よくもまぁ、ここまで馬鹿にした作品を作ったものである。人気テレビシリーズの最終章ということで最後は劇場でというふれこみで作った割に、テレビシリーズのスケールそのままにスクリーンに映しただけという仕上がり。登場人物は同じというのはわかるが、ゲームの内容にしてもテレビ版で話題の必勝法のやりとりにしても、騙し合いの駆け引きにしても何ら工夫も何もない。映画館まできて、お金払って、テレビ版と同レベルのもの見せて、どういうつもりかと思う。
もちろん原作があるのだから、ある程度踏襲するのはわかるが、そこに一工夫してこそ映画作品ではないのか？しかも、テレビシリーズを毎回みているファンにとっては最後のＸの正体など最初からわかってしまう配役陣。これはもう、制作スタッフの手抜き以外の何者でもないと思う。これではいけない。二転三転するドラマはテレビ版とたいして変わらず、あっと驚く急展開もない。要するに事務局はこれだったという最後の落ちの種明かしをするために作っただけの物語で、これならテレビで第三シーズンにでもスペシャル番組にでもしてスポンサー集めた方がよっぽどお金になったんじゃないですか？
戸田恵梨香と松山翔太の物語もこれといって展開があるわけでもなく、素っ気なくエンディング。深夜ドラマからゴールデンタイムに移ったときも今ひとつ迫力に欠ける作品で、これは深夜ドラマでこその値打ち程度かと思っていたが、さらにスクリーンにはとても無理だったようだ。同じ「トリック」の場合はやはり監督が堤幸彦と個性的な演出家が担当した分成功したのだろう。全くえらい映画を見たものです。
