くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ココ・アヴァン・シャネル」

ココ・アヴァン・シャネル

伝説のデザイナーの若き日から、成功までの半生を描く作品。
正当に時間を追ってつづられていく作品で、特に奇抜な映像も展開もない物語です。
つまり、晩年のシャネルを中心に空間と時間をキルティングのようにつむいでいく、シャーリー・マクレーン主演の「ココ・シャネル」とはその作風は完全に異なります。

今回の作品は場面の展開に軽快なピアノの曲をはめ込んで、ストーリーにリズム感を持たせ、きらびやかな成功の裏にある質素長柄情熱的な物語を見事につないでいく手法はなかなか見所がありました。このあたりはアンヌ・フォンテーヌ監督の女性の目ではないでしょうか。優しい感じがします。

まじめに、まっすぐに描いていく映像は非常に見やすく、ある意味シャネルの人柄をじっくりと観察するのにはもってこいでしたが、一方で中盤から後半になると若干しんどくなるのは否めません。

カメラは全体に引き気味で大きく風景を捉えていく描き方をします。このあたり、カメラを寄り気味にして撮った「ココ・シャネル」とは違って画面は大きく見せてきます。
オドレイ・トトゥの演じる青春時代のシャネルは、さすがにアップには耐えにくいために、きらきらした若きシャネルの姿がぼやけるのはちょっと厳しいでしょうか?

このあたりは「ココ・シャネル」のシャネルの青春時代を演じたバーボラ・ボブローヴァのほうが適役であったように思います。

映像作品としての完成度の高さは私としては明らかにシャーリー・マクレーンの「ココ・シャネル」に軍配が上がりますが、正当な物語として作り上げた今回の作品にも見るべき部分はたくさんあるし、これはこれでよかったと思います