くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「奇跡の人」「未来を花束にして」「スノーデン」

kurawan2017-02-01

「奇跡の人」(アーサー・ペン監督版)
このレベルの映画になると、みるたびに自分の人生が変わる気がします。それほどにその影響力、その時の心理状態への食い込みが半端じゃないですね。アーサー・ペン監督の傑作を何十年ぶりかで再見、圧倒されて涙が溢れた。

今更物語ではない、オープニングからタイトルバック、途中の展開からラストへの畳み掛けまでほとんど覚えている。改めて、その卓越した映像表現のすごさとパティ・デュークの恐ろしいほどの演技とアン・バンクロフトの心に突き刺さってくる迫力に胸が苦しくなってしまいました。

まさに映画史に残る傑作、名作というのはこのレベルを言うのでしょうね。何十回でも見たくなる映画の一本です。ため息、良かった。


「未来を花束にして」
イギリスの女性参政権取得運動を行なった女性たちの物語で、ちょっと見応えのある一本でした。主人公のモードを演じたキャリー・マリガンがベストキャストで、彼女が主演だったために、妙な嫌味さがなく、すんなりとした人間ドラマとして楽しめました。監督はサラ・ガブロンです。

時は1910年代、イギリスでは女性参政権を求めて活動家のエメリンを中心にした過激な運動鵜が行われていた。そんな運動にモードが偶然遭遇するシーンから映画が始まる。

警察も、運動家の逮捕には暴力を辞さず、その扱いはかなりのものだった。そんな実態を見、次第に運動にのめり込んで行くモードですが、当然職場は解雇され、まだまだ父親しか親権がなかった時代で、子供とも離され、夫も去り一人になって行く。

最後はモードの同志が馬に飛び込んで運動を訴えることで話題になりようやく世間の人々が参政権の運動に目を向けると言うクライマックスとなる。

ポストに爆弾を投げたり、ショーウインドウに石を投げたり過激な女性たちの姿が描かれるが、時代を考えれば、非常にストレートな脚本だと思うし、キャリー・マリガンの風貌が物語を柔らかくヒューマンドラマとして描くことに役立っている気がします。まぁまぁ見応えのある映画でした。


「スノーデン」
アメリカ政府の情報収集の実態を暴露した実在の人物スノーデンの姿を描いた実録ドラマ。監督はオリバー・ストーンです。

スノーデンがこれから取材を受けるガーディアン紙の記者とあうシーンから映画が始まり、インタビューがそのままこれまでの彼の姿を回想する形で物語が進む。しかし、前半の導入部が妙にまどろこしくて、意識が飛んでしまった。

中盤以降、彼が開発したシステムがどんどん巨大化し、世界中の情報を収集できるようになり、彼もどんどん出世する一方で、その重さに自分が耐えられなくなり、暴露すべくメディアと接触して行くあたりから面白いのですが、それでも長い。

結局実話なので、彼が今はロシアに住んでいるというラストでエンディングになりますが、素直な娯楽映画と見れば面白いところもあるのですが、オリバー・ストーンの視線はひたすらスノーデンを英雄視している風が見られるのはちょっといけませんね。

全体にちょっと長すぎるし、同じ展開が繰り返されるので、その辺りをバッサリとカットして組み直せば娯楽映画としては楽しめたかもしれません。