くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラースと、その彼女」

ラースと、その彼女

人形を彼女にした一人の内気な男性の物語。
なんとも、奇妙で,どこか期待の作品でした。

彼女にしたのはなんと、いわゆるダッチワイフと呼ばれる、アダルト人形。
まるで一人の女性に接するがごとく、普通に話し、普通に着替えさせ、普通に食事もします。
当然、周りは、特に近くに住む兄夫婦は「これはとうとう頭にきてしまった」ともう大変です。
しかし物語りはここからです。

最初は奇妙に振舞う町の人たちも,次第に、その人形を、人間として接し始め、いろいろな委員会に呼んだり、パーティに誘ったりとさまざまな行事や集会に参加させ始めます。
この映画に一人のフィギアの収集家やテディベアをペットにしている女性なども出てきますが、このあたり、いわゆる、結局は人形を愛するのは特に変わっていないのではないかといわんばかりですね。
それに、人形のほうが意外に、人間らしかったりするというせりふなんかも出てくる。

この映画の面白さは、後半三分の一です。

この人形、病気であるということになり始め、主人公は真剣に心配を始めます。その一方で、次第に普通の女性に心を引かれ始めるのです。
この徐々に変化する主人公の心の動きがなんとも、ピュアなイメージで、心が優しくなってしまいますね。
周りの景色ものどかな田園風景の田舎町なので、よりいっそう、気持ちが和らいでくる感じがします。

そしていよいよ、人形はその命を終え、お葬式のくだりになってきますが、その頃にはもう町の人たちはみんな人形という扱いはしていません。
その一方で、それがきっかけなのかはともかく主人公には一人の人間の彼女ができます。

まるでヨーロッパ映画のようなリズム展開で進む作品ですが、れっきとしたアメリカ映画です。
冒頭の白い窓から外を見る景色のショットなどは明らかにヨーロッパ的ですが、時としてアメリカ映画にもこうした小品の秀作が生まれますね。
まだまだアメリカ映画も捨てたものではないのかも。

さて、この映画今年、初映画でしたが、もうひとつ、かつての会社の栄華友達で、昨年退職した田中茂樹君に会いました。
懐かしい限りで、お茶でもと思いましたが、彼はもう一本はしごするとかで、時間がなく、その場は別れました。
なんか、いろいろ考えさせられる映画鑑賞でしたね