くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「メリー・ゴー・ラウンド」

「メリー・ゴー・ラウンド」

思いつきのストーリー展開と即興演出のような場面が続く作品で、果たして二時間を超える意味があるのかと思えるようなシーンが多く、まとまりのない物語は難解というよりも、未完成という言葉の方が当てはまるような映画でした。なんとなくストーリーが見えるけれど、結局そのメッセージに終着しない感じの作品でした。監督はジャック・ヴェネット。

 

一人の男ベンが、恋人のエリザベスに呼ばれてホテルにやって来るが、そこにはエリザベスの妹だというレオだけがいた。二人は、エリザベスを探しにパリの街を彷徨い始める。レオとエリザベスの父デヴィッドは二年前に航空機事故で亡くなったらしいが、実は偽装らしいというのが見えて来る。なんとかエリザベスの家を見つけた二人は、そこで、エリザベスが手にした巨額の遺産を隠した銀行の貸金庫の鍵と暗証番号をめぐって、デヴィッドの愛人を交えた争いに巻き込まれていく。

 

エリザベスが突然拉致され行方が分からなくなる中、ベンの妹シャーリーが現れ、実はシャーリーはデヴィッドの二番目の愛人だったことがわかる。時折、砂丘を彷徨うレオの姿、森を走り回るベンの映像が挿入されるが、これらは彼らの心象風景なのだろうか。

 

やがて第三の愛人が現れ、デヴィッドだという男が現れるが実は彼は偽物で、霊媒師であったりと、一体どういう展開かと混乱してきます。そして、どうやら貸金庫の本物の鍵を手にれることとその暗証番号を知るのが物語の中心であるとわかって来るものの、最後の取引の場で、エリザベスは何者かに殺され、レオはデヴィッドだと思われている霊媒師を撃ち殺してしまう。結局どうなったのという感じで、砂丘の上にいるレオの元にベンが現れて、映画は終わっていく。

 

なんともシュールなのか未完成なのかよくわからない作品でした。時折挿入される二人のミュージシャンの演奏する姿も、監督の自己満足的な映像に見えるし、ベンがレオを口説く場面は果たして必要なのかとも思う。その他、90分くらいでまとめようとすればできる程度のストーリーを二時間を優に超えるというのは、ちょっとセンスがないのではないかと思える映画でした。