くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ロング・トレイル」

kurawan2016-08-17

「ロング・トレイル」
軽い感じのロードムービーかと思いきや、結構いい映画だった。とにかく、脚本がいいのと、さすがにロバート・レッドフォードニック・ノルティの熟練俳優の掛け合いのタイミングがみごとな映画でした。監督はケン・クワピスです。

かつて紀行文学で名をはせたビルだが、今はセミリタイアの生活を送っている。しかし、何かをしないといけないという気持ちが常にあった。映画はこうして始まる。

ある日、はずれの森のなかに、アパランチ・トレイルというトレッキングコスを見つけ、それを歩くことにする。全行程3500キロということで妻は大反対、一人では絶対行くなという。そこで、友人たちを誘ってみるが誰も彼も、理由をつけて断ってくる。ところがここに一人、悪友のカッツだけが誘いに応じるのだ。。

妻の不安をよそに、ビルはカッツとともにトレッキングにスタートする。しかし、ここからの展開が実に清々しいほどにコミカルで楽しい。途中で出会うさまざまな人々の個性も豊かで、微笑ましい展開でどんどん物語が進んでいく。

しかも、一方で二人は人生を振り返り、思い出に浸るもそのなかで、これからの未来を語るのである。この組み立てのうまさが絶妙。

やたらおしゃべりして理屈を言うひとり旅の女や、気が良さそうだが、年寄りを見下しているような若者たち、熊との出会い、モーテルでのひと騒動や、淡い恋など、トレッキングだけというストレートな物語にふんだんに出てくるエピソードが実に楽しい。しかも、二人の会話の間がうまいから、とにかく飽きないのである。

結局、途中で小さな崖に落ちて、一夜を過ごした後助けられ、今後を断念して家に帰ってくる。しかし、踏破はできなかったものの二人にとっては、踏破した以上の物語が残った。

エピローグでカッツが送ってきたハガキをビルが読む。「次はなんだ?」最高である。

人生は最後の最後まで途切れることなく、何かを求め続けなければいけないのだ。それが生きるということだと教えられる。本当に清々しくもいい映画でした。