くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜」

kurawan2017-11-09

「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜」
もっと平凡なつまらない映画かと思っていたら、えらく良かった。素直に展開に感動し、ラストはしんみりとした人間ドラマを感じ入ることができました。監督は滝田洋二郎

孤児院のひまわり園の園長の葬儀の日に映画が始まる。そこにかつて世話になった柳沢が同じく世話になったはずの佐々木を呼び出している。しかし、彼は顔を出さない。佐々木は一度味わった味は決して忘れない舌を持つ料理人で、大金を得て、最後の望みを叶える仕事をしていた。かつて経営していた店が潰れ、借金に追い回される日々を送っているのだ。

そんな佐々木にある依頼が来る。戦前の満州国で「大日本帝国食彩全席」という幻の料理のレシピを探して欲しいというもので、依頼人は中国人の料理人楊晴明という人物だった。

佐々木は乗り気ではないものの北京にやってくる。そして、山形直太朗という料理人の人生に足を踏み入れていく。

山形直太朗は陸軍の命令で、「満漢全席」を超える伝説の料理を編み出し、天皇に食べさせるという仕事で満州にやってくる。そこで、楊晴明、鎌田らとレシピを作り始める。物語はこの山形の姿を中心に展開していくが、その中で、山形の妻も死に、一人娘が残されたりというドラマも展開していく。

やがてレシピが完成した頃、命令した三宅少将から意外なことを聞かされる。天皇に出すときに毒を入れろというのである。もちろん、毒味が先に食べるので天皇に心配はないが、楊晴明をその犯人にするという。山形は、それに反発し、楊を逃し、自らはレシピに火をつけたために逮捕され、やがて銃殺される。

しかし、その娘は日本に帰国し、やがて一人息子を生む。山形の妻が山形の控えをもとに作ったレシピを元に再度レシピを完成させた山形は、それをロシア人の友人に託し、その手から楊晴明に渡り、さらに娘に渡るのだが、山形の娘はそのレシピで店を開こうとした日に火事で死んでしまい、レシピを息子にたくす。

なんとその息子が実はひまわり園に預けられていた佐々木だったといのが真相。
そしてレシピを引き継いで、映画は終わるのだが、丁寧に演出されたカメラワークとストーリーテリングが、実に胸の奥深くまで人間ドラマを描いてくる様はなかなかの一品で、並の映画になっていない。ちょっとした秀作の一本という感じの映画でした。素直に感動できたし良かったです。