くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「女の子ものがたり」

女の子ものがたり

先日、実写版になった「いけちゃんとぼく」の原作者西原理恵子さんの自伝的コミックの映画版。
非常に評判がいいこともあってかなり期待していたのです。そして、期待通り、いい映画でした。「スタンド・バイ・ミー」のような物語は男の子だけの特権かと思っていましたが、この映画を見ると女の子だって同じですねぇと思ってしまいます。

美しい四国を背景に、西原理恵子さんの漫画の世界観と同じ色彩感で3人の登場人物の服装や、部屋のインテリアなどの色を表現していきます。そのバランスがなんともほのぼのとしていて、この自伝的でありながらフィクションのような物語に引き込まれていきます。

どこかなつかしい堤防敷や、よくわからない小屋、ほとんど田舎の町並みのはずなのに、ちょっと都会的なアパートまで登場して、その不思議な地域感覚も面白いです。
時代は一昔前のようですが、それほどノスタルジックな感覚にとらわれないのは前述のパステル調の色彩演出のせいでしょうか、どこかモダンにも見えます。

物語は現代の主人公高原菜都美(深津絵里)が、スランプに陥って、だらだらしているところへ、担当の編集者がやってくるところから始まります。この主人公のとぼけた感じが、実に深津絵里さんがうまい。
そして、回想するわけではありませんが、主人公菜都美の小学校時代、引越し先の町へ移るところから、「スタンド・バイ・ミー」のような物語が始まります。

3人の女の子の少女時代から青春へ物語が、時として女の子特有のあっけらかんとした行動やら、一昔前ののんびりした風土、それぞれ恵まれない家庭環境を交えて展開していきます。
なんといっても、女の子どうしならではのエピソードがふんだんに出てくる上に、なぜか「スタンド・バイ・ミー」を見たときのような懐かしさもあって、本当に楽しく見れます。しかも、妙にしつこい教訓めいたエピソードもないのがいいですね。

エンディングは、この手の物語らしい終わり方ながら、見終わって気持ちのいい、好感度を持てるいい映画でした。