くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「TENET テネット」

おもしろかった。時間テーマをこういう風に小道具に使うという発想が見事。一瞬混乱しかけるのですが、それは人間がまだ完全に未知な存在としての時間に対する既成概念があるからで、物語は一昔前のB級SFのようなシンプルな話。その軸の話にいかに早く行きつくかがこの映画を楽しむポイントかもしれません。オープニングから張り巡らされた伏線の数々、すべてのシーンが繰り返される癖になる面白さは絶品。これこそクリストファー・ノーラン監督作品の面白さですね。

 

キエフのオペラハウス、たくさんの観客に埋め尽くされている。突然の銃声で舞台上に現れるテロ集団、待っていたかのように彼らを制圧するために乗り込んでくる部隊。観客の中にプルトニウム241を求めるスパイがいるということらしい。このオープニングから一気に映画の世界に引き込まれるが、すでに様々な伏線が散りばめられています。

 

この部隊の一人の黒人がおそらく主人公だとカメラは追っていく。制圧する中で一瞬ピストルの弾が逆行するのを見たような気がする。そこに赤いストラップのついたかばんを目撃。テロは偽装だったというようなアナウンスの後、この黒人はテロリストに拉致されるが、自殺を図った主人公だがある組織TENETに助けられとある施設へ。そこで見せられたのは、撃ったはずの弾が戻るというピストル。そしてその的。これらは未来から過去である現代へ送られたものだという。そして第三次世界大戦による人類消滅の危機を回避するべくある任務を言い渡される。

 

第三次世界大戦=核戦争という構図は今や過去のもので、この時間が逆行する装置こそが人類滅亡の最終兵器だという。この男最後まで名前が明かされず、謎の男のままなのだが、ラストで、その意味が分かる。

 

この主人公は逆行する弾丸の謎を探るべくムンバイへいきそこでニールという男と出会う。なぜか主人公のことに詳しいニールだが、二人はパートナーとなり、サンジェイ・シンなる武器商人に近づこうとする。しかし、シンではなくその妻プリヤこそが黒幕だった。

 

プリヤはロシアの武器商人セイターがプルトニウム241にかかわっており、セイターに近づくべくクロスビー卿の力を借りて、セイターの妻キャットに接触する。

 

セイターに近づいた主人公たちは、オペラハウスで行方不明になったプルトニウム241の奪取に成功するが箱を開けてみると中に入っていたのは見たこともない金属の塊だった。しかも、逆行してきたセイターに奪われてしまう。この高速道路でのシーンはまさに圧巻。ここだけに限らず,映画全編に驚愕的なシーンが連続する。

 

実はセイターは、はるか未来、世界が気候変動などで悲惨な状況になることを悔やみ、過去のすべてを消滅させるためにアルゴリズムという装置を完成させることをもくろんでいた。時間を逆行させる装置アルゴリズムは未来にいる科学者が発明したものだが、彼はこの装置に恐怖を覚え、ばらばらにして過去の世界に隠してしまった。セイターはその装置を再度完成させ起動させようとしていた。

 

アルゴリズムを起動させるのが、セイター自身に埋められたスイッチで彼が死んだ時にアルゴリズムが起動する仕組みになっていた。彼は末期がんだったのです。

 

14日にアルゴリズムを起動させようとしているセイターの計画を阻止するため、アルゴリズム起動場所となるスタルスク12に、時間を順行する赤のチームと逆行する青のチームが攻撃を仕掛ける。その中で、主人公とアイブスがアルゴリズム奪還に向かうが,すんでのところで、頑丈な柵に阻まれる。その向こうには赤いストラップを付けた死体が横たわり、セイターの部下がアルゴリズムのセットを進めていた。突然死体が生き返り主人公たちを中に引き入れ、アイブスと主人公はセイターの部下を倒し、アルゴリズムを奪還する。

 

一方時を同じくして、セイターの妻キャットがセイターを見張っていた。しかしキャットは、主人公たちの作戦成功の報告を待たずにセイターを殺してしまう。主人公たちがすでにアルゴリズムを奪取していたので、事は起こらなかったが、14日以降セイターの存在が消えるためにこの日がセイターの計画の実行日だと判断していたTENETの思惑は間違っていたことになる。

 

無事、アルゴリズムを回収、主人公とニールとアイブスは装置を三分割して別々に補完しようとするが、ニールは自分の部分を主人公に預け去っていく。その際、未来の主人公がTENETを組織したこと、主人公の部下がニールであることなどを打ち明ける。

 

キャットは愛する息子を学校に迎えに行く。それを見ているプリヤがいる。主人公はTENETの創設者が自分だと話し、キャットを殺そうとしているプリヤを殺してしまう。アルゴリズムの存在を知る者は死んでもらうほうが安全と分かりながらも、主人公はいつの間にかキャットへの想いが募り始めていた。

 

少々、作り込みすぎているような気がしないでもないのですが、癖になるほどに自分的には面白かった。もう一回見に行きたいと思います。