くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「紳士は金髪がお好き」「イースター・パレード」「ホテルアイリス」

紳士は金髪がお好き

この時代の映画は華やかで楽しい。傑作というわけではないものの、見ていて映画という夢の世界に引き込まれてしまいます。マリリン・モンロー、ジェーン・ラッセルの存在感も素敵、楽しめました。監督はハワード・ホークス

 

アメリカのショーステージでローレライとドロシーが歌っている場面から映画は始まる。客席ではローレライがねらっている富豪のガスが拍手している。ガスを手球に取りながら次々と宝石を手にしていくローレライだが、ガスの父はローレライとの結婚に反対していた。ローレライらはパリへ向かう船に乗ることになるが、父に反対されているガスは同乗させてもらえず、父はローレライの素性を探るためにマローンという探偵を船に乗せる。

 

ローレライは船の中で早速金持ちの男を物色し始め、ビークマンという初老の富豪をゲットする。そして積極的なアプローチをするが二人の調査するマローンは二人の疑わしい写真を撮影することに成功、しかしその場をドロシーに見つかり、二人はマローンから証拠の写真を盗むことにする。そしてローレライは手にした写真をビークマンに見せて恩を売り、ローレライが狙っていたビークマンの妻のティアラを手に入れる。ところが、マローンは別途録音の証拠も持っていた。

 

やがてパリに着くが、ガスの父の仕業で、ガスが予約していたホテルがキャンセルされていて、ローレライたちは路頭に迷う。仕方なくパリのステージに立つ頃ことになるが、ガスははるばるパリにやってくる。そんな時、ティアラを盗まれたとビークマンの妻が訴えを起こし、ローレライは逮捕されそうになるが、その上、ローレライのティアラも盗まれてしまう。窮地に立たされた二人はティアラのお金を何とかするべくローレライがガスに迫り、お金を引き出す時間稼ぎにローレライに扮したドロシーが逮捕されて法廷に立つ。

 

法廷で、ローレライの格好をしたドロシーをマローンは見破るが、ドロシーはその場でマローンを愛していると、たくみに告白したので、マローンは真相を明かさなかった。

 

一方、マローンはガスの父と合流、見事ローレライの本性を見抜いたと喜ぶが、アフリカに旅立ったと思っていたビークマンが一時帰国しパリに来る。実は妻に責められ、ローレライにあげたティアラを盗んだのはビークマンだった。マローンはその真実を知り、ビークマンを法廷に連れて行って、ティアラを一旦ローレライのふりをしたドロシーに返し、再度ビークマンに返却してことを収める。ガスの父はガスのローレライへの思いを許してやる。やがてパリでドロシーとマローン、ローレライとガスとの結婚式で映画は終わる。

 

とにかく豪華で華やかなミュージカルで、まさにハリウッド全盛期の一本、とにかく楽しい。これが映画です。

 

イースター・パレード」

歌とダンスと恋、そして個人芸のオンパレード、まさにハリウッドミュージカルの典型的な一本で、その煌びやかな夢の世界は酔いしれる魅力がありますね。手前で踊るフレッド・アステアがスローモーションで、バックダンサーがリアルに踊るシーンは当時の技術でどうやって撮ったか悩みます。ゆるゆるした映画で、ストーリー展開はかなり雑ですが楽しかった。監督はチャールズ・ウォルターズ

 

イースターの復活祭の日、ドンが歌いながら通りを歩いている場面から映画は始まる。そしてパートナーのナディーンの部屋へ行き、次の公演場所シカゴの話をするが、ナディーンは別の契約をしたので行かないという。ドンの友人のジョニーも驚いて物語はスタート。

 

場末のマイクの店で酒を飲むドンは、たまたま出てきたダンサーのハンナをみそめて次のパートナーにスカウトする。しかし、ナディーンとレベルの違うハンナとのダンスに四苦八苦するドン。何とかステージはこなしたものの、ドンはオリジナルのダンスを考え直す決心をすり。

 

そして、ドンとハンナの新しいステージは大盛況となり、ハンナもスターへの道を進むが、ドンの心がナディーンに流れるのではないかと不安の日々。一方ジョニーもハンナに告白をするがハンナの心はドン一筋だった。物語はハンナ、ドン、ジョニー、ナディーンの絡み合う恋愛劇ですが、ストーリーテリングはかなり適当で、それぞれの個人芸を見せるステージシーンが圧巻に展開するのが中心になっていく。そして、再びイースター復活祭の日が来て、スターとなったハンナはドンと颯爽と通りを歩く場面で映画は終わる。

 

アカデミー賞の数々のヒット曲が素晴らしいし、フレッド・アステアのダンス、アン・ミラーのタップなど個人芸のシーンは見事ですが映画としては普通の作品でした。でも夢見心地になるハリウッドミュージカルの世界は堪能できました。

 

「ホテルアイリス」

結局彼女の妄想だったのか?そんな不可思議なエンディングで魅せるちょっと面白い作品。久しぶりにこういう空気感で見せる映画に出会いました。絵作りも美しいし、節度のある演出が、必要以上に露出度を表現していなくて良かった。監督は奥原浩志

 

一人の女性が浜辺でラムネを頼む場面から映画は幕を開ける。店の主人から、どこから来たかと尋ねられ、ホテルアイリスから来たと答える彼女。女性は、今は閉館したかのようなホテルの部屋で宿帳らしいものを開く。カットが変わり、ホテルで店番をしているさっきの彼女。彼女の名はマリ。外は嵐で、突然女性の絶叫が聞こえる。マリが見にいくと、男性が娼婦風の女性を殴っている。

 

マリは祖父が開業したホテルアイリスを母と二人で営んでいる。この日、街に出たマリは、先日の男性を見かけたので後をつけ、彼が街のそばにあり、潮が満ちた時は道がなくなる島に住んでいることがわかる。途中、ハンドオルガンを弾く青年の前を通り、男が帰るのを見送る。

 

次の日、青年が手紙をホテルに届ける。それは、マリを誘った男の手紙だった。マリが待ち合わせ場所に行くと、そこに男がいた。男はロシア文学を翻訳していて、島に住んでいた。妻は亡くなり、一人で暮らしているという。マリは翻訳家と何度か会うようになる。ある時、翻訳家が予約していた店が店の手違いで予約になっていなくて、島の翻訳家の家にマリは行く。そこで、マリはSMまがいの行為を翻訳家にされて、不思議な愛を感じる。

 

それからマリは翻訳家の家で、SMプレイのようなことを繰り返し、次第に愛し合うようになる。ある時、翻訳家の家で、甥だという青年と出会う。彼は幼い頃の病気で舌がなかった。そんな時、娼婦が殺される事件が起こり、ホテルに刑事がやってくるが、マリの母は、嵐の夜の出来事は話さなかった。

 

間も無くして、翻訳家が姿を消す。浜で甥だという青年とあったマリは彼を誘い、体を重ねる。しばらく後、マリの目の前に翻訳家が現れ、マリを責めるが、翻訳家の家には、翻訳家の妻の服を着て死んでいる甥の死体があった。そして、翻訳家はマリの首を絞める。カットが変わり、浜に死体が上がる。島に住んでいた男だという言葉が被るが、顔は映さない。

 

ホテルアイリスで受付をしているマリの場面、無言電話を受け、直後、甥だと言っていた青年の顔の青年が中年の女性とやってくる。その青年は普通に言葉を発し、部屋に上がる途中おやすみの言葉をマリに投げる。マリはそれを見送り、ホテルアイリスの玄関の扉を閉めて映画は終わる。

 

私の解釈が正しければ、全てマリの妄想であったというオチだろうかと思う。父親と愛し合っていた過去などのエピソードや、母が男遊びをしているシーンなども被るが、それぞれのシーンが断片的で、全体に脈絡がつながらないように見えるからです。感覚で見る作品という感じの映画でした。