くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「タリーと私の秘密の時間」「銀魂2 掟は破るためにこそある

kurawan2018-08-17

タリーと私の秘密の時間
どこか不思議な空気を感じて見た映画でしたが、案の定こういうラストかという一本。少々、デフォルメがきつい気がしますが、映画作りというのはこういうものだと思うし、楽しむことができました。監督はジェイソン・ライトマン

間も無く生まれるようなお腹をしたマーロ、長男のジョナの体をブラッシングしてやる静かなシーンから映画が始まる。手際よく母親を演じ、テキパキとこなすかに見える彼女にハイテンポな曲がかぶっていく。ところが彼女にはもう一人サラという娘もいる。しかもジョナは精神不安定らしく、すぐに騒ぎ出してしまうのである。と、少しづつマーロの境遇が描写されるオープニングがうまい。

一見静かに始まるのだが、静かなのではなくて、すでにマーロは限界になっているのである。そして3人目の赤ん坊が生まれると、彼女はどんどん追い込まれていく。細かいカットと繰り返しの映像で、単調な毎日がストレスに変わる展開を描写。そして、どうしようもなくなったところ、兄から夜のベビーシッターを雇うことを提案される。

限界だったマーロは、その女性を雇うことにする。やって来たのはいかにも今時の女性のタリーだった。最初は不安だったものの、仕事は完璧で、次々とこなしていく姿にマーロの心も余裕が出てくる。しかも、育児のみでなく、私生活のことも話すようになってえ、マーロは次第に余裕を取り戻す。しかし、タリーの素性は全くわからず、夜明けには帰ってしまう。

ところがある夜、タリーは赤ん坊を残して街に出かけようとマーロを誘う。赤ん坊は父親がいるから大丈夫だからと車でマーロを連れ出したタリーは、かつてマーロも遊んだニューヨークの街に連れていく。

そしてバーで酒を飲み、気持ちよくなったところで、タリーはそろそろ去る時がきたとマーロに告げる。せっかく落ち着いて来たマーロは途端にパニックになり、心が乱れ始める。自転車をとって、夜の街を走り抜け、慌ててタリーが後を追う。

お乳が張って来てその場にうずくまったマーロをタリーが助け、マーロが運転して車で帰路につくのだが、途中、疲れで二人とも眠ってしまい川から落ちて事故を起こす。水の中で、外に出れないマーロを人魚の姿になったタリーが助け、病院のベッドでマーロは目覚める。

看病している夫のドリューに医師が告げた言葉、それは、マーロは極度の睡眠不足、そして精神的な限界にきているということだった。夜のベビーシッターを雇ったと聞いていたのにどうしてマーロは限界にきていたのか訝るドリュー。そういえば、ドリューはそのベビーシッターを知らないし、会ったこともないことに気がつく。そして、マーロの旧姓がタリーだと医師に話す。

つまり、タリーはマーロが作り上げた妄想の女性だったのである。昼は子育てをし、夜もタリーとなって、完璧な母親を演じていたのだ。そしてとうとう限界が来たのである。

退院したマーロの前で、赤ん坊をあやすドリューの姿があった。ジョナは、いつものようにブラッシングしようとする母に、そんなものはいらないからとマーロに抱きしめてもらう。

危機を脱したマーロ、マーロの疲れにようやく気がついたドリュー、そして、家庭が平穏になるにつれ、自然と子供達の姿も落ち着く。前半から中盤の目まぐるしい展開と中盤のヒューマンドラマのような流れが、一気に一人の母親の精神限界の話に収束する。なかなか深みのある作品でした。


銀魂2 掟は破るためにこそある
前作があまりにも面白かったので、今回もかなりの期待で見に行ったが、とにかく、口上がやたら多くて映画が完全に止まってしまっていた。笑わせようという小ネタがしつこいので、リズムに乗ってこない。しかも、前作で見せた軽妙な悪ノリが全て滑ってしまって、そこへしつこく長台詞が映像を止めるので、だんだんため息ばかり出て来てしまった。監督は福田雄一

愚痴を言っている銀時達の声が聞こえているオープニング、さらにカメラ小僧まで登場させる悪ノリ、そしてようやく本編。例のよってダルダルから爆発するような展開へ引き込むのだが、その後すぐに長台詞が次々とリズムを壊し始める。

キャバクラネタ、床屋ネタなど、面白いはずが、すぐに長ゼリフの口上で、リズムが途切れる。とにかく、真選組の内紛、将軍をも巻き込む大騒動へと展開していくが、次々としつこい長台詞で映画を止めるばかりで、いつまでも前に進んでいかない。

台詞を半分以下にして、ノリだけで突っ走れば前作同様拍手ものの娯楽映画に仕上がったろうに、ほんまにしんどかった。クライマックス、おきまりのジブリネタのネコバスも今回は完全に不発。中盤のエヴァンゲリオンネタも今ひとつインパクトが弱く、映画のノリになっていない。

終盤の銀時のアクションシーンも完全に力尽きた演出になってしまって、とてもラストを飾るシーンになっていない。前作がとにかく面白かったので、本当の残念です。