くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アラトリステ」

アラトリステ

ヴィゴ・モーテンセン主演のスペイン映画「アラトリステ」を見てきました。
あまりよく知らないスペインの歴史を舞台にした作品であるし、好みのジャンルでもないので、かなり迷いましたが、結局、特に見たい作品もなかったので出かけたのです。

17世紀、スペインが世界の中心であった時代から、やがて没落し、英仏の時代へと変わろうとする時代の一人の英雄の物語です。
英雄といっても、貴族などの位の高い人物や歴史上の偉人の物語でもなく、スペイン軍の一傭兵として戦った人物の物語です。

出だしから、あまり得意ではないスペインの歴史上の戦争が次々と描かれ、しかも、淡々とした映像でつづられていくのでかなりしんどかったです。
その上ヴィゴ・モーテンセンの主人公アラトリステ以外は、人物の関係もさらに誰も彼も同じ人間に見えてくるし、敵か見方かも区別つかないので大変でしたが、演出がしっかりしているのか、ただ、素直に物語を追っていくと次第になんとなくストーリー展開がつかめてきます。

戦闘シーンは中国の戦乱ドラマに慣れていると、さすがにしょぼいです。
まるで草原で大の大人が剣を持ってけんかしている程度にしか見えないのはなんとも頼りないです。しかしこれがヨーロッパの中世の時代なのですから仕方のないことかもしれません。

いわゆる「三銃士」などに見られる騎士の物語のような展開なので、どうも私には向きません。

原作はシリーズ物のようで、それを二時間半の枠に凝縮したためか、時折、時間が一気に飛んだりします。特にラスト近くになるとあれよあれよとクライマックスへと突き進んでいくので、正直、ちょっと、あっさりに見えなくもなかったですが、それでもしっかりと丁寧な演出でラストシーンまで描ききったアグステン・ディアス・ヤネス監督の手腕は見事であったと思います。