが展開して行く。しかも、冒頭のオセージ族の描写がみるみる薄れて行くために映画に深みがなくなってただの頭の弱い主人公が騙されるままに殺人を繰り返して行くだけの仕上がりになっている。映像の面白さもないし、映像で語らんとする面白さもない。しかもこのシーンは必要なのかというのが振り返ってみるとちらほらある。決して駄作ではないがこの長さで大作感が全くないのはちょっと勿体なさすぎる。監督はマーティン・スコセッシ

 

オクラホマ州オセージ郡、先住民のオセージ族の物々しい葬式らしい儀式を行っている場面から映画が始まる。そして、地面に何か埋めるが突然石油が噴出、続いてオセージ族が自らの才覚で石油発掘の受益権を得て裕福になる姿が映される。場面がカラーワイドに変わると、列車に乗った主人公アーネストはオセージ郡で牧場を経営するウィリアム叔父の元を訪ねてきた。ウィリアムはこの地ではキングと呼ばれ、オセージ族からも慕われているが、この地では不審なオセージ族の人々の死が相次いでいてそのどれもが捜査されないままだった。ウィリアムは、地元の保安官らとのコネでオセージ族の受益権を得るために行なった犯罪を隠蔽していた。

 

叔父の元へやってきたアーネストは、オセージ族の裕福さに惹かれて、やがて一人の女性モリーと知り合う。間も無くしてアーネストはモリーと結婚するが、一方でウィリアムの片棒を担いで、自分たちの計画を邪魔しそうな人物を次々と葬って行く。しばらくしてモリーの妹ミニーが衰弱死してしまう。アーネストには弟のバイロンがいて何かについて叔父の片腕となって動いていた。モリーには飲んだくれで遊び人の姉アンナがいたが、ある日死体になって発見される。どうやらウィリアムの仕業だった。オセージ族が殺されていることに不信を持ったモリーは探偵を雇い、本部に窮状を訴えに行かせるが、結局二人とも殺されてしまう。

 

モリーは糖尿病を患っていて、ウィリアムの手配で、当時珍しかったインスリンを手に入れ注射するようになるが、なぜか急激に体調が悪化し始める。そんな頃、母のリジーも亡くなってしまう。さらにモリーの妹リタ夫婦が自宅に爆弾を仕掛けられ爆死してしまう。どれも、ウィリアムがアーネストに指示して殺し屋を雇って仕掛けたものだった。次々と身内に事件が続くなか、モリーは自らワシントンへ行き捜査を依頼する。そんなモリーにウィリアムはアーネストを通じてインスリンにある薬を混ぜるように指示する。

 

しばらくしてフーヴァー長官の指示でトムが部下を連れて捜査にやってくる。そして、アーネストやウィリアムの所業を次々に暴き、ついに二人とも逮捕する。モリーは自宅で瀕死の状態だったがトムの部下に病院へ担ぎ込まれる。トムはアーネストに、ウィリアムの所業を証言するように依頼、その見返りに釈放を提示する。いったんは受け入れたアーネストだが、ウィリアムの親族に頼まれ、証言しないと宣言、留置所入れられる。そんな時、街を離れていた娘の一人が死んでしまう。アーネストはウィリアムの仕業だと判断し証言することを決意する。

 

アーネストの証言でウィリアムは有罪となる。裁判の後、モリーはアーネストの前で、全て真実を言ったか尋ねるが、アーネストは全て真実を言ったと答える。モリーは自分に注射した薬も正しかったかと聞かれる。アーネストはインスリンだったと答えたので、モリーはその場をさる。

 

場面が変わり、犯罪事件をラジオドラマのようにしたステージになりその後のアーネスト、モリー、ウィリアムらのことがドラマ的に語られて映画は終わる。

 

とにかく。長いとしか印象のない映画で、もっとキレのある演出と、思い切った削除をしても良かったのではないかと思います。

 

「トルテュ島の遭難者たち」

たわいのない作品で、即興で延々と二時間半近く撮った感じの一本。正直面白くもなんともない一本でした。監督はジャック・ロジェ

 

ボナヴァンチュールが、恋人が浮気していると勘違いして自分も別の女と浮気しているかのように嘘を言って結局別れてしまう。その時、嘘で言った浮気女が実在の名前だったためにその女の会社に行って、なぜかねんごろになってしまう。ボナヴァンチュールは旅行会社に勤めていて、平凡なツアーが物足りなくて同僚のノノと無人島ツアーを計画する。

 

カリブ海に今や無人島はないと言われるが会社のオーナーに交渉し、実際に視察に行くことになる。ところが視察に行く朝、ノノは弟のプチノノに行かせる。ボナヴァンチュールとプチノノは地元の漁師たちの助けもあって無人島らしきものを発見、ロビンソンツアーと称した無人島遭難ツアーが現実となる。

 

顧客を募集したところ約十人近く集まり、ボナヴァンチュールとプチノノは客を連れて行くが空港から港までのバスが途中で引き返し、20キロ近く歩く羽目になったり、船に乗ったもののなかなか島が見つからなかったり、見つかったもののツアー客は皆不満で、バラバラになってきる。それでも、島にたどり着くが、島へ泳いで渡るというボナヴァンチュールの提案に皆大反対。プチノノと顧客の一人がヤギと一緒にボートで上陸したが他は泳ごうとせず、ボナヴァンチュールは一人で海に飛び込む。

 

ボナヴァンチュールが潮に流されたように思ったプチノノたちが島を探検し、民家を発見。実は無人島ではなかった。しかも村にはツアー客が皆上陸していて、ボナヴァンチュールもバナナを盗んだ罪で投獄されているが無事だとわかる。こうしてツアーは終わり、会社では次のツアーに忙しくしているボナヴァンチュールらの姿で映画は終わる。

 

なんのことはない映画だった。