くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「マイ・ブックショップ」「美人が婚活してみたら」

「マイ・ブックショップ」

とっても絵作りが美しくて、まるで寓話のような空気感のある上品な作品でした。こういう物語なら最後はどんでん返しで爽快に終わるというのを裏切るにもかかわらず、締めくくりのうまさにため息が出てしまった。監督はイザベル・コイシェ。

 

時は1959年、イギリスのとある海岸の街に一人の女性フローランスがやってくる。彼女はこの街のオールドハウスという空き家に書店を開くために来たのですが、この街の住民からはことごとく反感を買ってしまう。

 

その原因になるのがこの街の有力者ガマート夫人だった。フローレンスはブランデッシュという地元の名士で本好きだが、妻が去ってから引きこもりの老人を心の支えに書店を開業する。

 

しかしガマート夫人は執拗に妨害してくる。フローレンスは地元の少女を手伝いに雇ってどんどん繁盛していくが、いい気がしないガマート夫人は近くに大きな書店を開業させるとともに、古い土地を強制的に収用できる法律まで作らせる。

 

我慢できなくなったブランデッシュはガマート夫人に掛け合いに行くが、その帰り、急死してしまう。そしてそのまま立ち退きの法律も施行され、フローレンスは街を出ることになる。そして彼女に近づいてきた全ての人が彼女を追い出すように画策していたことが明らかになる。

 

立ち去る船を見送りに来たのは、手伝いに来た少女だけで、彼女はオールドハウスに火をつけてきていた。そして彼女は大人になり書店を開店し、幼い日のフローレンスのことを語るシーンで映画が終わる。

 

フローレンスが立ち去る時、街の人々がカットで繋がれ、彼女を追い出す行動をしていたショットのリズム感もうまいし、一見後味が悪くなる展開なのに小気味好く終える演出がうまい。服装の色と背景にこだわった色彩演出も細やかで美しい。なかなかの佳作という感じの一本でした。

 

「美人が婚活してみたら」

面白くなるはずが、脚本、役者、演出それぞれが非常に弱くてインパクトが弱いために映画がリズムに乗ってこないのが残念。監督は大九朋子。

 

デザイン会社に勤めるタカコが公園でぼんやりしている。美形なので男に不自由してこなかったが、彼女に言い寄る男は全て不倫で、最近も一つの恋を終え燃えつきていた。

 

タカコは親友のケイコを誘って飲んでいる時、突然婚活することを思いつく。一方のケイコも結婚生活にどうしようもない苛立ちを覚えていた。

 

とりあえず、婚活サイトで知り合った男性と付き合い始めるタカコだが、何か自分の求めるものが結婚なのかはっきりしないままにSEXしようとしてしまう。

 

一方のケイコも母からの執拗な関わりにうんざりしてきている。そんな時、ケイコとタカコは飲んでいて思わず言い合いをして喧嘩してしまう。そして、タカコは男たちに別れをいい、ケイコと漬物をつけながらこれからも仲良くやっていこうと確認。

 

なぜかスッキリしたタカコは鼻歌を歌いながら歩いて行って映画が終わる。この監督の前作「勝手にふるえてろ」と空気感のよく似た仕上がりなのですが、ちょっと、リズムに乗り切らなかった仕上がりという感じでした。