くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「劇場版 SPEC〜結(クローズ)〜 爻(コウ)ノ篇」「

SPEC

「劇場版SPEC〜結〜交の篇」
延々と写す立ち話とエンドクレジットにため息以上に、息苦しくなってくる映画だった。いや、映画と呼べるものかどうかと呼べるようなお粗末な作品に、あきれてしまった。

物語は前編を引き継いで、シンプルプランと呼ばれるSPECホルダー煽滅のための計画が始動したらしいが、結局、なんということもなく、ラストで、どこかの塔の上で、ただ、ボスキャラのような向井理戸田恵梨香達が、立ち話をする。仰々しいCG映像だけが次々と世界の終末を描くだけで、何の工夫もない。まいった。

結局、当麻は時の流れの中を、輪廻のごとく繰り返し生きていて、歴史が繰り返しているだという説明で終わり。

いい加減にしろという感じの一本だった。


「恋のマノン」
自由奔放に恋愛を楽しむ一人の女マノンの物語、そう受け止めていいのだろうか、何ともとらえどころのない作品だった。ただひたすらカトリーヌ・ドヌーヴをみていただけのような気がする。

背後に流れるシャーロット・ガンズブールの軽いリズムの音楽に乗せて、淡々と映像が展開す映画である。

映画が始まると、主人公マノンが次々と服装を着替えているシーンに始まる。そしてタイトルの後、舞台は東京の羽田空港。そこで、マノンがこれからファーストクラスでフランスに向かおうとしている。同乗するのは愛人で大金持ちの男である。

彼女の姿を見かけて、一目で引かれたデ・グリューは、自分の切符を大金を払ってファーストクラスに切り替え彼女の後を追う。こうして物語は幕を開ける。

空港に降り立ったデ・グリューはいきなりマノンを自分のタクシーに乗せる。なんとも妙なしまりのない展開に、呆気にとられていく。

お金のためだけとあっけらかんと金持ちのシモンとの情事を繰り返しながら、デ・グリューを自分の弟だと紹介して、逢い引きを重ねるマノンに翻弄されるデ・グリュー。

疑いの目を向けるシモンはとうとう、二人が抱き合う現場に突入。あわてて逃げたマノンとデ・グリューはボートに乗り、さらに汽車に乗り、ヒッチハイクをして彼方へ去っていてエンディング。

流れるバックミュージックに乗せながら展開していく、自由奔放なマノンの生き方が、いかにもモダンなイメージを生みだし、ウンガロがデザインした洗練された服装に身を包むドヌーヴの魅力が、スクリーンいっぱいにあふれてくる。作品自体は、正直、退屈であるが、カトリーヌ・ドヌーヴの存在感で完成された一本の映画という感じで、決して損をしたと思えないから、見事ですね。


「すべては君に逢えたから」
よくあるオムニバス調の物語なのですが、さすがに本木克英監督、うまいね。泣かせてくれました。そして、生きるってすばらしいなと考えさせてくれました。

余命幾ばくもない父親とその息子の物語。仕事一筋で恋愛に何の興味もなかった実業家が偶然であう運命の恋人の話。孤児であるが、両親がきっといると信じる少女の話。遠距離恋愛の話。若き日の恋の物語。そして片思いで告白できないままに、毎年クリスマスを迎える女性の話など、よくあるエピソードが微妙に絡み合って、クライマックスに流れていく。

下手に作ると、下手なテレビスペシャルになりますが、映画館でしか泣けない出来映えになっているのは、さすがにうまい。特に終盤手前までの絡み合わせるエピソードのバランスとタイミング、テンポが実にいいのです。

難をいうと、ラストの締めくくりのリズムがやや微妙にバランスが崩れたようになるのが気にならなくもないですが、それなりの佳作に仕上がっていたと思います。見てよかったなぁ。涙ぐんでしまいました。