くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ベスト・キッド」「ヤギと男と男と壁と」

ベスト・キッド2010

ベスト・キッド
この手の映画について作品の質がどうのといってはいけない。素直に楽しめばいいのです。結局、過去のヒットシリーズのネームバリューを頼りにして制作された作品なのですから。
わたしは香港映画の娯楽性を一時も忘れずひたすらエンターテナーに徹しているジャッキー・チェンが大好きだし、ウィルスミスの息子であるジェイデン・スミス(最初は女の子かと)がなかなかいい顔をしているので見に行きました。

物語はアメリカから中国に渡ってきた黒人の少年ドレが現地の中国人少年チョンにいじめられているなか、一人のみすぼらしいアパートの管理人の中国人のハン(ジャッキー・チェン)と出会う。彼は悲しい過去を持つカンフーの達人で彼の訳の分からない指導の元にカンフーを身につけ、カンフー大会で宿敵の中国人と対決、その前の試合で足を痛められているにも関わらず勝利し、相手の中国人とも仲良くなるというハッピーエンドの物語である。

基本的な展開をオリジナル版を踏襲し、ほとんど同じ展開で140分もの作品に仕上げている。

中心となる物語は、父と死別した主人公、妻と息子を事故でなくしたハン、主人公ドレと中国人チョンとの確執、ドレとメイのほのかな恋物語、それらが入り乱れるようにストーリーが展開するが、チョンはバイオリンを習う少女メイに恋しているはずなのにその描写が中途半端であるし、引っ越した初日に主人公が知り合う白人少年はその後全く姿を見せずに消えてしまう。ハンと主人公の境遇が逆さまであるというとってつけた設定も弱いし、主人公の母とハンとの心の交わりも描こうとしているかのようで生きていない。それぞれが中途半端に終わってしまったのは残念。このあたりはあきらかにオリジナル版のネームバリューのみで見せようとした安易さが見受けられ正直いい気持ちはしませんでした。

ストーリーの中心になるエピソードはほとんどオリジナルと同じですが、オリジナルが、「ロッキー」のジョン・G・アビルドセンであり、ストーリーの的を押さえた演出とはちょっと違う散漫さを感じるのは確かです。

とはいえ、主人公の少年を演じたジェイデン・スミスが抜群の存在感でストーリーを引っ張っていく。時にジャッキー・チェンさえ食ってしまう演技力がこの映画をそれなりの出来ばえにした原因といえますね。
とにかく、映画としての善し悪しはともかく、楽しめばいい映画だと思います。2時間20分、私は飽きませんでしたよ。それでいいじゃないですか?


ヤギと男と男と壁と
ユアン・マクレガージェフ・ブリッジスジョージ・クルーニーケヴィン・スペイシーと豪華メンバーの実話に基づく意味不明のコメディである。

アメリカ軍が超能力者による軍隊を組織していたという実話を元にイラク戦争をコミカルに風刺した物語であろうと思えるのですが、前半眠くて仕方なかった。
隣の人が体を揺らして笑っていたので目が覚めたが、他の人はぜんぜん笑っていなかった。なにがそんなにおもしろいのかと思えるほどのコメディシーンでその後も今一つののりで最後まで私は乗ることができませんでした。

正直、あくまでノンフィクション?なのだから笑えるところも、ほんまかいな?とにんまりするのが正しいのだと思うが、今ひとつ物語のリズムに乗りきれない。

ラストシーンはどこか意味深のエンディングだったが、いかんせん主人公のナレーションがくどい上に、それを映像で見せるタイミングが良くない為にリズムがもりあがってこない。ノンフィクションにブラックユーモアを交えたストーリー展開と風刺の効いたコミカルなエンディングで締めくくったつもりだろうが、この手の演出はコーエン兄弟の十八番であり、さすがにこの作品については平凡な完成度であったと思う。