「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」
これというほどもないいわゆる戦争アクション。リュック・ベッソンが脚本、制作を担当しているからという程度で見にいった。まぁ、普通に面白いというレベルの一本でした。監督はスティーブン・クォーレ。
第二次大戦末期、ナチスが大量の金塊をとあるところへ隠しているシーンに始まり、その様子を高所から見下ろすレジスタンスの姿でタイトル。
場面が変わると、アフガニスタン、ネイビーシールドが特務を受けてその任務と全うする派手なシーンに始まり、ナチスが隠した金塊を奪取する作戦を勝手に計画して本編となる。
奪取した金塊で、この地の復興に使いたいという民間女性の目的が挿入されたことで、この作戦が完全に無傷で達成されるのだろうと見えてしまうのがこの脚本の弱点ながら、あとは普通に派手なシーンとスリリングな展開を交えてラストへと向かう。
それ以上でも以下でもなく、ただ、J・K・シモンズの存在が際立って見えるのは明らかに演技力の賜物という感じでした。まぁ、娯楽映画として普通の作品です。
「ブリムストーン」
なかなか見ごたえのある映画でしたが、少々、ラストが後味悪かったです。でも絵が綺麗だしカメラは素晴らしいし、ストーリー展開もしっかりできていてドラマ性は見事。解説ではスリラーとなってますがなるほど、スリラーですね。監督はマルティン・コールホーベン。
どこかの湖、誰かが船から落ちてそれを船上から銃で撃っている絵から映画が始まる。実はこれはラストシーンで、物語はこの直前から始まる。
年の離れた夫と暮らす主人公リズはなぜか口が聴けない。娘サムと息子と四人暮らしをしているこの村に一人の牧師がやってくる。しかし執拗にリズはこの牧師を怖がる。こうして第1章がはじまる。
実はこの牧師はリズを探し求めて追ってきたのだが、村人はこの牧師を信頼している。たまたまリズが取り上げた赤ん坊が死んでしまい、その父の恨みを買ったりする展開から、次第にリズにこの牧師の魔の手が迫るように見えてくる。そしてことば巧みに リズの家族に取り入った風に見えるが間も無く夫が殺され、ようやく真相に目覚めた息子と娘で脱出する。
映画は第2章。一人の女ジョアンナがボロボロの格好でさまよっていて、中国人の馬車に拾われ、とある町の売春宿に売られる。そこでやがて成長したジョアンナだが、やがて、牧師がやってくる。どうやら時間が一つ前に戻っている。
追い詰められたジョアンナは、なんとかやり過ごし、自分を大事にしてくれたリズという娼婦が嫁いで行く予定だった男の元へリズになりすまして行くことにする。リズは、客との諍いで、店の主人に舌を切られていて、ジョアンナを追ってきた牧師との争いの中死んでしまったのだ。リズになるためにジョアンナは舌を切る。
そして映画は第3章、ジョアンナの少女時代へ戻る。狂信的な牧師の父と献身的な母に育てられていたジョアンナだが、牧師の父は異常者で、母を責める一方、女になったジョアンナに手を出そうとしてくる。そして無理やり体の関係を結ぶのだが、ジョアンナはそんな父の元から逃げ、ボロボロの格好で第2章につながる。
そして最終章、息子と娘と馬車で逃げるリズは追ってくる牧師の気配を感じていた。何とかやり過ごして夫の父の小屋にたどり着いたが、追いついた牧師は祖父さえも殺し、途中で息子も殺し、リズ=ジョアンナとサムに迫る。そして二人を拘束し、サムにも鞭を浴びせる牧師をすんでのところでリズが殺してしまう。
しかし、平和と思われた日々に、かつて娼婦だった町にいた男が保安官としてやってくる。口の聴けないリズという女は懸賞金をかけられていたのでおってきたのだという。リズは実はジョアンナなのだが結局保安官に捕まり船に乗せられて行くが、途中で縛られたまま、水に飛び込んでしまう。こうして冒頭のシーンになる。果たしてリズはあのまま沈んでしまったのかは不明
エピローグとして、大人になり娘もできたサムが幸せな毎日を送っていて、なぜか母が見守ってくれているというナレーションで、彼女らを見守る一人称カメラでエンディング。
一見複雑な展開ながら実にうまくまとめられているのですが、途中の小さなエピソード、例えば、ジョアンナが密かに恋をする男のことなど、がやや雑なのだけが気になる。しかし、全体にクオリティの高い作品で、見ごたえのある映画でした。