「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」
司教の小児虐待を描いた実話に基づく物語ですが、リレーのように主人公を変化させながら描いていく脚本のうまさと、次第に追い詰めていく展開が相当に良くできた一本。ただ、内容が内容なので重い。それでも二時間以上あるのに全然退屈しませんでした。監督はフランソワ・オゾン。
リヨンに暮らすアレクサンドルは幼い頃に地元にいたブレナ神父に性的虐待を受けていた。しかし、大人になるまでそのことに触れることはできず今日まで過ごして来たが、そのブレナ神父が今も子供たちに聖書を教えていることを知り、過去の出来事を告発する決心をする。そして地元の枢機卿バルバランに訴えるが、こういう事件を担当のレジーヌとまず会うことになる。しかし、ブレナ神父は罪は求めたものの謝罪はせず、さらに教会もなんの処置もしなかった。
アレクサンドルは告訴することを決意する。しかし、アレクサンドルについてはすでに法的に時効になっていた。しかしある女性の息子たちが同じ目にあったことがわかり警察はその人物フランソワに接触する。忘れていた過去を思い出し、悩んだ末に告訴に踏み切る。さらに、警察や教会のみでなくマスコミの利用も考え、徹底的に糾弾することにする。
間も無くして彼が作った被害者の会にもメンバーがふえ、新たにエマニュエルという青年も参加。被害者の会を中心にじわじわとブレナ神父を追い詰めていく。
映画は、アレクサンドルからフランソワ、さらにエマニュエルを中心にリレードラマのように展開して、それぞれの周囲の人間模様を描いていく。そして、それぞれが被害者の会に集結していき、やがてブレナ神父は罪に問われ、事態を放置していたバルバランも罪を受ける。
三人の物語の中心になる人物の周囲の描写が素晴らしく、両親や兄弟らとの確執や、親子の絆など、丁寧に描写される人間ドラマも圧巻。ブレナ神父とキリスト教会への糾弾というシリアスなテーマを軸にした人間ドラマの素晴らしい映画でした。
「ドラゴンへの道」
ドラゴンシリーズの中ではストーリーが一番退屈な映画ですが、クライマックスのコロセウムでのチャック・ノリスとのシーンのみが見どころ。でも、やはりブルース・リーは強い。監督はブルース・リー。
イタリアで料理店を営む叔父の店がマフィアに脅かされているということで、香港から用心棒にタンがやってくるところから映画が始まる。空港でのしつこいほどのコミカルなシーンの後、チェンが迎えにくる。この映画でチェンを演じたノラ・ミヤオの人気が圧倒的になる。本当に可愛らしい女優さんです。
あとは、店にやってくるマフィアのならず者を次々とタンがやっつけ、万策尽きたマフィアはアメリカから空手の達人ゴートを呼ぶ。そして、タンとゴートの一騎打ちがコロセウムで行われるクライマックスへ。見事ゴートを倒したタンが戻ってみると、実は叔父さんも悪者でというとってつけた展開の後マフィアのボスがみんな撃ち殺しそこへ警察が来て大団円。
なんじゃこりゃという物語ですが、ブルース・リーは強い。という映画でした。