くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」「最後の審判」「帰ってきた狼」

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」

めちゃめちゃ楽しい映画でした。ミュージカル仕立てと映画らしい豪華なセットというか美術が素敵だし、シンプルな物語にあったかい人間味と希望が溢れているのがとっても良い。作品として一級品の出来栄えではないかもしれないけれど、映画らしい映画を楽しめました。監督はポール・キング

 

船のマストに上がって希望に胸を膨らませているウィリー・ウォンカが歌い始めて映画は幕を開ける。着いたのは亡き母との約束でチョコレート店を開くためにやってきたグルメ・ガレリアの街だった。早速ウォンカは魔法のチョコレートを街頭で販売して夢を売り始めるが、ここは夢を売っては行けない街だった。お金が無くなったウォンカは、一人の男に安ホテルを紹介され、受付で何やら契約にサインしてしまい借金を作った上、地下で働かざるを得なくなる。

 

このホテルで長いこと働かされている黒人の少女ヌードルはウォンカの味方になって、ウォンカの助けになるようになる。この町ではチョコレート組合の三人が警察署長にチョコレートの賄賂を贈って買収し、ライバルを排除していた。ホテルの地下には、騙されて働かされている人たちがいた。ウォンカはヌードルに協力してもらって街に出てキリンのミルクを得てチョコレートを作り、隠れながら売り始める。そんな時、カカオ泥棒だと追いかけてきたウンパルンパと出会う。

 

ウォンカらの動きは警察署長に知られることになるが、ヌードルが見つけてきた空き家で店を出すことになる。そして開店の日、店は大繁盛するが、実はチョコレートに毒が仕込まれていて、客に毛が生え始め、店はその日に潰れてしまう。チョコレート組合の三人がホテルの支配人に協力させて毒を混ぜ込んだのだ。ウォンカはチョコレート組合のメンバーと取引をし、この街を出てチョコレートも作らない代わりに仲間の借金を全て帳消しにしてもらうことにする。そして用意された船に乗り込むが、そこにウンパルンパもいた。ところがこの船は警察署長が用意したもので、爆薬が仕掛けられていた。すんでのところで脱出したウォンカらは街に戻り、金を取り上げられて幽閉されているヌードルを助け出す。

 

チョコレート組合のメンバーは売り物のチョコレートは水で薄め、余ったチョコレートを教会の地下に隠していた。しかもそこには裏帳簿が保管してあるのをホテルの地下で知り合った会計士の男が知っていた。ウォンカたちはその帳簿を手に入れるために作戦に移るが。後一歩でチョコレート組合のメンバーに嗅ぎつけられ、ウォンカとヌードルはチョコレート漬けで殺されそうになる。そこに駆けつけたのがウンパルンパだった。

 

危ないところで脱出したウォンカたちは、チョコレート組合のメンバーに浮き上がるチョコレートを食べさせ、裏帳簿を暴いて悪人を逮捕させる。チョコレート組合の一人は実はヌードルの父の弟で、ヌードルの父が亡くなった後、妻からヌードルを取り上げ財産も横取りしていたのだ。

 

ウォンカが亡き母が持たせてくれたウォンカチョコレートの包みを開くと、仲間に分け与えることこそが幸せだと書かれていた。ウォンカはそのチョコレートを一緒に頑張った仲間に分け与え、最後にウンパルンパにもたくさんチョコレートを返す。そして、ヌードルの母親の図書館にヌードルを送り届ける。

 

売り物の城を手に入れたウォンカはチョコレート工場を建設し、そこにウンパルンパも招待して映画は終わっていく。エンドクレジットで、ウンパルンパが今回の仲間や悪人のその後を映し出してエンディング。

 

とにかく、楽曲がとっても楽しくて、つい踊り出したくなるミュージカルに仕上がっているし、画面も大きくて綺麗なので見ていてとにかく楽しい。大画面で見る映画らしい映画を久しぶりに見た感じでした。

 

最後の審判

この時代らしい芸達者が揃った今時のサスペンス映画という感じの一本で、重厚で込み入った展開ながら、どこか雑に処理したところが散見されるのがちょっと残念。でも、退屈せずに面白いのだからこれはこれで良かったと思う。監督は堀川弘通

 

正子の夫小寺利一郎が二年間の海外赴任から帰ってくるところから映画は幕を開ける。実は正子は従兄弟の金井と不倫関係にあった。金井は利一郎が帰ってきても執拗に正子に絡む。正子も夫との離婚を真剣に考えだし、金井は、正子の不倫現場を利一郎に見せることで離婚話を燃え上がらせる作戦に出る。

 

正子に言い寄ってくる上野という人物を、利一郎がたまたま出張に出る夜に自宅で出くわすように金井が画策し、一方、金井は空港でアリバイを作るという計画を進める。しかし、上野に出くわした利一郎は逆上したものの上野に猟銃を向けるだけで結局撃てず殴っただけで部屋を飛び出す。そこに駆けつけた金井は猟銃で上野を撃ち殺し逃げる。空港のバーでアリバイを作っていた金井は警察の追及を交わすが、一方、向かいの喫茶店の店員美代子と関係を持って、正子との関係が見えないようにも画策していた。そんな金井のつとめるビリヤード店にちょっかいを出してくるヤクザものたちがあり、このエピソードの意味が結局なんのことなのかわからない。

 

警察の捜査を撹乱し、美代子を使ってヤクザ者からの追及も逃れた金井だが、正子との寝物語で全てを告白してしまう。何もかも終わったと安心した金井は突然逮捕される。そして、正子が上野が殺された夜、金井が逃げていく姿を見たと証言、さらに美代子の実家のそばのクリーニング店に出していた金井の上着から硝煙反応が出て、全ての証拠が揃ってしまう。利一郎が警察署へ来て、正子の浮気を金井に迫って金井が大笑いして映画は終わる。

 

思い返すと、やくざのエピソードは意味がないし、ビリヤード店を購入する話も不要に思える。さらに、当初殺す予定ではなかった金井がなんであそこまでアリバイを準備したのかもちょっとチグハグ。あちこちに粗が目立つサスペンスで、役者が揃っているのでそれなりに見れるのですが、かなり雑な映画だった。

 

「帰ってきた狼」

今見るとさすがに設定や展開、キャラクターなどなどが古臭さを隠せないが、ジュディ・オングがとにかく小悪魔的なお嬢様役でとっても可愛らしいので、それだけでもいい。ただ、映画としては、普通でした。監督は西村昭五郎

 

夏休みが明け、蝶のコレクターの金持ちのボンボン純は、この日友人のリカのヨットの落成式に行くところから映画は始まる。そして純がこの夏経験したひとときの青春を回想して物語は始まる。

 

葉山の別荘に来た純は、両親に促されて虫取り網を持って海岸に行く。そこで、ヨットを海岸に持ってきて怒られているリカと出会う。リカは同じく裕福な家庭のわがまま放題の娘だった。ヨットを操れない純は、たまたま知り合った雪三という混血の青年にヨットを任せる。雪三は昨年の夏、葉山の開発をしている実業家の男江木を刺して肩輪にした男だった。

 

しかし、純は何かにつけケンカが強く不良たちを追い払う力のある雪三を頼るようになる。こうして、純、リカ、雪三は行動を共にするが、都会から来た不良グループが執拗にリカに絡んできて、その度に雪三が追い返す。雪三の母はトンガ出身でこの葉山の海が故郷の海に似ていることから、この地の開発が許せなかった。さらに、リカにもほのかな憧れを抱き、その分身としてのリカのヨットを磨くようになった。

 

男たちを自由奔放に扱うリカを中心に雪三、純の三角関係のまま物語は展開するが、ある夜、江木が雪三の友人イチに刺される事件が起こり、その後リカのヨットが不良たちに火をつけられ、喧嘩になった雪三は警察に捕まってしまう。こうして一夏が終わり、この日新しいリカのヨットの落成式が行われ、複雑な思いの純のカットで映画は終わる。

 

なんのことはない青春映画で、さすがに今見ると信じられない展開も多々あるが、これもまたこの時代を表現する一本なのだろうと思います。