「最高の花婿 アンコール」
ブラックユーモア満載のセリフと差別と偏見を笑い飛ばしていく展開が今回も小気味良い仕上がりで楽しかった。監督はフィリップ・ドゥ・シューブロン。
多国籍な娘夫婦のヴェルヌイユファミリーだが、何かにつけてフランスからの偏見が気になる夫たちはパリを出ていくことを考え始める。そんな危機を回避しようと家長のクロードは妻と一緒に作戦を練り始める。
あとは機関銃のような台詞の応酬と突っ込みどころ満載のコミカルな展開が、真断なく繰り返されていく。そしてクロードの策略とは知りながらもフランスに残ることに心変わりした夫たち、さらにレズビアンの結婚さえもすんなり受け入れてのクライマックスになって映画はハッピーエンドを迎える。
まあ、なんでもありで、イチャモンをつければキリがないほどの偏見満載のコメディながら、笑い飛ばしているのがいかにも健康的で楽しい。これが本音なんだけれどねと観客に向かっているキャストたちが見えるようです。ハッピーな映画でした。
「CUREDキュアード」
なんとも鬱陶しい映画だった。ストーリーがまとまっていないために、視点を注ぐ部分が全く見えない。冒頭はセナンとアビーの話かと思えば、中盤からコナーの話になり、ジョーという患者を必死で治療する医師の話になり、回復者の反乱の話になりとどんどん中心が移ってしまった混沌とした出来上がりになった感じです。監督はデビッド・フレイン。
メイズ・ウイルスという、ゾンビのように変貌して凶暴になるウイルスが蔓延、そこから回復した人たちは回復者として引き取り手のある人の元に戻されて来た。主人公セナンは姉アビーに引き取られることになったが、回復者への世間の偏見は強く、何かにつけて中傷を受けていた。回復者はウイルスに犯され殺戮をしていた頃の記憶はしっかりと残っているために、悪夢にうなされるものもいた。
セナンはアビーの夫を殺した記憶が残っていた。アビーにはキリアンという息子がいて、アビーの心の拠り所になっていた。政府は回復者への偏見が厳しい中、回復しない感染者は安楽死させることでウイルスの根絶を図ろうとしていたが、その扱いに反対する回復者たちは、セナンの友人で同じく回復者であるコナーのもとに組織を作ろうとしていた。
ここに、ジョーという患者をなんとか治そうと必死になる女医がいたが、なかなか成果が上がっていなかった。回復者の組織は、安楽死のために隔離している患者を解放することで混乱を生み、政府への抗議をしようと計画、実行に移される。
セナンはアビーの息子キリアンを助け、アビーのもとに届けるが、感染者がキリアンに噛み付いてしまう。アビーはキリアンを殺してしまおうとするがセナンはキリアンを抱きとり、必ず治すからとアビーの元をさる。やがて一応落ち着いた中でキリアンを抱いて彷徨うセナンのカットで映画は終わるが、どうにも混沌としてまとまらない。結局なんなのだという映画だった。