くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ガンパウダー・ミルクシェイク」

ガンパウダー・ミルクシェイク」

なかなか面白かった。絵作りがとっても面白いし工夫が見られる。さらにアクションシーンに、これでもかと言うアイデアが満載で、次はどうなるかとっても楽しい。その上、クライマックスのクラシカルな図書館やレトロなカフェでのバトルもワクワクするほどカメラがいい。今時のフィルムノワールを想像させるような陰影も面白いし、少々雑ながらもシンプルなストーリー展開とキャラクターのオリジナリティも魅力でした。監督はナポッド・パプシャド。

 

凄腕の殺し屋サムが、仕事を終えて脱出しようとしたら、いきなり大勢の敵が現れ、大殺戮の上脱出するところから映画は幕を開ける。そして、暗殺組織ファームから、ダイナーで待ち合わせるという連絡が入り、時は十五年前に。ダイナーで母と待ち合わせていたサムは三時間遅れてやってきた母に約束の本を渡す。そして席をたつが、間も無く一人の男がサムの前に現れる。ナイフで脅されるサムだが、突然傍に銃を持った母が現れ、男を殺し、仲間を倒して車で何処かへ消えてしまう。そして十五年後の現在、ファームのボスネイサンから次のターゲットの指示が来る。組織の金を奪った男を殺して金を奪い返せというものだった。

 

サムはターゲットの男を撃ちにいくが、そこで瀕死の男から、娘が誘拐され身代金が必要だったと打ち明けられる。サムは身代金を渡すために、とりあえず組織のお抱えの医者に男を預け、誘拐された娘を助けるべく取引の場所に向かう。ファームからもサムに刺客が向けられその刺客三人を倒した後、娘を取り返し金を渡したが、金は組織の金なので、奪い返しに向かうと、誘拐犯たちは仲間割れを起こし、その争いの中で爆発して金は舞い散ってしまう。

 

サムはとりあえず、誘拐された娘エミリーを父の元に連れ帰るが、父はすでに亡くなっていた。しかも、ファームから指示を受けた男たちがサムに襲いかかる。医師に両腕の力が抜ける薬を注射されたサムはエミリーの助けで、刺客を倒す。エミリーが車を運転し、アクセルとブレーキだけをサムが担当して逃げるカーチェイスが素晴らしい。

 

実は、冒頭でサムが大殺戮をした時、ファームと同業の組織のボスの息子を殺してしまっていた。ネイサンはサムを差し出すことで、組織同士の争いを反故にしてもらう取引に出たのだ。サムは、かつて殺し屋だった三人の女が仕切るクラシカルな図書館に逃げ込むが、なんとそこで行方不明の母と再会する。そんなサムを追って軍隊のような大人数の刺客が襲いかかる。三人の女殺し屋アナ・メイ、マデリン、フローレンスが加勢し、さらに母スカーレットも参戦しての大バトルが始まる。銃撃戦のみならず、鎖や金槌、銃剣などなど様々な道具での大バトルがとにかく面白い。そんな中、エミリーを守っていたマデリンは死んでしまいエミリーは連れ去られるものの、見事刺客を撃退する。

 

サムは単身、エミリーを救出すべく、ネイサンが取引した組織のボスに会うためダイナーへ行く。組織にボスはエミリーを渡す代わりにサムを殺すと迫ってくるが、突然、母が銃を持って現れ、さらに、仲間の女殺し屋も現れ、大バトルの末、エミリーを助け出す。ここでのスローモーションと流麗なカメラワークの場面の最高です。

 

一難去って、サムはエミリーに、自分がエミリーの父を撃ったことを謝る。エミリーは組織の指示でしたことだからと許してあげる。そして、一番憎むべき組織、ファームのボスに最後の戦いに臨む。ネイサンの邸宅にガールスカウトの格好のエミリーがやってくる。エミリーはネイサンに「若草物語」の本をプレゼントするがそこにはメモが挟まっていて、ネイサンは自分の胸に照準の赤い点を見つける。サムがネイサンの胸を狙い、今後、組織の人間がエミリーや自分の仲間に近づかないようにと脅す。そして姿をくらます。車で移動する、サム達の中にエミリーも参加していた。こうして映画は終わる。

 

さまざまなクラシックな本をネタにして、武器のやりとりをする下りの面白さ、クラシカルな図書館という舞台を使ったちょっと品のある大バトルシーン。どこか懐かしいレトロ感のある採光の使い方。効果的なスローモーションとカメラワーク。とにかく全編が映画として、映像として面白くて仕方ない。大傑作というより、アクション映画の秀作というイメージの最高の作品でした。