くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「チア・アップ!」「ドラゴン怒りの鉄拳」(4Kリマスター版)「ラ・ヨローナ 彷徨う女」

「チア・アップ」

特に秀でた映画ではないですが、普通に楽しめる作品でした。ダイアン・キートンが出ていなければいかなかったジャンルですね。さすがにお年を召してしまいましたね。監督はザラ・ヘイズ。

 

主人公マーサが遺品を家の前で処分している場面から映画が始まる。一人ぼっちになった彼女はシニアタウンに引っ越して来る。いわゆる老人ホームのシティ版というのがアメリカにはあるんですね。静かに暮らそうとやってきたものの、お節介で騒がしい隣家のシェリルがやたら絡んできて、面倒な日々になる。しかし、次第に打ち解けてきたマーサとシェリルは、マーサが若い頃夢だったリアリーダーの夢を叶えるべくこの町でチアリーディングチームを作ろうと考える。

 

そして、オーディションしてメンバーを集めたものの、メンバーみんなどこか持病もあってすったもんだ。それでも陽気なおばあちゃんたち、次第にチアリーディングにハマっていく。

 

まあよくある展開で、クライマックスは地元の大会に出て大盛況。ところがマーサは癌を患っていて大会の後まもなくして死んでしまう。でもその後、メンバーたちはチアリーディングを続けていくところでエンディング。

 

所々に散りばめられた笑いが今ひとつタイミング悪く生きてこないし、途中から振り付けで参加する若いチアリーダークロエのキャラクターが生き生きしてこない上に、彼女に惹かれているベンとの絡みも弱い。

 

全体に平凡な演出が際立つので、もったいない仕上がりになっていますが、まあ、肩も凝らない映画だし、気楽にみるにはこれでいいかなという作品でした。

 

「ドラゴン怒りの鉄拳」

40年ぶりくらいか、4Kリマスター版で再見。やっぱりブルース・リー映画はこれが最高。やっぱり面白かった。日本人が悪者でコテンパンにやられるのに、それでもブルース・リーがかっこいいと思ってしまう。強い。監督はロー・ウェイ。

 

師匠の葬儀に戻ってきた、弟子で主人公のチェンのシーンから映画が始まり。折しも日本人道場の男たちが中国人を馬鹿にする看板を持って葬儀の場を乱す。その場は我慢したチェンだが、単身日本人道場へ乗り込み大暴れする。

 

ここから日本人道場と中国人道場の諍いがエスカレートし、さらに戦前の中国の差別されている社会が描写される。チェンにコテンパンにされた日本人道場の面々はなんとか中国人道場を痛めつけようと画策。そんな折、たまたま師匠が日本人に毒殺されたことがわかり、チェンは日本人道場の主人スズキを調べ始める。そんな頃、日本人道場に西洋人の屈強な武術家が客分としてやってくる。

 

調べ終えたチェンは単身スズキの館へやってくる。そして西洋人武術家を倒し、スズキも葬るが、そんな頃、スズキの指示で中国人道場のメンバーが日本人道場の男たちに襲われほとんどを殺されてしまう。日本帝国総領事もやってきて、チェンを引き渡すように迫る。

 

身を隠していたチェンだが、そのやりとりを聞いて、いたたまれなくなり姿を現し、自分の自首と引き換えに中国人道場の存続を求めて身柄を預ける。扉の外に出た彼を待っていたのは西洋人らの銃口だった。チェンは絶叫をあげて彼らに向かって飛び蹴りをするところでストップモーション。映画は終わる。結局、日本や西洋の権力に屈せざるを得なかった当時の中国人の悲哀が爆発して胸が熱くなってしまいました。

 

ヌンチャク技、スピード感とキレに溢れた格闘シーン、オーバーラップを使った腕の回転させる場面など、ブルース・リーのカンフーアクションの見せ場がふんだんにある上に、とにかく強い。やはりドラゴンシリーズ最高傑作だと思います。

 

「ラ・ヨローナ 彷徨う女」

しんどかった。特に前半は地味な上に画面が暗くて、後半のホラーテイストが絡んできても結局、静かなエンディングという感じでした。ただ、実際に起こった虐殺事件ということを鑑みれば、それなりのしっかりできた作品だったかと思います。監督はハイロ・ブスタマンテ。

 

何やら女性たちが儀式のようなことをしている場面から映画が始まる。呪いでもかけているのか異様な感じである。シーンが変わるとグアテマラの将軍エンリケの裁判。何やら市民の大虐殺をしたということで、大勢の人たちから非難され、外に出てもいまにも殺されそうな空気でなんとか自宅に帰ってくる。

 

エンリケは、体の具合も悪く、酸素吸入が欠かせず、たくさんの女性の召使に世話を任せながら、年老いた妻や娘、孫と暮らしている。門の外には押し掛けた市民がエンリケをいまにも引きずり出さんという勢いでプラカードを持ち押し寄せている。

 

エンリケは、夜中に幻覚か女性の声を聞き、銃を持って彷徨ったりする。さらに若い召使アルマを襲ったりする。そんな不穏な空気の中で生活していたある時、エンリケのベッドの枕元に異様な模様が浮かび上がる。世話をしている一人の女性が、これは黒ミサだと言い、家族全員で払わないと行けないと儀式を始める。時を同じく、庭に大勢の亡霊のような人たちが溢れ始める。実はアルマこそがエンリケにかつて虐殺された女性であり、エンリケの妻に乗り移ってエンリケを絞め殺す。エンリケの葬儀、軍の関係者が用足しをしていると水浸しになって、映画は終わっていく。

 

虐殺をした恨み辛みが黒ミサによってはらされていくという展開らしいが、とにかく地味に暗いので、しんどい映画だった。