くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「海獣の子供」「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」

海獣の子供

名作コミックのアニメ版ということですが、原作の物語を脚本段階で整理されていないのか、終盤がやたらしつこくてシュールすぎてそこまでの物語がふっ飛んでしまった。さらに、配色や絵作りがものすごく綺麗なのですが、その絵作りに頼りすぎて演出がまとまっていない。監督は渡辺歩。

 

中学生の琉花の夏休みの始まりから映画は始まる。初日に張り切りすぎたハンドボールで友達を怪我させてしまい、そのまま学校へ行けなくなった琉花は父の勤める水族館へ行く。そこでジュゴンに育てられたという少年、海と空に出会う。

 

彼らは日にあたると極度に衰弱するため、常に水中に入る必要があった。一方で彼らにはなにやら不思議な未来があるらしく、世界中で海の様々な不思議な出来事が起こっていた。

 

次々と起こる出来事の描写1つ1つは美しいが、それがなんなのか、調査しているらしい政府の機関はなんなのか、そして海と空の立場はなんなのか、後半はどんどん説明は省略あるいはおざなりにされて映像の洪水になって行く。

 

琉花が飲みこんだ隕石はなんなのか、そして海と空の使命はなんなのか、よくわからないまま、壮大な自然の営みが行われて夏休みが終わる。完全に前半と後半がまとまっていないストーリー展開に参ってしまった。ただ、背景と人物の美しい絵作り、配色の美しさには目を見張るものがあります。それだけでも見た会があったかもしれません。

 

「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」

もうちょっと心を掴まれるかと思っていたけど、意外にさらっと終わりました。いい映画ですが、そこまでという感じでした。監督はブレット・ヘイリー。

 

17年間レコード店を経営してきたフランクは、店を閉める決意をします。かつて亡き妻とバンドを組んでいたけれど、娘とバンドを組む夢を叶えようと考えたのです。

 

一方の娘のサムはまもなく医学部への進学が控えていた。無理やりセッションを組んだ父と娘はオリジナルの曲をネットにアップする。一方で閉店の準備も進めていた。

 

ネットにアップした曲はそれなりに反響があり、気を良くしたフランクはサムにこのままバンドを組もうと提案するが、サムは医者になる夢を諦める気は無かった。それでも、オリジナルの曲作りを進めるサム。

 

やがて閉店の日、サムはこの日に父フランクと店でライブをすることを提案する。そしてフランクの世話になった人たちも集まり、一夜限りのライブがスタート。盛況の中ライブは終わり店は閉店、サムも大学へと旅立つ。

 

フランクは行きつけのバーでアルバイトをし始め、サムの授業料を稼ぐ姿があった。大学ではサムが自曲を披露するシーンで映画は終わります。

 

サムの恋人が女の子であったりとここにもLGBTのエピソードが入りますが、全体には品のいい作品で、仲良しの親子の素敵なドラマに仕上がっていました。ただ、亡くなった妻の思い出をさりげないカットだけで挿入したり、脇のエピソードがもうちょっとしっかり描いても良かった気もします。