「若い川の流れ」
とっても洒落た素敵な映画でしたが、脚本の構成がやや甘いのか長く感じてしまったのは本当にもったいない。もう一考して、見直して仕上げたら傑作になった感じです。でも今ではこういう映画は作れなくなりましたね。楽しかった。監督は田坂具隆。
主人公の若きサラリーマン健助が専務に呼ばれて自宅に荷物を届けるところから映画が始まる。それは実は娘を引きあわすためのいたずらで、まんまと引っかかった素直で無骨な健助はそのまま物語の渦中に放り込まれる。
一方、健助を昔から好きな同僚のみさ子がこの話に絡んで来て、三つ巴の洒落たラブコメディが展開。秀逸ながらも研ぎ澄まされたセリフの応酬と、小気味好い切り返しがとにかくモダンで楽しい。
ただ、いたるところに出てくる脇役がおざなりになって生かしきれていない脚本の甘さがとにかく残念。最後は強引にハッピーエンドで終わりますが、このレベルの映画でさえも今では作れる力のある人がいないのは寂しい限りです。
「お転婆三人姉妹 踊る太陽」
天真爛漫、何も考えずに楽しむ映画というのはこういうのですね。オールスターキャストでどのカットも豪華。これという物語もないけれど、ただただ贅沢なシーンの連続にうっとりしてしまいました。監督は井上梅次。
美人の未亡人の母の元にいる美しい3人の姉妹。それぞれにボーイフレンドがいるが、ここに来て母のためにお婿さんを探そうと奮闘し始める陽気な姉妹。
歌って踊って、たわいもなく展開するあっけらかんとした楽しいストーリーに、浮世の面倒臭さなんか吹っ飛んでしまいます。
スターの顔がどんどん現れ、夢の世界に誘われる至福の喜びを楽しめるエンターテイメント。これが映画、これが娯楽。