くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「VORTEXヴォルテックス」「MY (K)NIGHT マイ・ナイト」「バッド・デイ・ドライブ」

「VORTEX ヴォルテックス」

年老いた老夫婦の晩年を二つのスプリット画面で延々と捉えていく特異な作品で、最初は入り込みにくかったけれど、いつに間にか映像のリズムに乗せられてしまいました。なんとも言えない不思議な感動をさりげなく感じて映画を見終わる。そんな映画だった。監督はギャスパー・ノエ

 

一人の若い女性が延々と歌を歌い、画面が変わると左右二つに分かれた画面で、老夫婦がベッドに横たわっている。婦人は一人ベッドを抜けて家の外に出てしまう。後から起きた夫は妻を探しに行き連れ帰る。どうやら妻は認知症らしく夫のことがわからない。駆けつけた息子ステファンは二人とも施設に入ったほうがいいと諭す。

 

調子のいい時は妻も夫のことがわかる。彼女は元医師らしく処方箋も書くが、あまり信用しない方がいいとステファンに言われる。夫は3年前に心臓発作で倒れたことがあるらしい。何やら原稿を書いているが、妻に勝手に捨てられたりする。ステファンも何やらドラッグの売人をしているようで普通ではない。

 

ある夜、夫は発作を起こして倒れてしまい、翌朝、妻に発見されて救急病院へ行くが間も無く亡くなる。妻は介護士に来てもらい、入所できる施設を探してもらうが、ある夜、一人ベッドに入り、そのまま死んでしまう。息子は葬儀を行い、遺骨を墓に納める。カメラがゆっくりと引いていき、かつての老夫婦の部屋ががらんと何もなくなって映画は終わる。

 

何気ない物語で、変わった演出が施されているとは言え、ラストはどこか寂しいものを感じさせられてしまいました。人生の終わりというのはこういうのものなのだろうとしんみりとしてしまう映画でした。

 

「MY (K)NIGHT マイ・ナイト」

期待していなかったにですが、メチャクチャに素敵でスタイリッシュな秀作でした。三つのドラマを流麗でスタイリッシュなカメラワークで交錯させていく映像のリズムがとっても素敵で、それぞれのドラマが次第に動き出して胸に沁みてくる展開に最後まで画面に釘付けにされてしまいました。とにかく良かった。監督は中川龍太郎

 

細かいカットとカットバックを繰り返す小刻みでスタイリッシュな映像から映画は幕を開けます。デートセラピストの刹那、イチヤ、刻は今夜もお客さんに元へ出かけるべく準備をしている。人妻で夫の浮気で寂しい思いをしている沙都子は刻というイケメン男性に声をかけられる。最初はありきたりのデートに始まり、レストランで食事をしている。二人のテーブルの向こうにインスタで七万人のフォロワーがいる人気インスタグラマーmiyupoはイチヤと食事をしているが、miyupoはスマホで写真ばかり撮っていて食事をしようとせず、全部イチヤに処理させている。カメラが移動すると生真面目な灯は高校教師の出立ちできて欲しいと頼んだ刹那と打ち合わせをしている。そしてこれから母に会って欲しいという。

 

刻と沙都子は12時までという約束でありきたりのデートが終わるが、沙都子はつい夫が浮気をしていて寂しい思いをしていると刻に言ってしまう。刻は沙都子に、なってみたかったことはないかと尋ねる。沙都子はこれまでやりたかったこと、なりたかったことを告白して刻と一緒に好き放題に夜を楽しみ始める。ラーメンを食べ、公衆トイレで立ちションを見て、最後に刻のアパートに押しかけた沙都子は、素朴でありのままの毎日を送る刻とその恋人の姿にすっかり癒され勇気を得ることになる。そして夫と話し合ってみると言って別れる。

 

miyupoはイチヤを連れ回しながらインスタ映えする写真をアップしまくり、イチヤは辟易とし始めるが、なぜかmiyupoに頼まれて撮るイチヤの写真は素敵だった。今話題の写真家の個展の現場に来たmiyupoは強引にイチヤを会場に連れ込むが、写真展の人物はかつて一緒にイチヤが写真をしていた頃の友人で、今は人気のフォトグラファーになっていた。写真についていかにもな持論を唱える主催者にmiyupoは、いいねをもらう写真にも意味があると豪語して会場を去る。miyupoはかつてバレエをやっていたがふとしたことでインスタにあげた写真から今の生き方に変わったのだという。もう写真はやらないというイチヤに自分がモデルになるから写真を撮ってとmiyupoが言う。夜のネオンをバックに踊るmiyupoはイチヤのカメラで美しく舞う。

 

余命いくバクもない母に婚約者だと紹介しに病院に行った灯と刹那だが、母にけんもほろろに追い返される。刹那は、自分の仕事は灯の婚約者になる事だからと再度病室に行き、灯の母から、子離れするためには自分に気に入られることを灯がしていてはダメだからと刹那に説明する。自らの命についてもわかっていた母はタバコを吸い、刹那に、長いこと会っていない母に生きている間にもう一度会ったほうがいいと送り出す。刹那は一人待つ灯のところに行き、母に言われたことを伝えて、笑顔を見せに行けと送り出す。

 

夜が明けて、三人は迎えの男五郎の車に乗り岸壁に行ってそれぞれの昨夜を思い出して映画は終わる。

 

ハイキーで光をキラキラ光らせたカメラ、既存曲を効果的に織り込んだ演出、流れるようなカメラと細かいカットで繋いでいくリズムが見事で、三つの話がどんどん奥深くなって、対象の女性の物語からセラピストら三人の物語に転換する脚本がとってもいい。素敵な映画を見ることができました。

 

「バッド・デイ・ドライブ」

なんとも無茶苦茶なアクション映画でした。B級レベルを大きく下回る適当な展開と、いくらなんでもリアリティが無さすぎる流れと、雑な人間ドラマにあっけに取られる映画だった。監督はニムロッド・アーントル

 

豪邸に住む投資会社を経営するマットが自宅で運動をしている。テレビには車が爆破された事件のニュースが流れている。どうやら犠牲者はマットの共同経営者の一人らしい。急遽マットは仕事に出るのだが、子供二人を学校へ送り届ける役割の日だと妻ヘザーに二人の反抗期の子供を押し付けられる。仕方なく車を走らせるマットだが、車内にあった謎のスマホに電話がかかってくる。出てみると、座席の下に爆弾を仕掛けていて、座席を立つと爆発するという。しかも、途中で、別の共同経営者の車が目の前で爆発し、ただの脅しではないとわかる。

 

マットは犯人の指示通り妻のヘザーに銀行から金を下ろさせるが、警察が来ていることを察知した犯人がその金を囮にしてしまう。そしてドバイの隠し預金を引き出すように指示、もう一人の共同経営者アンダースに出金指示をするように命令する。アンダースも車に仕掛けられた爆弾に座らされていた。マットはアンダースに出金指示をさせたが、直後、アンダースの車も爆破される。マットはトンネル内に逃げ込み、警察に携帯の電波を遮断させ、子供達を下ろすが、自分は犯人を捕まえると突然走り出す。もうめちゃくちゃだ。

 

顔を見せろと逆に犯人を脅したマットの前に現れたのはアンダースだった。アンダースはフェイクで死んだことにしていた。アンダースは金を独り占めにするつもりだった。アンダースはマットの車に乗り込み、爆破スイッチを脅しにマットに迫るが、マットは橋に激突し、車から川に落ち、瞬間車は爆発してアンダースは死んでしまう。こうして映画は終わる。って終わりかいというラストである。

 

もう展開がめちゃくちゃで。オリジナル版はどうなのかわからないか、ここまで適当だと入場料を払うのが惜しかった感じです。さすがにこれはいけませんね。そんな映画だった。