くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「小太刀を使う女」「爆笑野郎 大事件」「やぶにらみニッポ

kurawan2016-08-18

「小太刀を使う女」
明治初期を舞台に、由緒ある武家の娘が、一旦は別れた恋人と、再び巡り会うというわかりやすい時代劇である。監督は池広一夫

特に秀でた作品ではないのですが、やはりこの時代の映画はしっかりしていて、見ていて安心できるところがあります。京マチ子以下役者陣がしっかりしているのもあるし、演出も映画らしい作りでしっかりしているからでしょうか?

主人公は律が恋人の片桐と別れ別れになる場面に映画が始まり。実家に戻ってきた律は、弟の妻おたかと出会います。やがて西南の役が起こり、薩摩軍が攻めてくるに当たり、小太刀の師範でもある律は、地元の武家の娘たちを連れて寺に身をひそめる。町人出のおたかはそんな律についていけなく、ことあるごとに女々しく崩れる。

やがて、薩摩軍が街を占領、ふとしたことで薩摩の武士を斬ってしまった律は、幽閉され、死を待つ身になる。しかし、官軍が薩摩軍を追い払い、律は救出され、船長になった片桐と再会、ハッピーエンドである。

たわいのない映画なのに、胸が熱くなる。やはり娯楽映画のツボを押さえた演出がなされているのだろうと思う。面白かった。


爆笑野郎 大事件
本当にたわいもない、というか平凡そのもののコメディ映画でした。なんの工夫も個性もない。多分、こういう映画を作らされるようになって映画界を去ったのだろうと思える、鈴木英夫監督の最後の映画である。この後、テレビに移り、名作を取り始めるのだから、やはり才能のある監督なのです。

井戸水をくみ上げるポンプのセールスマンの二人のプレイボーイ社員のドタバタ劇で、これという面白みも、女優を見る楽しみもない物語展開。

付き合っていた女性と、即興で結婚してすぐに九州へ営業に出かける。そこで羽を伸ばそうとするが、結局、妻たちが追いかけてきて初夜を迎えてエンディング。

得意分野でなかったら雲泥の差のような低レベルの娯楽映画になるという極端さは、ある意味職人監督というより、こだわりの映画監督だったのかもしれません。日本映画の歴史を物語るような一本でした。


「やぶにらみニッポン」
エピソードの羅列のような映画ですが、オリンピック間近の東京の風景、売り出し前の若手の役者たちなど、ノスタルジーに浸れる一本でした。監督は鈴木英夫である。

東京へ向かう飛行機の中に映画が始まる。チューインガムの景品のハワイ旅行の帰りのカップル、父の墓参りに里帰りする物理学者、などなど、高度経済成長真っ只中の日本の世相を描写するオープニングが楽しい。

一応主人公と呼べるカップルは存在するが、彼らを通じての日本の姿を風刺する四コマ漫画のごとき展開となる。

茶店、道路事情、地下鉄工事、お見合い、結婚観の変化、西洋に憧れを抱く人々、地震などなどがコミカルに挿入されていく。

登場した三組のカップルがそれぞれ結ばれてエンディング。たわいがないが、かつての日本、未来を夢見ていた頃の日本の姿を垣間見ることができます。これを作った人々が今の日本を見たらどう思うのでしょう。そんなことを考えてニンマリしてしまう映画でした。