くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「結婚哲学」「山の王者」「モンテ・カルロ」

kurawan2015-12-09

「結婚哲学」
エルンスト・ルビッチ恋愛コメディの最高峰と言われる一本、サイレントながら、いつものリズミカルなタッチと、ちょっと洒落た感じで展開する二組の夫婦の会話のソフィスティケイテッドないでたちがなんとも可愛い一本。

夫婦生活もマンネリし、夫に対して不満が募る主人公のミツィが、友達の夫にモーションをかけて始まる導入部。そして、友達の妻もまた秘めやかな浮気心がにじみ出ながらのコミカルな展開。いつものパターンとはいえ、ただリズミカルにポンポン展開するのとは少し違う、大人の完成度が兼ね備わった一本で、その意味では映画としてのクオリティの高さと呼ぶべきなのかもしれません。

個人的には、昨日見た二本の方が好きですが、エルンスト ・ルビッチの空気の面白さというのは、このありそうでなさそう、悲惨になりそうでとっても明るくドライにまとめるストーリーテリングの面白さを味わうものなのでしょうね。


「山の王者」
エルンスト ・ルビッチ監督作品には珍しい、シリアスな純愛物語。いつものようなハイテンポなストーリー展開も映像のリズムもなく、ひたむきな恋の物語が描かれていきます。

舞台は19世紀初頭、スイスを舞台に、山の男と村の娘の叶わぬ恋の物語。いや、ラストは、二人で雪崩の中に飛び込んで、命をかけた恋の成就と締めくくるのですが、いつものイメージで見ていると、そのシリアスさに戸惑ってしまう。

個人的には、いつものラブコメが好きですが、こういう作品もあるのだということで、一見の価値がある映画でした。


モンテ・カルロ
エルンスト・ルビッチが描くとっても楽しいオペレッタ。彼が描くとミュージカルもこんな洒落たものになる。

公爵とマラ伯爵令嬢の結婚式の場面に映画が始まる。お祝いの晴れやかな歌声と裏腹に天気は大荒れ、しかも花婿を放って逃げ出したマラは、走り出した汽車に飛び乗る。汽車の車輪のカット、走る映像がとってもスピーディで一気に物語に引き込まれます。

行く当てもなく飛び乗った彼女は車掌の勧めでモンテカルロへ。

カジノで無一文になったマラに一目惚れしたのがルドルフ伯爵。こうして、とっても楽しいラブストーリーがスタートする。オペレッタなので、随所に歌が挿入され、軽いタッチで進んでいく物語は、まさにハリウッド黄金期のきらめき。

とにかく、夢物語で、どろっとした悪人は登場しないし、観客の進んで欲しい展開にどんどん流れていく。

ラストは、無事ルドルフ伯爵と恋が実り、汽車に乗り込んで走り出すカットでエンディング。本当に見終わってハッピーになれる映画でした。楽しかった。