くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゾッキ」「JUNK HEAD」

「ゾッキ」

コミック原作の三話オムニバス形式の映画で、所々にオーバーラップさせるというよくあるストーリー展開なのですが、うまく噛み合ってないというか、ああなるほどと見せる場面のタイミングが悪いというか、面白いのだけれども、ちょっとテンポに乗り切っていないのがもったいない感じの仕上がりの映画でした。監督は竹中直人山田孝之斎藤工の三人。

 

ある大きな家、一人の女性がおもむろに起き出す。老人が旦那と喧嘩したのか、実家に戻った孫娘が起きてくるところに朝食を用意して映画は幕を開ける。おじいちゃんに、何か秘密はあるかと聞かれ、孫娘が逆におじいちゃんに聞いて、240あると答えて娘が牛乳を吹き出して映画は幕を開ける。

 

アパートの一室で一人の青年伊藤が起きる。突然壁が揺れる。隣の部屋の男がドアを閉めた振動らしい。隣の男藤村に文句を言いに行ったが、藤村はこれから旅に出るという。ママチャリで走り出す藤村、途中、趣味の似た男と会うが、すぐに別れ、漁港で知り合った気のいいおっさんと意気投合して、そのおっさんの誕生パーティに参加。そこで、間男されたと言う男とその間男との喧嘩やらがあって、その部屋で一眠りする藤村。間男された男が、今でも愛してると妻に知らせてほしいと言う。その妻は藤村の街にいる。

 

ある高校、いじめられている牧田と伴くんは、窓ガラスを割った犯人の疑いをかけられ先生に責められている。そんな縁から、牧田と伴くんは仲良くなる。伴くんは牧田の姉が綺麗なんだろうと言うので牧田は適当に答えるが、伴くんはどんどん牧田の姉に憧れる気持ちを高めていく。しかし牧田には姉はいなかった。追い詰められた牧田は伴くんに、姉は交通事故で死んだと嘘を言う。そして牧田の中学時代の憧れの女性本田の写真を遺影にして伴くんをごかます。やがて、伴くんは卒業後就職し、牧田は大学へ行く。まもなくして伴くんから連絡が来て、本田という女性と恋に落ちたが振られ続けていると言う。その偶然に驚く牧田だが、伴くんに、本田の事を離すなという。そして、伴くんは本田と結婚、牧田は遺影を二番目に憧れていた前島と交換する。

 

ここに父と息子がいる。息子は父に遊園地の連れて行ってほしいと言うが父は適当にごまかしながら、何やら探している。やっと見つけたのはかつて所属していた高校の部室の鍵だった。父は息子を連れて夜の高校へ。そこで部室からサンドバッグを盗み出し逃げようとするが、窓から何かがのぞいているのを見つける。そしてのぞいていた女が窓ガラスを破り飛び降りると、なんとそれはマネキン。そしてマネキンは親子のところに近づいてくる。父と息子はひたすら逃げる。その翌日、父はサンドバッグを叩いている。そして、息子のナレーションで、父は母以外の女と出て行ったとつぶやく。

 

伴くんの結婚式に行った牧田は新婦となった本田と再会する。牧田と伴くんが道端で話している。自分がこうして今いるのは牧田のおかげだと伴くんが言う。牧田は姉のことを絶対打ち明けないと誓う。

 

伊藤はビデオ屋でバイトをしている。なぜか彼一人なのでいつも帰りに、おはよう とメモを残して帰るが、その夜は まんこ と書いて翌朝行ってみると、なんとメモが動いている。お気に入りのAVのビデオを眺めていると、そこに乳母車を押したその女優が店にやってくる。伊藤は幻想を見たのかと疑う。

 

伊藤がある朝起きると、また隣の部屋の振動。外に出ると、藤村のママチャリがあり、伊藤もドアを思い切り閉めてバイトに行く。カットが変わる。牧田は姉の命日に来た伴くんを軽トラで送ってその帰り、前島に会う。土手で昔話を懐かしむ二人。前島の祖父がわがままを言ったので困っていると言う。

 

こうして映画は終わっていく。藤村が自転車で走る先で見かけた小さな出来事が、その後のエピソードのワンシーンと重なるという場面がいくつかあるのですが、前半はそれがうまく行っているのですが、後半、微妙に噛み合わなくなってきて、次第にそれぞれ独立したエピソードになって、まとまりがなくなっていくのは実にもったいない。でも全体として楽しめる映画でした。

 

「JUNK HEAD」

独学で7年の歳月をかけて作ったというマペットアニメ。ちょっと描写や造形はグロテスクですが、シュールな舞台設定と展開はなかなか面白かった。ただ、力尽きたのか物語が途中で終わったようなラストになっている。続きをまだ作ってるんでしょうか。監督は堀貴秀。

 

環境破壊で人類は危機に陥り、新しい生命体マリガンを作って労働をさせていたが、マリガンが反乱を起こし地下世界を乗っ取った。それから1600年、遺伝子操作でほとんど永遠の命を得た人類はその代償として生殖能力を失っていた。地下のマリガンの世界に生殖能力の復活を知るヒントがあると考えた人類は調査員を派遣することになる。ここまでをテロップで説明し、一つのロボットのような姿をした人間が地下へ向かう。

 

ところが到達した時の衝撃で気を失ってしまう。地下ではマリガンが植物の化物のような怪物と戦っていた。そして怪物を退治するが、そこにロボットのような機械に入った人間が落ちてくる。それを回収して調べてみると人類であることがわかる。マリガンたちは自分たちの創造主で、神だと判断する。そして壊れてしまった人間の体から人形のような体に組み直す。ところが、その人間と彼を守る三人のマリガンたちが行動していた時、混乱している上に、地下に疎い人間は迷子になる。そしてさらに下の階へ落ちていく。

 

そこの階で、人間はまた別のロボットのような体になる。そこで、言われるままに使われていたが、この世界に巨大な化物が侵入、そこで、三人のハンターを雇う。なんとその三人はかつて人間と行動していた三人だった。彼らはポンコツロボットのような姿になった人間を元の人形のような姿に変えさせる。人間は自分が来た目的を話すと、命の木というのがあるからそれがヒントになると言う。しかしそこへいくには巨大な怪物のいるところを通らないといけない。

 

三人のハンターと人間はその怪物に果敢に戦いを仕掛け、とうとう倒すが、ハンターのうち二人は死んでしまう。残る一人は自分の世界に戻るといい、人間は命の木を求めて旅立って映画は終わる。なんか、途中で終わった感じですが、一人で作り上げたマペットアニメの完成度にまず驚かされます。お話もシュールながら、なかなかよく考えられたSFであり、造形や美術も見事。評価されただけのある一本でした。