「角帽三羽烏」
ほのぼのゆるゆるのロマンティックコメディ。まさに映画全盛期のやっつけ仕事のような一本ですが、気楽に楽しめます。監督は野村芳太郎。
大学の成績が芳しくなくて事務室で絞られる主人公三人の姿から映画は幕を開ける。そしてそれぞれの恋話がお気楽に展開してそれなりにハッピーエンドとなって映画は終わる。
核になる話はあるが、それがどうという流れで、その適当さが、まさに映画全盛期の空気感。これもまた古い映画を見る楽しみでもあります。
「モダン道中 その恋待ったなし」
これはちょっとした佳作でした。面白かったし、展開も洒落ているし、私的なラブコメに仕上がっていました。なんといってもショートヘアの岡田茉莉子の美しいこと。これこそ大女優です。今の女優さんなんか足元に及びませんね。監督は野村芳太郎。
銀行員の主人公鶴川松夫が懸賞で一等賞を取るところから物語が始まる。周遊券を買って旅に出ることにするが汽車の中で亀野武彦という自動車修理工と出会う。二人はこの旅で素敵な恋人を探そうということになり、東北から北海道への旅道中が始まる。そして、いかにも御令嬢という海老原ゆりと妹のトシ子と出会い、さらに札幌に牧場があるという成金の男やスリの梅吉、彼を追う刑事らとのドタバタが展開。そして鶴川はゆりに一目惚れし、亀野は東北で出会った鈴子に惚れてしまう。
あとはアレコレが適当に絡み合ってのコミカルな物語が観光映画的に進むが、ナレーションによるストーリーの牽引がちょっとおしゃれで面白い。そしてすったもんだの末、ゆりはただのデパートガールであることがわかる終盤からゆりと鶴川のハッピーエンド、さらに亀野と鈴子のハッピーエンドと次々と微笑ましく物語が締めくくられていって映画は終わる。
とにかく楽しい。セットをセットだとナレーションしたり、合いの手を入れたりという脚本がなかなかで、最後にナレーションは岡田茉莉子ですと出てきて終わっていく。まあ、こんな楽しい映画、こんな時代でこその一本です。面白かった。